もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

6 052 川井龍介「社会を生きるための教科書」(岩波ジュニア新書:2010)感想4

2017年04月18日 22時29分11秒 | 一日一冊読書開始
4月18日(火):  

202ページ    所要時間3:05     アマゾン289円

著者54歳(1956生まれ)。

3度目である。読みやすい本ではないが、人生の必携書である。項目によって、ふっと気をひかれる。感想は、前回と大体同じである。前回の分と合わせて付箋の数が半端でなくなった。折に触れて、付箋をたよりに線を引いて読み込もうと思う。

5 049 川井龍介「社会を生きるための教科書」(岩波ジュニア新書:2010)感想4+
2016年02月03日 23時20分26秒 | 一日一冊読書開始
2月3日(水):  

202ページ    所要時間3:10     アマゾン289円

著者54歳(1956生まれ)。新聞記者などを経てノンフィクションや音楽コラムを執筆.現在,国立情報学研究所連想情報学研究開発センター特任教授.また,連想検索機能を使いウェブ上を中心にさまざまな文化情報を発信・企画するNPO「連想出版」の編集長を務める.

2度目。頭の調子が良い時に読めば、感想5だった気がする。少しのぼせたような状態でページに目を走らせるのはしんどかった。社会に出れば誰もが直面しなければならない問題だが、大人の多くも漠然とわかった振りをしているが、その実ほとんどわかっていない世の中の手続きについて著者の感想も絡めて整理・解説している。途中で、我ながら「こんな複雑なしがらみの中で生きていることが煩わしい」と思えて来た。いろいろな制度について「わかっている」ことは大切なことだが、正直言って邪魔くさい。高校生・大学生・青年達には良い本だろう。年寄りには、すでに結果の出ている試験の勉強をしている気分にさせられる本である。

【目次】
1就職する、働く:「働き方」で仕事を考える/ 雇われる働き方がかわってきた/ 非正規雇用って?/ パ-ト、アルバイト、準社員のちがい 他
2税金を納める: 源泉徴収=天引きという仕組み/ 収入と所得のちがい/ 所得税の計算の仕方/ 源泉徴収との兼ね合い 他
3保険と年金を考える: 将来の病気やケガ、老いに備える/ 医療保険の仕組み/ 医療保険のややこしい分類/ 健保の特徴  他
4自分の住まいを探す: 親元を離れ、自立する/ 地域での暮らしを楽しむ/ 部屋探しの三つの基準/ 物件チラシの見方  他
5家族を考える: さまざまな結婚の形/ 結婚と戸籍/ 夫婦の義務/ 子供をもつかもたないか/ 子供の戸籍と婚姻関係  他
6お金と正しくつきあう: 借金はこわい/ 時代とともに気軽になる借金/ 債務整理と貸金業への規制/ 担保のある借金  他
7情報を使いこなす: 問題解決はプロセスが大事/ 人の話は信用できるか/ 週刊誌と専門誌/ 膨大な情報を伝える新聞  他

よくできた内容紹介:◎不況だけど,入試も就活もがんばる君.でも,一人暮らしの準備は大丈夫? 税金や年金はどこに払うの? 払わなかったらどうなる? 控除ってなんだ? もし病気になったら,もし変な勧誘にあったら……? 学校では習わないけれど,社会を生きていくために本当に必要な知識がある.不安な時代だからこそ,自ら考え,生き抜く基礎力を.
◎新聞やテレビで,年金や子ども手当についてのニュースを見ても,ちっとも理解できないなぁと思ったことはありませんか.そう言えば,「公民」でも「政治経済」でも,そんなことはあんまり教えてくれなかった気がしますね.
 一方,お父さんやお母さん,あるいは街角インタビューに登場する大人たちは,ニュースにため息をつき,税金や保険に悩んでいるように見えます.
 こうしたことは,大人になったらわかればいいことなのでしょうか.学校では習わなくても,社会に出れば自然とわかるようになるものでしょうか.
 いいえ.そんなことはありません.本当は,大人もよくわかっていないのです.でも,わかっていないと困るのです.
 身近なところで考えてみましょう.みなさんのなかには,就職や進学をきっかけに一人暮らしを始める人がいるでしょう.では,部屋の契約ってどうすればいいかわかりますか.なにをポイントに部屋を探し,契約のときにはどんなことに気をつけて,どんな書類をどうやって用意すればいいでしょう.お金のことも考えないといけません.契約のときにはなんと,家賃の半年分ほども用意しなければいけないし,連帯保証人もお願いしないといけないのです.
 もうひとつ,アルバイトをすることを考えてみましょう.アルバイト中に骨折したらどうしますか.治療や入院にはお金がかかります.労災って聞いたことがありますか.あるいは,アルバイトですごくたくさんのお金を稼いだらどうしますか.嬉しいでしょうが,喜んでいるばかりではいけません.実は,ある金額以上稼いだら,学生でも自分で医療保険に入って,保険料を払わないといけないんですよ.
 びっくりしましたか.もしかして,なんのことを言っているのかさっぱりわからないかもしれませんね.でも,いざとなったら,先輩やバイト先の人や親に聞くから大丈夫? いやいや,こういう制度はややこしくて,大人でも頭を悩ませているのです.きちんと理解していなければならないはずのバイト先の店長さんも,わかっていないことが多くて危険です.
 まして,就職して社会に出たら,知らなくてはいけないことはもっと増えます.
 この「教科書」には,学校では教えてくれないけれど,これからみなさんが遭遇するであろうさまざまな場面や人生のステージにおいて,知っておいたほうがいい知識をまとめてあります.
 「教科書」とは言っても,暗記する必要はありません.どうせ制度は変わるものです.でも,この本を読んで社会を生きていくための心構えをし,自分で調べ判断する力を身につけておけば,きっとこの先もずっと役立ちますよ.(岩波書店編集部 朝倉玲子)
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6 051 森絵都「カラフル」(文春文庫:1998)感想4

2017年04月16日 16時42分37秒 | 一日一冊読書開始
4月16日(日):  

259ページ     所要時間2:00     ブックオフ108円

著者30歳(1968生まれ)。

読書習慣維持のために、取り置きの古本を手に取った。読みやすい。映像がどんどん浮かんでくる。ストーリーも少し遊びがあって、マンガ的でコミックを読んでいる感じがした。流れるように読めた。内容も楽しめた。実のある「ライト・ノベル」、もう一歩で児童書?。中高生向けにお勧めの本だと思う。2000年に実写映画化、2010年アニメ映画化されたようだ。納得できる。映像化するように書かれた作品である。

2001年4月~6月ドラマ『Love Story』(ラブストーリー:中山美穂・豊川悦司主演)を観ていた時、よく似た「天使の物語」が出てきたのを印象的に覚えている。モデルは、本書に出てくる天使プラプラだと思い当たった。また、1999年~2003年連載「ヒカルの碁」で主人公のヒカルに寄り添う平安の天才棋士藤原佐伊の霊の印象もよく似ている。「異世界の優しき存在」が主人公に寄り添うこの手の物語りが当時はやっていたのだろう。そして、その流行の源の一つが本書だった様な気がする。

「ホームステイだと思えばいいのです」/「ホームステイ?」/「そう、あなたはまたしばらくのあいだ下界ですごして、そして再びここにもどってくる。せいぜい数十年の人生です。少し長めのホームステイがまたはじまるのだと気楽に考えればいい」/「できるかな」/せいぜい数十年の人生。/長めのホームステイ。244ページ

