4月15日(土):
副題:「長編小説から翻訳モノまで」
221ページ 所要時間3:30 古本93円+税
著者55歳(1960生まれ)。明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍
数日前に古本屋で手にした本である。俺は、この著者をあまり好きではない。多作だが著書の内容に今ひとつ深みが感じられない。バランス重視の教養主義が、権力者とうまく付き合う、立ち回りの軽さを覚えてどうも好きになれない。「著作でもマスコミでの言動でも当たり前のことを常にTPOを心得て、体裁よく上手にまとめて答えて見せる。しかし、もう一歩の踏み込みをすることは絶対にない。<ある種の達人>と言えば言えるのかもしれないが、俺は好きになれない種類のにんげんだ」というのが俺の著者に対する印象だ。
今回の本についてもあまり期待はしてなかった。ただ、俺自身が今、自分の読書生活の再生に向けて思案中であったので手にしたのだった。本書では「蔵書1000冊」を目指すことが提案されているが、俺はすでに「蔵書数千冊」である。ただ、原点に返って読書生活を変えたいのだ。
もっと具体的に言えば、「読む本の冊数を飛躍的に増やしたい」のだ。手当たり次第に融通無碍に本と付き合いたいのだ。ブログの本来のタイトル「一日一冊遊書(読書)」を実現したいのだ。そのためには、読まない時も、読んでいる時も徹底的に時間の無駄を省き、量としての実質的な読書を増やす、そうすれば質としての実質的読書も深まる。限りある人生の残り時間を読書に生かし切りたい。そのためには今の様な惰性で読書を捉えていてはいけない。
「新しい読書観」が必要なのだ。その手探りを今、まさに本格的に始めたいと思っている。本書で、著者はいきなり読書量を増やすためにはもっと不真面目になりなさいと言い出した。これこそ俺にとって「我が意を得たり!」であった。
どうせ隅々まで丁寧に読んでも、猛烈な睡魔を耐えて、時間を費やして読み遂げても所詮忘却するのだ。ならば、本はできるだけ乱暴に扱ってよい。時間の短縮をはかり、線を引いて思考の跡を本自体に覚えさせればいい。コアな部分を読めば、後は読まなくてもOK 。本を読み上げる時間を、先に20分と設定すれば、イヤでも大切な部分を探し出すしかない。その際、その本について誰かに簡単に説明できるレベルを目指す。どんな大作であっても、みっちり読み込むことを放棄して、例えば会話部分だけを読み継いでいく。人間には間を埋める想像力があるので、後は想像力を働かせる。その代り量をどんどん増やしていけば、自ずと内容的な重なりなどもあって理解は深まる。
「邪道だ!」というのであれば、「正道」追及!して結局0(ゼロ)で終わることを思えば、「邪道!」でも+(プラス)の何らかの縁を本や著者と結んだほうが良いのだ。読書家ほど戦略的に「不真面目」であるべきだ。より多くの本と出合い、より深い読書体験を実現するために「読書の定義」をゆるくするべきなのだ。
例えば:・(カウントし難くて、今まで手にし辛かった)短編集は、その中の2~3編を読めば、読んだことにする。
・大作は予めブックガイドなどに当たって内容を調べて知ったおいた上で読む。そのためには、「古典の漫画版」を読んでから読んでもよいし、会話文だけの飛ばし読みでもよい。再度読み直す価値ありと思えば、改めて読み返して、それもカウントすればよいのだ。
・「古典の漫画版」では、「まんがで読破」(イーストプレス)と銘打った文庫シリーズが非常に充実していることが情報として紹介されていた。この情報だけで、本書は感想5の価値があった。早速、「カラマーゾフの兄弟」をアマゾンで発注した。ちなみに、俺は10年以上前に3~4か月かけて読破済みであるが、それがまんがでどう描かれるのか楽しみである。
・20分読書はさすがに無理だが、今後「1ページ15秒読み」「1ページ30秒読み」を本全体で、重点の置き方を変えて、飛ばすところは飛ばして、たとえ400ページぐらいの本でも確実に2時間以内に収める。ページ全部に目を這わすことよりも、たとえ400ページぐらいの本であっても2時間という枠の中で処理することに最重点を置く。その上で、どうしても再読の価値ありと認められる本に対してはそれなりの「再読」を施せばよい、と考えることだ。
・「神は細部に宿る」という言葉に対して一定の別れの覚悟を決めることだ。そうすれば、数十冊に一冊ぐらい「Calling(神の呼びかけ)」があるだろう。その本物の「神の呼びかけ」、その時対応を考えるということだ。
・読書量を増やすために、あらゆる形で「自分の読書を甘やかそう」と思う。読書量を増やすための戦略的「甘さ」を実践しようと思う。
・柔軟に軌道修正すればいい。
・あとこのブログの記述も時間を取られ過ぎているので簡略化を図るべきだろう。
まあ、いろいろと読書について考えることができたので今回は感想5とする。
【目次】1章 「読破」するにはコツがある(並行読書のススメ/新書から始めよう/昔の受験勉強を今の読書に活かせ/「見る」も「眺める」も読書のうち)/2章 長編小説を挫折しないで読む方法(登場人物がややこしい長編小説の読み方/自分に合う小説はこうして探せ)/3章 「ビジネス常識」としての経済小説、歴史小説入門(経済小説で経済を知る/知識ゼロからの歴史小説入門)/4章 難解な翻訳書・学術書を読みこなすコツ(難解な本をクリアする法/海外古典文学を読まずに死ねるか/英語ビギナーのための洋書読書術/ド文系のための理系本攻略法)/5章 本を選ぶヒントー王道から邪道まで(「新刊情報」に敏感になろう/「ベストセラー」から得られる二つのメリット/レーベルごとの個性を知る/自室に書棚はありますか?)
【内容情報】
長編小説を挫折しない方法。難解な翻訳書を読みこなすコツ。「並行読書」からレーベル別攻略法まで、読書の概念を180度変えます! 途中で挫折しない方法を教えます!登場人物がややこしい長編小説の読み方、難解な翻訳書・学術書を読みこなすコツ、本を同時に読み進める「並行読書」、レーベル別攻略法、1000冊読める大量消化法…目から鱗のメソッドが盛り沢山。オススメ本も多数掲載、読書案内にも最適。