アメリカの電気自動車メーカーのCEOのイーロン・マスク氏がツイッターを買収してすぐに従業員の半数を解雇した。有無を言わさぬ荒業で首を切った。当然訴訟を含む反撃がなされるだろう。今度は少し手直しをして、ツイッターの従業員に「長時間猛烈に働く」ことを求め、同意できなければやめるよう通告した。11月16日未明、従業員にメールで通知した。「はい」と返事をした人だけが残り、あとは首を切るというのだ。17日午後5時までに同意しない人は、3か月分の賃金を退職金として支給して解雇する。退職金が一律3か月分というのも無茶苦茶だ。明け方に通知して翌日締め切りというのも労働者を人とも思わぬ悪辣さだ。
同じようなことはアマゾンでも起きている。16日、およ1万人の解雇を発表した。
アメリカの成り上がりの億万長者は人の心を持ち合わせていないことがこの件でよくわかった。
アメリカは解雇規制が緩いというか、ないということは聞いていたが景気がちょっと下向きだと見たら、まず首切りをする。
日本の自民党や右翼の人たちは、日本国憲法はアメリカによる押し付け憲法だと口を開けばいう。アメリカにない、日本国憲法の大きな特徴は社会権、生存権、労働権がしっかりしていることだ。これは鈴木安蔵ら憲法研究会の人たちが社会権をしっかり書き込んだ憲法草案をつくったことが今に生きている。GHQにも届けたが、アメリカの憲法風土に育ったGHQの担当者は社会権を理解せず、マッカーサー草案は労働権、教育権以外の憲法研究会提案を取り入れなかった。だが、憲法草案を審議した最後の帝国議会で憲法研究会の提案を受けて社会権が修正で取り入れられたのだ。有名な25条の生存権規定「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」だ(憲法研究会は「最低限度の」とはいっていないが)。日本国憲法では憲法27条の労働権、労働者の権利が労働者保護法の土台として生きている。だが新自由主義「改革」のもとで相当えぐられてきているが。
日本の資本家や自民党・維新らは、日本の解雇規制は厳しすぎるとがたがたいうが、労働者を人間らしく生かすための最低限のセーフティーネットなのだ。やりたい放題のアメリカの解雇をきびしく批判しておかないと、アメリカでは経気動向の変化に機敏に対応してさずがだというような発言がすぐにテレビの右翼コメンテーターがやりだす。すでにその兆候が見られる。