【内容情報】生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。
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6 050 植松努「NASAより宇宙に近い町工場」(ディスカブァー:2009)感想3+

2017年04月16日 00時38分16秒 | 一日一冊読書開始
4月15日(土):    副題:「僕らのロケットが飛んだ」

199ページ    所要時間3:15     アマゾン592円(335+257)

著者43歳(1966生まれ)。北海道芦別市生まれ。北見工業大学卒業後、航空宇宙関連企業に就職。1994年、父が経営する植松電機に入社。1999年よりリサイクルに使うマグネットを開発。2004年、北海道大学大学院の永田晴紀教授とともにロケット開発を開始。2006年、株式会社カムイスペースワークスを設立、ロケットや人工衛星の研究開発を行う。2009年、「ARCプロジェクト」を始動させる。

以前に著者の「思うは招く」講演を聴いたことがある。この人の本業は何だろう???と思わされるほど、笑いとハート(熱意)のある素晴らしい内容の講演(満足度5)だった。プレゼンテーション能力のすごく高い人だった。講演の感動を思い出したくなったので原点というべき本書を取り寄せた。アマゾンのブックレビュー4.8の高評価にも期待していた。

取り寄せた本書は2013年で第13刷でした。でも、本書の読者の皆さん、ごめんなさい。感想3+でした。俺の読書力が足りないのか、ご本人の講演を聴いた時ほどの感動には至れませんでしたm(_ _)m。本書が書かれたときには、まだ著者のメッセージが整理され切っていなかったのかな…?。読んでいてまとまり切っていない感じを受けたのだ。あと、講演での語りはとても良かったのだが、文章になるとバラバラ感があって少し読みにくかった。

今度は、著者の近著を図書館で借りて読んでみようと思います。

【目次】第1章 僕たちの宇宙開発/第2章 「よりよく」を求める社会をつくろう/第3章 「夢」って何だろう?/第4章 教えてくれる人がいないなら、自分で学べばいい/第5章 楽をしないで努力を楽しもう/第6章 他のどこにもない経営方針/第7章 あきらめないで世界を変えよう/第8章 未来の社会をつくるために

【内容情報】北海道赤平市という小さな町で小さな工場を営みつつ、宇宙ロケット開発に情熱を注ぐ著者が、本業もロケット開発も成功させている自らの体験を通して「みんなが夢を持ち、工夫をして『よりよく』を求める社会をつくること」を提唱します。感動と勇気を与えてくれる一冊です。誰もが工夫をして「よりよく」を目指すようになれば、社会はよくなる!本業の町工場でもクリエイティブな経営方針で売上を伸ばしつつ、宇宙ロケット開発の夢を追い続ける著者が、自らの体験から「夢をかなえるには?」「仕事を楽しむには?」「明るい未来をつくるには?」を熱く語る。
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6 049 斎藤孝「本をサクサク読む技術」(中公新書ラクレ:2015)感想5

2017年04月15日 15時48分24秒 | 一日一冊読書開始
4月15日(土):    副題:「長編小説から翻訳モノまで」

221ページ    所要時間3:30     古本93円+税

著者55歳(1960生まれ)。明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍

数日前に古本屋で手にした本である。俺は、この著者をあまり好きではない。多作だが著書の内容に今ひとつ深みが感じられない。バランス重視の教養主義が、権力者とうまく付き合う、立ち回りの軽さを覚えてどうも好きになれない。「著作でもマスコミでの言動でも当たり前のことを常にTPOを心得て、体裁よく上手にまとめて答えて見せる。しかし、もう一歩の踏み込みをすることは絶対にない。<ある種の達人>と言えば言えるのかもしれないが、俺は好きになれない種類のにんげんだ」というのが俺の著者に対する印象だ。

今回の本についてもあまり期待はしてなかった。ただ、俺自身が今、自分の読書生活の再生に向けて思案中であったので手にしたのだった。本書では「蔵書1000冊」を目指すことが提案されているが、俺はすでに「蔵書数千冊」である。ただ、原点に返って読書生活を変えたいのだ。

もっと具体的に言えば、「読む本の冊数を飛躍的に増やしたい」のだ。手当たり次第に融通無碍に本と付き合いたいのだ。ブログの本来のタイトル「一日一冊遊書(読書)」を実現したいのだ。そのためには、読まない時も、読んでいる時も徹底的に時間の無駄を省き、量としての実質的な読書を増やす、そうすれば質としての実質的読書も深まる。限りある人生の残り時間を読書に生かし切りたい。そのためには今の様な惰性で読書を捉えていてはいけない。

「新しい読書観」が必要なのだ。その手探りを今、まさに本格的に始めたいと思っている。本書で、著者はいきなり読書量を増やすためにはもっと不真面目になりなさいと言い出した。これこそ俺にとって「我が意を得たり!」であった。

どうせ隅々まで丁寧に読んでも、猛烈な睡魔を耐えて、時間を費やして読み遂げても所詮忘却するのだ。ならば、本はできるだけ乱暴に扱ってよい。時間の短縮をはかり、線を引いて思考の跡を本自体に覚えさせればいい。コアな部分を読めば、後は読まなくてもOK 。本を読み上げる時間を、先に20分と設定すれば、イヤでも大切な部分を探し出すしかない。その際、その本について誰かに簡単に説明できるレベルを目指す。どんな大作であっても、みっちり読み込むことを放棄して、例えば会話部分だけを読み継いでいく。人間には間を埋める想像力があるので、後は想像力を働かせる。その代り量をどんどん増やしていけば、自ずと内容的な重なりなどもあって理解は深まる。

「邪道だ!」というのであれば、「正道」追及!して結局0(ゼロ)で終わることを思えば、「邪道!」でも+(プラス)の何らかの縁を本や著者と結んだほうが良いのだ。読書家ほど戦略的に「不真面目」であるべきだ。より多くの本と出合い、より深い読書体験を実現するために「読書の定義」をゆるくするべきなのだ。

例えば:・(カウントし難くて、今まで手にし辛かった)短編集は、その中の2~3編を読めば、読んだことにする。
 ・大作は予めブックガイドなどに当たって内容を調べて知ったおいた上で読む。そのためには、「古典の漫画版」を読んでから読んでもよいし、会話文だけの飛ばし読みでもよい。再度読み直す価値ありと思えば、改めて読み返して、それもカウントすればよいのだ。
 ・「古典の漫画版」では、「まんがで読破」(イーストプレス)と銘打った文庫シリーズが非常に充実していることが情報として紹介されていた。この情報だけで、本書は感想5の価値があった。早速、「カラマーゾフの兄弟」をアマゾンで発注した。ちなみに、俺は10年以上前に3~4か月かけて読破済みであるが、それがまんがでどう描かれるのか楽しみである。
 ・20分読書はさすがに無理だが、今後「1ページ15秒読み」「1ページ30秒読み」を本全体で、重点の置き方を変えて、飛ばすところは飛ばして、たとえ400ページぐらいの本でも確実に2時間以内に収める。ページ全部に目を這わすことよりも、たとえ400ページぐらいの本であっても2時間という枠の中で処理することに最重点を置く。その上で、どうしても再読の価値ありと認められる本に対してはそれなりの「再読」を施せばよい、と考えることだ。
 ・「神は細部に宿る」という言葉に対して一定の別れの覚悟を決めることだ。そうすれば、数十冊に一冊ぐらい「Calling(神の呼びかけ)」があるだろう。その本物の「神の呼びかけ」、その時対応を考えるということだ。
 ・読書量を増やすために、あらゆる形で「自分の読書を甘やかそう」と思う。読書量を増やすための戦略的「甘さ」を実践しようと思う。
 ・柔軟に軌道修正すればいい。
 ・あとこのブログの記述も時間を取られ過ぎているので簡略化を図るべきだろう。

