山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

イスラエルは国際司法裁の命令に従え

2024年05月28日 11時08分11秒 | Weblog
 ハマスが停戦合意受け入れを発表したその時、イスラエルは交渉の責任を
放棄して、南部ラファ侵攻の作戦を決定していた。5月7日、イスラエルは国際世論を無視して地上戦を再開した。
 23日、イスラエルはガザ全域を空爆・砲撃し、60人の命を奪った。ついで26日、ラファの避難民のテントが集まる地域を攻撃した。45人が死亡した。イスラエル当局は、精密弾をもちいてハマス2人を殺害した、民間人に犠牲が出たことを遺憾に思うと発表した。許せない。自分たちの軍事作戦のために無辜の民間人を殺すことは仕方がない、イスラエルにはそれが許されるのだというとんでもないエゴがある。自分たちは十分配慮している、そのために避難することを通告しているというのだ。北部から中部へ、そして南部へと国際法違反の集団移住を要求してきた。これが恩恵だというのだ。もともと220万のガザ住民のうち戦火に追われ追われしてきた150万人が南部ラファに避難してきた。
 ところがそこがハマスの最後の拠点だとして、そこも退去せよ、南部のうちの西側つまり地中海寄りに移動せよと通告していた。南部のうちの東部・中部は戦場とされ、廃墟となりつつある。西部には80万人以上がラファから逃げてきた人で悲惨な状況らしい。
 つねづねはらわたが煮えくり返るのは、ネタニヤフ首相が人道に反する攻撃の際に、われわれは事前に避難を求めていた、十分人命に配慮した作戦をしている、ハマスを壊滅するまで軍事作戦をする権利があるなどと繰り返すことだ。しかもそのインタヴューは彼らの囲われた会見場なので批判や反論は一切なしだ。テレビは国際法違反の言辞に対してこれに対抗する見解をかぶせる義務があるのに、肯定的にこれを流すばかりだ。
 20日、国際司法裁判所のカーン主任検察官が、イスラエルのネタニヤフ首相やハマスの指導者の戦争犯罪での逮捕状を請求したと発表した。ネタニヤフ首相とガラント国防相は、戦争の手段として文民を飢餓状態にした、身体に重い苦痛と傷害を与えたこと、文民への故意の攻撃・殺人、飢餓による死を含む全滅・殺人などの戦争犯罪での逮捕状請求だ。スペイン政府が宣言したように「真のジェノサイド」というべきものだ。
 国際司法裁判所はハマスに対しても戦争犯罪の責任を問うた。ヤヒヤ・シンワルガザ地区指導者、ムハンマド・ディアブ司令官、イスマイル・ハニヤ政治部門指導者にも逮捕状を請求した。民間人を攻撃したこと、人質に取ったことについて責任は問われなくてはならない。ただ、イスラエルの何十倍返しの虐殺行為はジェノサイドとして裁かれなくてはならない。10月7日のハマスの民間人攻撃については賛成できない。しかし問題が10月7日に始まったのではなく、短期的に見ても、2008~09年、2012年、2014年のイスラエルのガザ侵攻の延長であって、単独に存在するものではない。長く見れば、1967年の第3次中東戦争でイスラエルがヨルダン川西岸地区とガザ地区を制圧し、100%の植民地状態にして以来の歴史を考えなければならない。
 国際司法裁判所は24日に、イスラエルに対してガザ南部での軍事攻撃の中止を求めた。これまで人道支援、食料搬入をもとめた2度の暫定措置命令につづく新たな命令だ。イスラエルはこれまで命令を無視して、軍事作戦を強行してきたことでガザの人権状況は最悪になっている。南部で追い詰められた人々は水も食料もトイレも風呂もなくまさに危機的だ。軍事作戦の中止命令に対してイスラエルもアメリカも反発しているが、国際世論はこれを機に一気にイスラエルを追い詰めなければならない。
 イスラエルを国際司法裁判所に告訴した南アフリカ政府は、この決定を「画期的だ」と歓迎した。反発しつつも追い詰められたイスラエルは、休戦交渉の再開についてカタール政府と合意に達したとの報がある。
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