3月31日(日)のMBS「サンデーモーニング」で総選挙違憲無効判決を受けて議論があった。そこで激しく論を展開したのが日本総研の寺島実郎氏だ。
氏の言うのは、1票の平等は大切だが、これを徹底すると都市住民による都市のための政治になる危険があるという点。もう一つは、アメリカは1票の格差はないが、アメリカとの人口比でいうと日本は議員定数を半分にすべきだ。1票の格差是正も議員定数削減とリンクさせて議論しないとだめだ。日本では議席が職業と化し、チルドレンなどが続出する、政党助成金を入れると議員一人当たり2億円かかっているから定数削減と一体の議論が必要だというものだ。
はっきりいって、がっかりした。テレビに出してもらえる人は、そのほとんどが右翼か、極右の人ばかりだ。「サンデーモーニング」は右翼でない人もでてくるめずらしい番組なのでよく見ていた。寺島さんは、アメリカがイラク侵略戦争を起こしたときに、これを批判して論陣を張ったので、以来注目してきた。
今日の寺島氏の議論では、地方の意見や利益を確保する政治制度をどう内包するかという点は大事だと思った。だがそれ以外は、まったくの謬論で、マスメディアあげて世論誘導してきた定数削減で身を切れという路線から一歩も出ていない。
1票の価値の平等を実現することと、定数削減は別の問題だ。むしろ定数削減するとより1票の格差が生じやすくなる。定数削減論では、橋下徹氏が大阪府議会と鳥取県議会を比べて人口比では鳥取は議員6人でいいと、内政干渉の暴論をはいた。定数削減論はこの橋下氏の議論に集約される。少なければ少ない方がいいということになる。これは寡頭政治につながる。だが、民主主義は逆だ。できれば全員参加の直接民主主義がいい。しかしそれは無理だから、間接民主主義の代議制をとっている。その代議制も代議員が本来多い方がいい。なんで減らすのがいいのか。金がかかって無駄だという。ならば議員一人当たりの経費をへらせばすむことだ。市民の代表として選出される人は多い方がより民主的だ。かける経費はかえずに議員を増やすのが民主的だし、1票の格差も少なくなる。それでも金がかかるというなら、政党助成金を全廃すればいい。共産党はすすんで実践しているではないか。一人あたりの経費を減らして議員をふやす、助成金廃止は廃止する。これが日本の民主主義の回復の道だ。かけるお金を減らして民主主義を充実する。
格差のない選挙制度は、全国1区の完全比例代表制しかない。その際、人口の少ない地方の意見をどう制度的に反映させるかを検討しなければならない。わたしが考えるのは、各党の当選順位名簿に地方ごとの枠を義務付ける制度だ。地方の意見を議席に反映させる比例代表制をつくることはできる。
(3月31日)