まあ、いろいろと読書について考えることができたので今回は感想5とする。

【目次】1章 「読破」するにはコツがある(並行読書のススメ/新書から始めよう/昔の受験勉強を今の読書に活かせ/「見る」も「眺める」も読書のうち)/2章 長編小説を挫折しないで読む方法(登場人物がややこしい長編小説の読み方/自分に合う小説はこうして探せ)/3章 「ビジネス常識」としての経済小説、歴史小説入門(経済小説で経済を知る/知識ゼロからの歴史小説入門)/4章 難解な翻訳書・学術書を読みこなすコツ(難解な本をクリアする法/海外古典文学を読まずに死ねるか/英語ビギナーのための洋書読書術/ド文系のための理系本攻略法)/5章 本を選ぶヒントー王道から邪道まで(「新刊情報」に敏感になろう/「ベストセラー」から得られる二つのメリット/レーベルごとの個性を知る/自室に書棚はありますか?)

【内容情報】長編小説を挫折しない方法。難解な翻訳書を読みこなすコツ。「並行読書」からレーベル別攻略法まで、読書の概念を180度変えます! 途中で挫折しない方法を教えます!登場人物がややこしい長編小説の読み方、難解な翻訳書・学術書を読みこなすコツ、本を同時に読み進める「並行読書」、レーベル別攻略法、1000冊読める大量消化法…目から鱗のメソッドが盛り沢山。オススメ本も多数掲載、読書案内にも最適。


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170412 そろそろ情のドラマ「コウノドリ」の第2シリーズをやってほしい。お願い是非観たいです!

2017年04月13日 00時04分33秒 | つぶやき
4月12日(水):     

かなり酔っぱらってます。だからこそ、本音です。今、第1シリーズの第2話の終盤を観ながら、気持ちのいい涙を流し続けている。
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170412 天皇の意向を踏みにじる平成の逆賊・謀叛人、鼠賊安倍晋三は最後の一線を越えた!退場させるべき!本気だ!

2017年04月12日 20時36分33秒 | 時々刻々 考える資料
4月12日(水):        

140802 安倍晋三よ、おまえは一体何をしてるのか? 仮設のお年寄りを泣かせるな!(怒)」もぜひ検索して読んでみて下さいm(_ _)m。

情報速報ドットコム天皇陛下、安倍政権の特例法案に不信感!宮内庁「納得がいかない表情を浮かべた」  2017.04.11 18:00 
  天皇陛下の退位で安倍政権は一代に限定した特例法案の制定を目指していますが、これに対して天皇陛下はかなり強い不満を感じていることが分かりました
  報道記事によると、宮内庁関係者は「納得がいかない表情を浮かべた」と述べ、安倍政権の有識者会議が一代限りと表明したことに疑念があるとのことです。
  天皇陛下はお言葉の表明時にも次世代の引き継ぎを強調しており、自分だけに限定しない形で自由な退位が可能となるように求めていました。
  安倍政権の特例法案という動きは天皇陛下の意向を無視していると言え、このまま法案が成立すれば天皇陛下は納得が出来ない状態になりそうです

  記者会見で今井敬座長は、一代限りとした理由として「譲位はもともと非常に問題」「皇統の継続に非常に問題があることを理解して欲しい」と語った。
  宮内庁関係者によると、この言葉に、納得がいかない表情を浮かべた人物がいた。天皇陛下だった。
  陛下の退位の意向は、象徴天皇の理想像を完遂させる思いからだ。

朝日新聞初報「事実無根ではない」 退位、陛下の揺るがぬ信念  2017年4月11日06時52分

ビデオメッセージで退位への思いをにじませた天皇陛下(2016年8月8日、宮内庁提供)

  1月23日。天皇陛下の退位をめぐる政府の有識者会議は、今の陛下に限った退位を推奨する論点整理をまとめ、安倍晋三首相に手渡した。事実上、政府が検討する「一代限り」の方針を後押しする内容となった。
  記者会見で今井敬座長は、一代限りとした理由として「譲位はもともと非常に問題」「皇統の継続に非常に問題があることを理解して欲しい」と語った。
  宮内庁関係者によると、この言葉に、納得がいかない表情を浮かべた人物がいた。天皇陛下だった
  陛下の退位の意向は、象徴天皇の理想像を完遂させる思いからだ。即位以降、象徴のありようを模索し、ハンセン病療養施設や被災地の訪問を重ねるなど、国民に寄り添う姿勢を貫いてきた。体力の衰えによりその活動ができなくなるなら、次の世代に譲るべきだという信念があった。
  歴代の歩みで、譲位した天皇は58人。「譲位は歴史的にも驚くようなことではない」と周囲に語り、鎌倉幕府と戦った後鳥羽上皇など一時期をのぞけば、譲位があったからこそ平和に代替わりできたとの歴史認識も繰り返し口にしたという。
  陛下が有識者会議の検討に口を挟むことはなかったが、この間の宮内庁の対応に、陛下の思いに沿おうとする姿勢がうかがえた。
  例えば2016年11月、西村泰彦次長は会見で「公務を大幅に減らすのは難しい」と述べ、陛下が大切にしてきた公務が縮小されないよう有識者会議に釘を刺した。17年1月の次長会見では、政府方針として報じられた元日の代替わり案について、正月儀式と重なり「難しい」と反発する場面もあった
  陛下の強い意思は、16年7月13日夜にNHKが「生前退位」の意向と最初に報じたときにも表れる。放送後、宮内庁の山本信一郎次長(当時)は、報道陣に「報道されたような事実は一切ない。事実無根」と火消しにまわったが、静養先の葉山御用邸(神奈川県葉山町)でそのやり取りの報告を受けた天皇陛下は、こう語ったという。
  「事実無根? 無根ではないですよね」
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6 048 尾木直樹「子どもの危機をどう見るか」(岩波新書:2000)感想4

2017年04月12日 19時07分33秒 | 一日一冊読書開始
4月12日(水):  

244ページ    所要時間2:05     古本93円+税

著者53歳(1947年)。1971年早稲田大学教育学部卒業後、私立海城高校、東京都公立中学校教師を経て、現在、教育評論家、臨床教育研究所「虹」所長。

古本屋で手にした時、2011年刷が22版だった。内容的に全く懸念はない!。安いので買い置きしようと思った。眺め読みは完全に失敗だった。ほとんど頭に入ってこない。しかし内容にどうも見覚えがある気がする。昔、これ読んでるんじゃないか?、と思った。

書かれている内容は、第一次安倍内閣によって教育基本法が「愛国心」で傷付けられ、新自由主義、自己責任教育が推進される中、学級崩壊が世間を動揺させてい板時代だった。第二次安倍内閣の長期間の政権によって日本社会が大きく毀損してしまった現在からみれば本書の中での著者の主張は全く正しいのだが、実現不可能な”隔世の感”を覚えさせる。また、今日までの17年間のスマートホン、ICTの発達・普及で本書はその部分への記述を書くという点で致命的でもある。本書の旬は過ぎた、と言える。

そう言ってしまった上で、逆に「一周回って元に戻る」という意味で、今こそ本来あるべき教育の姿を考えるために本書を読む意味は高まっているのではないか。とも思う。そうは言っても今回は失敗読書で、中身を読めてないのだけど…。

【目次】1 危機の実像(学級崩壊/新しい荒れ/いじめ/虐待)/2 危機の背景をさぐる(変化に取り残された学校/教師はなぜ力をなくしたのか/家庭の子育て力は低下したのか/大人と子どもの関係不全/子どもが問いかけていること)/3 危機からどう脱出するか(スクール・デモクラシーで学校再生を/「教え」から「学び」へ/子育てを社会化する/子どもと大人のパートナーシップ時代へ)

【内容情報】小学校低学年で急速に広がり出した学級崩壊、キレて凶悪事件を引き起こす十代の少年たち、いじめ、引きこもり、幼児虐待、援助交際、不登校…。いま、子どもの世界では、何が起きているのか。危機の実像とそれをもたらした背景を丹念に解明し、子育てと教育を再生させる考え方と実践例を提示。従来の学校観や子育て観の転換を迫る。
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6 047 柳沢幸雄「なぜ、中高一貫校で子どもは伸びるのか」(祥伝社新書:2015) 感想4

2017年04月11日 21時17分49秒 | 一日一冊読書開始
4月11日(火):  

183ページ    所要時間3:05     図書館→アマゾンに注文355円(98+257)

著者68歳(1947生まれ)。東京大学名誉教授、開成中学校・高等学校校長。開成高等学校、東京大学工学部卒業。システムエンジニアとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)入社。1974年退社、東京大学大学院工学系研究科修士課程進学。同博士課程修了、工学博士。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、同併任教授(在任中ベストティーチャーに選出)、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年より現職。

本書の評価は、見る角度によって変わるだろう。一般的な教育現場の困難さ、多様さを前提に読めば、「現実を知らずに何を言ってやがるんだ」と言い捨てることもできるだろう。しかし、一方で開成中学校・高等学校生という家庭的にも、能力的にもチョー恵まれた選りすぐりの子どもたちを基にして語ることで通常の教育現場では語り切れない話が聴けるとも言える。すなわち、整えられた優秀な子供たちの集団でしか語れない「チョー純粋な<教育>談義である。その上、語り手の著者の経歴も能力も申し分ない。

なかなか聴けない話を素直に拝聴する気で読めば、本書の内容はよく整理されていて、非常に納得のいくものである。なぜ中高一貫校、しかも私立校(公立に比べて、非常に校風が個性的なので注意が必要!)が優れているのかが、「開成」という超進学校(だけど現実に存在する学校)を舞台に語られている。著者は、中学進学後の「子どもの親離れ」以上に、「(母)親の子離れ」と「子どもの自律(自立)」を力説する。さらに、欧米の大学留学なども材料にして、大学受験の意味自体が問い直されている。

読んでいて付箋だらけになったので、アマゾンで購入することにしたが、要するに著者は中高一貫校を年齢差5歳の幅広い子ども同士が刺激し合える”ミニ大人社会”と捉え、それが勉強面以外でも子供を成長させる。結局、”環境”が一番大事なのだと言っている。

素直に中身を受け止めて、いろいろと考えながら読んで、俺は素直に面白いと思った。多少の潤色、加工は施されているかもしれないが、他所ではなかなか聞けない話(講演)を聴講できた気分である。

【目次】序章 中学生から、教育は変わる/第1章 なぜ、中高一貫校で伸びるのか?/第2章 勉強法/第3章 課外活動/第4章 親の役割/第5章 大学受験と進路選択

【内容情報】日本の教育制度は今、大きく変わろうとしている。小中一貫、中高一貫、高大連携など、制度上の切れ目を解消する試みが進められているのだ。しかし、海外も含め、長い伝統と実績を誇る中高一貫校こそ、子どもを伸ばす最良の環境である。自らも中高一貫校に学び、母校・開成学園の校長に就任した著者は、そう断言する。では、なぜ伸びるのかー。本書では開成学園の実践例も織り交ぜながら、勉強法、課外活動、進路選択から親の役割にまで言及。その具体的な記述は、中高生の子を持つ親の指針となるだろう。受験教育より、生徒の自主性を育む開成学園が成果を上げ続ける理由も、まさにそこにあるのだ。
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6 046 篠原菊紀「子供が勉強にハマる脳の作り方」(フォレスト出版:2010)感想3+

2017年04月10日 00時24分30秒 | 一日一冊読書開始
4月9日(日):   副題:「~「脳科学」と「臨床心理学」が合体!「天才脳」ができる46のレッスン~」

245ページ      所要時間 2:15       ブックオフ200円

著者50歳(1960生まれ)。諏訪東京理科大学共通教育センター主任・教授(脳・人システム)。学生相談室長。東京理科大総合研究機構併任教授。東京大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。多チャンネル近赤外線分光法を使って、「学習しているとき」「遊んでいるとき」「運動しているとき」など日常的な脳活動を調べている

科学的な本の体裁をとっているが、書かれていることはそれほど科学的な内容とは思えない。子どもによくなって欲しければ、一番身近の大人である親自身が自分を良くする努力をしている姿を見せるべきだ。口先だけで子供に介入しても意味はない。親ができることは、精一杯子供をほめてやり、子供の環境を整えてやった上で、待ってやることしかない。ある種、身もふたもない当たり前のことが書かれている。

しかし、忘れがちだが、真面目に考えてみればその当たり前のことを親に再度自覚を促しているのが、本書の値打ちなのかもしれない。子どもの様子をよく見ること。子供を精一杯(こじつけでもいいから)ほめ続けること。無理な要求をしないこと。親がお手本になる努力をすること。子供の生活・環境を整えるために助力をすること。

大した本ではない。でも、間(ま)を開けて、いつか再度流し読みをしようと思った。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ うちの子は、どうすれば勉強するようになるでしょうか?/第1章 ゲーム中毒のように勉強にハマる方法ー脳が勉強にハマるしくみ/第2章 子供が勉強せずには「いられなくなる」方法ー親として絶対知っておくべき子供の「脳のクセ」/第3章 子供の「集中力」「やる気」をアップさせる方法ー脳科学と臨床心理学でわかった!強い「集中力」「やる気」の作り方/第4章 一度覚えたら忘れない!強い「記憶」の作り方/第5章 子供に目標を達成させる方法ー脳科学でわかった!成功する「未来の記憶」の作り方&「勝負力」の鍛え方

・子どもが、少しでも勉強にハマることができた場所を「聖域」にしましょう。そこはいつもきれいに整理して、教科書やノートをいつでも広げられるようにしておきます。そしてそこに子どもが向かったらほめる。根気よくそれを繰り返します。/それから、彼や彼女が勉強を始めたら、自分もテレビを消して本でも読みましょう。できれば学習がいいです。楽しい学習がいい。ワクワクしながら学んでください。/略、親が楽しげに、かつハマり込んで学習していると、子どもの脳もやる気を得ます。これが、なんだかんだと言っても子どもを学習させる早道です。69ページ
・親の言葉には耳を貸さなくても、親の行動は無意識に真似してしまいます。73ページ
・「あなたも早起きして勉強してみたら?」そんな言葉は余計です。親が最初に行動して、後は子どものミラーニューロンに任せるだけです。75ページ
臨界期とは、一生のうち一度だけ訪れる、いろんなことを短時間で覚えられる時期。発達にかんして最も重要で、かつ発達が容易な時期です。/「臨界期の8~10歳くらいまでには「知(知性)」「情(感情)」「意(意欲)」の基礎を育てておこう」といった話を見聞きして、「うちの子はもう手遅れだ」と心配されるのでしょうが、臨界期が早く短いのは、視覚や聴覚といった「知覚」に関する機能的な部分です。106ページ
・親がニコニコ話しかけると、子どもの脳もニコニコします。それを地道に繰り返していくうちに子どもの脳がニコニコを学習していきます。115ページ
・お子さんにはやさしい言葉をかけ、笑顔で接してください。略。親の笑顔は子どもの扁桃体を育てます。240ページ
・どれも当たり前で陳腐なことだと思うかもしれませんが、子どもの自己実現を願うのであれば、当たり前で陳腐なことに心を砕く必要があるのです。略。当たり前で陳腐の最上級と言えば、「子供を信じる」でしょうか。242~243ページ


【内容紹介】ゲームに依存するように、子供が勉強にハマる!だから…
本書では、ゲームやギャンブルにハマる「脳の仕組み」を利用して、子供を勉強にハメる方法を紹介!脳が勝手に勉強したくなるから無意識に強い「集中力」「記憶力」「勝負力」が身につく!
子供の脳の専門家でもあるから!あらゆるテストに効果絶大!
篠原教授は、子供の脳でも多くの実験をしているから安心!だから、「小学校受験」「中学校受験」「高校受験」「大学受験」などに効果があります!
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170409 (考論 長谷部×杉田)首相官邸「暴走」の底流

2017年04月09日 16時03分48秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
4月9日(日):
朝日デジタル(考論 長谷部×杉田)首相官邸「暴走」の底流  2017年4月9日05時00分
  安倍晋三首相の妻、昭恵氏は私人と言い切れるのか。公務員が問い合わせに回答するのは職務ではないのか。先月から相次いで閣議決定された政府答弁書にまつわる疑問。さらに、「首相への侮辱」だとして私人が証人喚問される一方、官僚は文書を廃棄したと開き直る。このような行政権力、とりわけ官邸の「暴走」の底流に何があるのか。長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)と杉田敦・法政大教授(政治理論)に語り合ってもらった。(構成・高橋純子)

■「昭恵氏は私人」簡単に割り切れぬ 長谷部/「偽証罪で告発」と内閣言及、筋違い 杉田
  杉田敦・法政大教授 森友学園問題に関連して、さまざまな閣議決定が出ています。安倍晋三首相夫人の昭恵氏は公人ではなく私人である。夫人付の政府職員が調査・回答した行為は職務ではない。いずれも説得力を欠き、こんな決定を乱発していいのか疑問ですが、そもそも、閣議決定の法的性格とは
  長谷部恭男・早稲田大教授 新たな閣議決定で上書きされるまで、内閣はその決定に拘束されます。ただそれは自身を拘束するだけで、立法権や司法権を必ずしも拘束するわけではない。政府への質問書に対する答弁を決めるには閣議によるしかなく、決定してはいけないとは言いにくい。結局は、中身の問題です。
  杉田 では、首相夫人は私人でしょうか。
  長谷部 公人か私人か、簡単には割り切れません。天皇の行為は、国事行為以外はすべて私的行為かというと、違います。やはり公人としての行為があり、それがいわゆる象徴としての行為です。同じようなことが首相夫人についてもあるのではないか。
  杉田 森友学園の籠池(かごいけ)泰典前理事長は私人ですが、国会で証人喚問されました。ところが公人たる政治家や、官僚は、野党の要求にもかかわらず誰ひとり証人喚問されていない。
  長谷部 国政調査権の使い方がいかにも党派的です。米議会や英議会では、国政調査権を党派的に発動しないというのが大原則です。どちらかの党派に有利/不利だから呼ぶ/呼ばないという判断は、少なくとも建前としてはしないことになっている。中長期的な国政上の課題について調べることが目的ですから。
  杉田 証人として呼ぶのは、犯罪の嫌疑がある人だとする政治家もいました。
  長谷部 話が逆転しています。従来議論されてきたのは、国政調査権を行使することで犯罪の捜査や裁判の遂行に不当な影響を及ぼすのはよくない、捜査対象者は呼ぶべきではないのではないか、という点でした。
  杉田 官房長官は籠池氏を偽証罪で告発する可能性にも言及しましたが、これは国会が判断することで、行政権、内閣がとやかく言うのは筋が違うのでは。
  長谷部 議院証言法で、告発は議院や委員会の権限と明記されていますから、その通りです。さらに、偽証罪が問われる「虚偽の陳述」とは、客観的事実に反する陳述ではなく、証人の記憶に反する供述を意味するというのが判例ですから、立証のハードルはかなり高いですね。

■教育勅語、国民主権と相いれぬ 杉田/教えていい話か、線引きは当然 長谷部
  杉田 昭恵氏が国会で証言すれば、白黒がつく可能性もある。安倍首相は「悪魔の証明」は出来ないなどと言いますが、当事者の言い分が食い違うことは、よくあること。どちらが信用できるかを裁判等で判断するのであって、それは悪魔の証明でも何でもない。単なる事実認定です。
  長谷部 ボールは政権側のコートにある。同じコートに出て打ち返すことは、悪魔でなくてもできます。首相を侮辱した、というわけのわからない理由で私人が証人喚問されている。私人にそこまで要求しておきながら、文書は破棄したので何も言えないと官僚は開き直り、首相夫人は私人だからで済ませています。極めてバランスが悪い。
  杉田 官僚の文書廃棄については専門家から、違法ではないかとの指摘さえあります。保存期間を定めた公文書管理法の欠陥もありそうですが、仮に違法とまでは言えないとしても、そうした無責任な行政のあり方が許されるものなのか。
  長谷部 違法でなければ何をやってもいいのか。私人であればOKです。人のひんしゅくを買うような行為でも、それは個人の判断です。しかし、公人や公務員は違う。中長期的な社会公共のために行動する、そのために様々な権限や便宜を与えられているのだから、私人と同じように法に触れなければいいということには、なりません。
  杉田 先日、教育勅語を教材に使うことは否定しないという閣議決定もされました。たしかに親孝行とか友達と仲良くとか、その部分だけを切り取れば、普遍的な道徳と重なります。ただ、勅語はそういう道徳律を、天皇が臣民に教えるという形になっており、危機の際には「皇運」を助けよと義務づけている。それを朗読させたり、正しいものとして教えたりするのは、日本国憲法に基づく自由民主主義の政治システムや国民主権と相いれません。ところが文部科学副大臣は、教育基本法に反しない限り朗読は問題ないと国会で答弁し、一部の新聞は、言論の自由や思想信条の自由を盾に、戦前のような考え方を教えるのも信じるのも自由だと主張しています。
  長谷部 それは間違いです。学校は、街頭やネット上のような一般的な表現の自由が成り立つ場所ではありません。教育の出発点は憲法26条の子どもが学習する権利です。将来、子どもが自分自身で物事を判断できるようになるための材料を提供しないといけないのだから、教えていい話とそうでない話の線引きがあるのは当たり前です。

■派閥・メディア、弱まるブレーキ 杉田/余裕失いなりふり構わず、危険 長谷部
  杉田 政府に刃向かう者への脅迫的手法という点では、沖縄の件も見過ごせません。反対派への見せしめ的な捜査とも見られることが行われています。また、翁長雄志(おながたけし)知事が辺野古埋め立て承認の撤回方針を表明したことに対して、政権側は一時、翁長知事個人に賠償を求めることもあり得ると言いました。
  長谷部 知事の公権力行使によって国が損害を被ったというなら、国は県を相手に国家賠償訴訟を起こすことになる。しかし国賠法は、知事個人を相手にする制度ではありません。仮に国が勝った場合は、沖縄県が知事個人に求償できますが、それは故意・重過失がある場合だけで、極めて限定されています。
  杉田 国に損害賠償を支払ったのは県財産の損失だとして、政権支持派の住民に住民訴訟を起こしてもらうといったことを想定しているのかもしれませんが。
  長谷部 ええ。ずいぶんと迂遠(うえん)な話を持ち出して、翁長知事に嫌がらせをしているのでしょう。
  杉田 そうした手法をいとわぬ政権の下で、ついに「共謀罪」が審議入りしました。
  長谷部 犯罪行為をやり終わった人を処罰するのが刑事法の大原則です。刑罰は最も苛烈(かれつ)な国家権力の行使だから、行使は控えめであるべきなのに、277の罪名について、計画段階で処罰できることにする。しかもその理由がはっきりしない。国際組織犯罪防止条約批准のためだと政府は説明していますが、この条約の対象はマフィアです。すでに日本政府はテロ対策の条約を多く締結しているので、共謀罪をつくらないとテロ対策ができないという理屈もよくわかりません。
  杉田 共謀罪への反対が強い理由のひとつは、特定秘密保護法と同じで、恣意(しい)的に運用される危険性があるからです。特定秘密法には賛成した長谷部さんが、どうして共謀罪には反対なのですか。
  長谷部 確たる理由もなく、法の基本原則を動かすことになるからです。特定秘密法は法の基本原則を動かすものではありません。
  杉田 それにしてもなぜこれほど行政権力、特に官邸が暴走できるのかというと、ブレーキをどんどんはずしてきたからです。党内派閥は弱体化し、内閣法制局は無力化し、メディアも牙を抜かれている。国民への説明責任を果たそうとしない姿を見ると、「絶対的権力は絶対的に腐敗する」(アクトン)という格言を改めて思い起こします。
  長谷部 なりふり構わなくなっているのは、余裕を失っているということでもあります。トランプ米政権は、国際法の根拠も不明なままシリアのアサド政権軍を攻撃しましたが、それも内政が行き詰まって余裕を失っていることのあらわれと言えなくもない。余裕のないまま暴走する。危険すぎます。
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170408 100分で名著「永遠の未完成、是完成」(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について)、次は三木清「人生論ノート」

2017年04月09日 03時40分54秒 | 日記
4月8日(土):      

NHK「100分で名著」は見る見ないに関わらず、必ず録画している。今日夜半、偶然「宮沢賢治」の話で「星めぐりの歌」が宮沢賢治の作詞作曲の歌であることを知った。それ以上に驚いたのは、それが知らずに聞いたことがある歌だ、ということだった。何だったっけ…、何だったっけ…???。
思い出した! 俺が敬愛する高倉健さん最後の映画「あなたへ」で健さんの奥さんになった刑務所の慰問童謡歌手役をしていた田中裕子さんが歌っていた歌だ!と思いだした。ただの童謡か、流行歌だと思っていたが、意表を突かれた感じだ。迂闊だった。日記として、記録しておこう。

星めぐりの歌」作詞・作曲宮沢賢治
  あかいめだまのさそり /ひろげた鷲のつばさ /あをいめだまの小いぬ /ひかりのへびのとぐろ /オリオンは高くうたひ /つゆとしもとをおとす
  アンドロメダのくもは /さかなのくちのかたち /大ぐまのあしをきたに /五つのばしたところ /小熊のひたいのうへは /そらのめぐりのめあて

次回のシリーズは、哲学者三木清「人生論ノート」だそうだ。俺が若い時から、最も繰り返し繰り返し読み返し、いつもお守りのように持ち歩き続けた本である。楽しみだ。というか、1回目の録画を観て、若い時の俺の読書あとの線と重なっているのを確認できた。しかし、三木清が敗戦直後に、既に敗戦していたのに獄死してしまった事実は知っていたにもかかわらず、この本が1938年~1941年という日中戦争の深み、国家総動員法、治安維持法と特高警察による言論統制・弾圧、日米開戦に向かう戦時下で書かれたものであることは、意識できていなかった。それでも、20代初め~30代の長きにわたって俺は「人生論ノート」を持ち歩き続け心のよりどころにしていたのだ。
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6 045 中野京子「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」(光文社文庫:2008)感想4

2017年04月08日 03時26分47秒 | 一日一冊読書開始
4月7日(金):  

211ページ      所要時間 4:50        ブックオフ108円

著者?歳。北海道生まれ。早稲田大学講師。専門はドイツ文学・西洋文化史

大した内容でないようなのに、思わず昔の世界史の教科書を引っ張り出して「ああそうそう、忘れかけてた。そうだったよな。」と中身を確認させられた。さらには、読書の途中で、録画してあったNHK-BSザ・プロファイラー「女帝マリア・テレジア」を最後まで観てしまう始末。正直読書としては、これしきの本に4h50mも費やしてしまい、なかなか進まないページにいら立ちを隠せなかったが、一方で内容を味わい、面白がって楽しんでしまっているのを認めざるを得なかった。

「やっぱりハプスブルク家ってすごいよな」「ハプスブルク家を理解せずしてヨーロッパ史は分からない」と思った。本書を読むことは、日本の徳川氏300年よりもはるかに長い650年の歴史を誇る神聖ローマ帝国皇帝かつオーストリア国王のハプスブルク家(鎌倉時代の元寇頃~WARⅠまで)を「エピソードで振り返る旅」だった

いつの時代もそうかもしれないが、世界の頂点にいる、それも家柄として偶然大きな権力をもった権力者の連中ってのも実際にはその権力や勢力を維持するために汲々としていて、よほどの例外を除けば、あまり幸せな人生を送った奴は少なかったようだ、という当たり前の真理を再確認した感じだ。だからと言って、俺にはその権力者たちに同情するほどお人好しなメンタリティは全くない!。民衆の生活の方が悲惨なのはもっと当たり前な事実なのだから!

本書の読者に求められる、本書を面白がって楽しめるかどうかのハードルはけっこう高いレベルだと思う。最低でも神聖ローマ帝国皇帝のハプスブルク家に、オーストリア=ハプスブルク家とスペイン=ハプスブルク家があったことぐらいは知っていることが求められる。さらに、ハプスブルク家とローマ=カトリック教会の腐れ縁、三十年戦争、スペイン継承戦争、オーストリア継承戦争などの言葉にある程度反応したり、感慨を覚えることができないとなかなか本書を楽しめないだろう。

その上で、七選帝侯、カール5世(カルロス1世)、宗教改革、フェリペ2世、ヘンリー8世の娘メアリーとエリザベス1世、アルマダの海戦、マリア・テレジア、フリードリヒ2世(英傑だが強烈な女性蔑視者!)のシュレジェン占領、外交革命、ルイ16世とマリー・アントワネット、「戦争は他の者にまかせておくがいい。幸いなるかなオーストリアよ、汝は結婚すべし!極端な鷲鼻と受け口と多産な女性家系という特徴を、究極の近親相姦を繰り返しながら「高貴な青い血の純潔」を維持していく。

著者は、特に「フェリペ2世」がお気に入りのようだが、俺は個人的には、ライヒシュタット公の7,8歳の肖像画に心魅かれた。彼こそは、ローマ王と呼ばれた子供であった。21歳という若さで肺結核で逝った彼の遺体は巡り巡ってパリのアンバリッドで偉大な父とともに眠っている。さて、わかるかな?! 分かるよね!

振り返れば、ページ数は少ないが、本書を楽しむためには相当な歴史的教養が前提として求められる。センター試験「世界史B」なら最低でも80点以上ぐらい取れる歴史知識がないと厳しいだろう。本書は、読者を選ぶ、または読者に要求する書物だと言えるだろう。たくさん絵画の名品が出てるから簡単な本だと思って手にしたなら、とんでもない本である。それらの絵画の名品の背後にある歴史をじっくりと味わう本なのだ。

ちなみに、手塚治虫の漫画「リボンの騎士」シルバーランドのサファイア姫のモデルは、俺にはマリア・テレジアに思えて仕方がない。

【目次】アルブレヒト・デューラー『マクシミリアン一世』/フランシスコ・プラディーリャ『狂女フアナ』/ティツィアーノ・ヴィチェリオ『カール五世騎馬像』/ティツィアーノ・ヴィチェリオ『軍服姿のフェリペ皇太子』/エル・グレコ『オルガス伯の埋葬』/ディエゴ・ベラスケス『ラス・メニーナス』/ジュゼッペ・アルチンボルド『ウェルトゥムヌスとしてのルドルフ二世』/アドルフ・メンツェル『フリードリヒ大王のフルート・コンサート』/エリザベート・ヴィジェ=ルブラン『マリー・アントワネットと子どもたち』/トーマス・ローレンス『ローマ王(ライヒシュタット公)』/フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター『エリザベート皇后』/エドゥアール・マネ『マクシミリアンの処刑』

【内容情報】スイスの一豪族から大出世、列強のパワーバランスによって偶然ころがりこんだ神聖ローマ帝国皇帝の地位をバネに、以後、約六五〇年にわたり王朝として長命を保ったハプスブルク家。常にヨーロッパ史の中心に身を置きながら、歴史の荒波に翻弄され、その家系を生きる人間たちの運命は激しく揺さぶられ続けた。血の争いに明け暮れた皇帝、一途に愛を貫いた王妃、政治を顧みず錬金術にはまった王、母に見捨てられた英雄の息子、そして異国の地でギロチンにかけられた王妃ー。過酷な運命と立ち向かい、また定めのまま従容と散っていったヒーロー、ヒロインたちは、どこまでも魅力的。彼らを描いた名画に寄り沿い、その波瀾万丈の物語をつむぐ。
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6 044 イ・チョルファン著・草彅剛訳「月の街 山の街」(ワニブックス:2011)感想3+

2017年04月06日 02時02分26秒 | 一日一冊読書開始
4月5日(水):  

191ページ    所要時間1:50     アマゾン258円(1+257)

翻訳者36歳(1974生まれ)。国民的人気グループ「SMAP」のメンバーとして多岐に渡る活動を繰り広げる傍ら、俳優としての活動も高く評価されており、数々の受賞を誇る。2001年からTV番組の企画を機に韓国語の勉強を始め、その後語学力を生かして「チョナン・カン」として韓国でも活動、日韓交流に大きく貢献している。 *ハン・ソッキュに影響されたそうだが、草彅剛さんやっぱりすごい!

本作を読んでいて、ある種の「なんだその程度の話で…」と思うことは正直言ってかなりあった。本作を「お涙頂戴」「一杯の掛蕎麦」と貶すこともできる。しかし、そんなことを考える気は俺には毛頭ない。むしろ、翻訳者の草彅剛さんに対する強い尊敬心・憧憬の念と「もう一度自分も韓国としっかりと向き合いたい」という思いと、自分に残された(人生の)時間を指折り数えてその少なさに消沈する思いが錯綜した。その意味では、普段と違う動揺を伴なう読書になった

相手を貶めるのではなく、それがベストセラーになる韓国の人々の心性・国民性を理解しようと考えるべきだと考えれば、答えは割合明快に出てくる。「韓国の人々は細やかな優しさを持つ。感受性が豊かである。弱さもあるが、人間として信用できる。特に、”愛”においてキリスト教の影響が日本よりも強い」という隣国に対する前向きな信頼感に気付くことができる。はにかみ、含羞は日本だけでなく、韓国にも当てはまる。俺自身の経験でもそれは確認済みだ。そんなことをぼんやり思いながら、読んでいたが、最後の「翻訳者あとがき」で草彅剛さん自身がしっかりとそこを押さえてくれていて、正直「参りました」という気分になった。曰く、

・翻訳する中で何度も感じたのは、この作品にはいい意味での違和感があるということ。略。「え、それってどうなんだろう」と思うくらい突拍子もなかったりするのですが、そこが韓国の魅力で、僕が韓国を好きな大きな理由でもあるのです。/日本では略、韓国の作品では万人には受け入れられにくいこともそのまま描いてしまう。だけど、僕は人の真意というものは正にそういうところに宿っていると思うのです。略、その違和感に自分がバシッとはまると、とてつもなく感動するのではないでしょうか。
・人が人を好きになるポイントや、人の可愛らしさって、その人の弱点やコンプレックスの中にあったりすると僕は思うんですけど、韓国の作品ではそれがうまく表現されている。略。/韓国のものや作品は僕をすごく成長させてくれます。無意識のうちに感じるところがあるというか、僕の本能で必要と感じているので、これからも韓国の人や作品に関わっていきたいですね。
・愛情深く、韓国ならではの魅力、”良い違和感”にあふれたこの作品を皆さんにも楽しんでいただけるとうれしいです。
以上190~191ページ

あと一言だけ、挿絵がすごく優しくて気に入りました。絵本としての魅力もある本だと思います。

【内容紹介1】「チョナン・カン」として日韓交流に大きく貢献してきたSMAPの草彅 剛さん初の翻訳本。 原作は韓国でシリーズ累計360万部という異例のベストセラーを記録。 「月の街」「山の街」と呼ばれる韓国の貧民街に住む、何も持っていなくても心に愛を持つ人々が織りなす、ささやかだけれども幸せを運ぶ実話集です。 翻訳出版にあたり数冊に及ぶ原作からストーリーを厳選して抜粋・収録。時代や国境を越えた感動を呼ぶ物語が凝縮されています。
【内容詳細2】韓国には「月の街」「山の街」と呼ばれる、貧しい人々が住む街があります。舗装されていない丘の斜面に密集する住宅地。急な階段を上って人々はそこへ帰っていきます。高い場所に位置し、月や山に近いことから、そう呼ばれるようになりました。この本は、そんな「月の街」「山の街」に住む人々のとても温かい物語の数々を収録したものです。
【著者紹介】
イチョルファン : 小説家、童話作家。長編小説に『月の街 山の街(原題・練炭の道)』など。韓国で驚異の大ベストセラー『月の街 山の街』は中国と台湾、『こんぼパン』は日本、『ソンイの黄色い傘』『ラクダおじいさんはどこへ行ったのか』は中国でそれぞれ翻訳出版されている。『月の街 山の街』は2009年、ミュージカルとしても上演され、第4回ミュージカルアワードで小劇場創作ミュージカル賞を受賞した。著者の作品のうち、『美しい別れ』『パパの松葉杖』は小学校の教科書に、『お父さんの傘』をはじめ7作品が中学校の国語の教科書に掲載された。
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6 043 教科書「高等学校 改訂版 新現代社会」(第一学習社)感想5

2017年04月05日 18時31分13秒 | 一日一冊読書開始
4月5日(水):  

208ページ    所要時間2:45     借用書

今度、高校に進学する親戚の女の子から買ったばかりの『現代社会』の教科書を見せてもらった。1ページ30秒を目安に眺め続けた。当然だが、ゴシックの太字を追いかけるので精一杯だった。但し、この程度の内容は大体知っている。内容は少し食い足りないが、幅広くまんべんなく社会を考える問題が提議されていた。高校生が、しっかりと学べば世界を観る目が相当付くだろう。でも、それはできればのことであって、特に後半の「経済」は結構ボリュームがあって、これを週2コマの授業でやり切ることはほぼ無理だろう、と思った。

でも、今の教科書って、俺が高校生だったころと比べたら、写真も図版も多くてカラフルできれいでわかりやすくて読みやすい。結構面白い!池上彰さんの番組を思い起こした。

【目次】第1編 私たちの生きる社会:1環境と私たちの生活/2資源・エネルギー問題と私たちの生活/3科学技術の発達と私たちの生命/4高度情報社会と私たちの生活///第2編 現代社会と人間としてのあり方生き方:第1章 青年期と自己の形成/第2章 個人の尊重と法の支配/第3章 現代の民主政治と政治参加の意義/第4章 国際政治の動向と日本の役割/第5章 現代の経済社会と私たちの生活/第6章 国際経済の動向と日本の役割/第7章 民主社会に生きる倫理///第3編 ともに生きる社会をめざして:ケーススタディ/スキルアップ
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6 042 石井光太「神の棄てた裸体 イスラームの夜を歩く」(新潮文庫:2007) 感想4

2017年04月05日 02時02分56秒 | 一日一冊読書開始
4月4日(火):      

398ページ    所要時間2:00    ブックオフ108円

著者30歳(1977生まれ)。東京生れ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。

著者の本は、ブックオフなどで見つけるとほとんど無条件で反射的に買ってしまう。読書習慣復活を目指して、1ページ15秒のルールで最後まで眺め切った。何か、道を歩いていて目に飛び込んでくる風景や点景を眺めながら進んでいくような気分だった。当然、細かな事柄は記憶に残りにくいが、全体としてどのようなことが起こっていて、著者がどういうスタンスでどういうことを感じ、考えているのかはわかった。そして、とりあえずは、それで十分ということにして、少しでも接することのできる本の数を増やしていきたいと思っている

著者は、国内外で見捨てられたり、底辺、それも最底辺にあえぐ人々に素のままで接して関わって、その知りえた現実・事実を世間に問い直すのが作風の一つになっている。著者によって示される現実の厳しさは、たいていの場合、我々が「これは大体この程度だろう」と高をくくっているレベルをはるかに超えている。

著者は、学者ではないし、事前に下調べをしっかりとしていくよりも若さに任せてその世界に飛び込んで実態を抉り出す作風である。著者に対して「壮大な<もの好き>」という印象を俺は持っている。そして著者の文章は、理屈よりも目前の事実を知らせることに重点を置いているせいか、とても読みやすい。頭に流れ込んできやすいのだ。今まで読んでみてあまり失敗がない。

世界で3人に1人がムスリム(イスラム教徒)になる時代を目前にして、ムスリムに対して強い関心がある。ムスリムと言えば、厳しい「戒律」のイメージが先走る。隣・近所のムスリムとどうやって我々異教徒は付き合えばよいのか。豚肉・アルコールのタブーは有名だが、例えば、ゲイや同性愛は死刑である。でも考えてみれば、北アフリカ・中東から中央・南アジア、東南アジアのムスリム・ベルトともいうべき国々は、一部のオイルマネーで潤った金満国を除けば、開発独裁国家崩れの政情不安定・紛争地帯、貧富の差が大きな貧しい途上国があり、途中にヒンドゥー教のインド、仏教のミャンマー・タイなど異教徒の国とも混在している。

ムスリムだから「戒律」に忠実で、立派な、シャキッとした人たちであるはずだ、というイメージがどうしようもなく現実のイスラム世界のあり方とズレているのは、明らかだ。しかし、そのイメージのズレを説明せよと言われると途端に困ってしまう。多数派として異教徒とどう接するのか。少数派として多数派の異教徒とどう接するのか。「貧困者」として、「女性」として、天涯孤独な「子どもたち」として、「路上生活者」として、「LGBT」として、「戦争被災者・難民」として、弱者・マイノリティとされる人々に対して、イスラムの社会の最底辺でどんな現実が展開しているのか。いかに絶望的な現実が、見過ごし、見捨てられているのか。それは「イスラム教」自体と直接関係しているかもしれないし、関係していないかもしれないが、彼らに目を凝らす旅人として著者は最も醜く弱い部分をさらけ出して伝えてくれる。

遠い世界の現実ではない。日本だって少し油断すれば、悲惨な状況に置かれる人々が急増するはずだし、すでに子供や弱者の貧困は先進国中で最低のレベルだ。「美しくない国 日本」の未来図としても参考にしてしまった。

【目次】第1章 街娼たちの渇愛―インドネシア/パキスタン(夜会/ 婆/ 兄弟の秘め事/ 禁じられた舞踊)/ 第2章 異境を流れる者―ヨルダン/レバノン/マレーシア(月の谷の女/ 死海の占い師/ 堕天使)/ 第3章 家族の揺らぎ―バングラデシュ/イラン/ミャンマー(人さらい/ 砂漠の花嫁/ 問わず語り)/ 第4章 掟と死―パキスタン/アフガニスタン/インド(銃声の子/ 花の都の裏切り者/ 切除/ 水の祈り)/ 第5章 路上の絆―バングラデシュ(浮浪児の渇き/ 幼ない乳)

【内容紹介】イスラームの国々では、男と女はどのように裸体を絡ませ合っているのだろう―。「性」という視点からかの世界を見つめれば、そこには、性欲を持て余して戒律から外れる男女がいて、寺院の裏には神から見放された少女売春婦までがいる。東南アジアから中東まで旅し、土地の人々とともに暮らし、体感したあの宗教と社会の現実。戦争報道では分からない、もう一つのイスラーム報告。
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)