山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

寺島実郎の1票の価値をめぐる誘導的議論にがっかり

2013年04月09日 23時15分10秒 | Weblog
                  
 3月31日(日)のMBS「サンデーモーニング」で総選挙違憲無効判決を受けて議論があった。そこで激しく論を展開したのが日本総研の寺島実郎氏だ。
 氏の言うのは、1票の平等は大切だが、これを徹底すると都市住民による都市のための政治になる危険があるという点。もう一つは、アメリカは1票の格差はないが、アメリカとの人口比でいうと日本は議員定数を半分にすべきだ。1票の格差是正も議員定数削減とリンクさせて議論しないとだめだ。日本では議席が職業と化し、チルドレンなどが続出する、政党助成金を入れると議員一人当たり2億円かかっているから定数削減と一体の議論が必要だというものだ。
 はっきりいって、がっかりした。テレビに出してもらえる人は、そのほとんどが右翼か、極右の人ばかりだ。「サンデーモーニング」は右翼でない人もでてくるめずらしい番組なのでよく見ていた。寺島さんは、アメリカがイラク侵略戦争を起こしたときに、これを批判して論陣を張ったので、以来注目してきた。
 今日の寺島氏の議論では、地方の意見や利益を確保する政治制度をどう内包するかという点は大事だと思った。だがそれ以外は、まったくの謬論で、マスメディアあげて世論誘導してきた定数削減で身を切れという路線から一歩も出ていない。
 1票の価値の平等を実現することと、定数削減は別の問題だ。むしろ定数削減するとより1票の格差が生じやすくなる。定数削減論では、橋下徹氏が大阪府議会と鳥取県議会を比べて人口比では鳥取は議員6人でいいと、内政干渉の暴論をはいた。定数削減論はこの橋下氏の議論に集約される。少なければ少ない方がいいということになる。これは寡頭政治につながる。だが、民主主義は逆だ。できれば全員参加の直接民主主義がいい。しかしそれは無理だから、間接民主主義の代議制をとっている。その代議制も代議員が本来多い方がいい。なんで減らすのがいいのか。金がかかって無駄だという。ならば議員一人当たりの経費をへらせばすむことだ。市民の代表として選出される人は多い方がより民主的だ。かける経費はかえずに議員を増やすのが民主的だし、1票の格差も少なくなる。それでも金がかかるというなら、政党助成金を全廃すればいい。共産党はすすんで実践しているではないか。一人あたりの経費を減らして議員をふやす、助成金廃止は廃止する。これが日本の民主主義の回復の道だ。かけるお金を減らして民主主義を充実する。
 格差のない選挙制度は、全国1区の完全比例代表制しかない。その際、人口の少ない地方の意見をどう制度的に反映させるかを検討しなければならない。わたしが考えるのは、各党の当選順位名簿に地方ごとの枠を義務付ける制度だ。地方の意見を議席に反映させる比例代表制をつくることはできる。
                                                        (3月31日)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪市営地下鉄・バス民営化くいとめる

2013年04月09日 23時13分06秒 | Weblog
           
 3月28日、大阪市議会交通水道委員会で、地下鉄・バスの民営化が継続審議となった。この3月に民営化を決めようと迫っていた橋下市長のもくろみはとん挫した。明確に反対は共産党だけで、公明、自民、民主の順に橋下に追随しているので予断を許さない。
 他府県では地下鉄は赤字でも公営でがんばっている。大阪市の地下鉄は、2003年から単年度黒字になり、累積赤字を2010年に全国で初めて解消し、それ以降は黒字を累積するようになっている。
 負債(借金)は5976億円だが、2011年度だけで708億円、2008年度からの4年間で1566億円も返済している。
 2011年度は市バスへの支援30億円を差し引いて167億円の利益を上げている。さらに減価償却費が379億円あり、事実上の黒字は546億円になっている。
 大阪市の地下鉄は、民営化しなければ市に負担がかかってやっていられないということではない。まったく逆だ。これからは巨額投資を必要とせず、安定収入が保障される優良企業だ。橋下市長はこれを財界のために譲り渡そうというのだ。これまで市民の税金をつぎ込んでつくりあげた市民の財産を。
 地下鉄とともに、市バスも132路線のうち43路線を廃止し、残り89路線を売却しようとしている。市バスは、公共の福祉の増進を目的としたものであり、営利を目的としたものではない。高齢社会になった今、ますます公共の福祉としての市バスの役割が大きくなっている。市バスはお年寄りの友、下駄代わりだ。地下鉄の利益を市バスに投入する額を増やせば、高齢者の移動の自由を保障することができる。高齢者を町に引き出さず、家に閉じ込めることは、衰えを促進し医療費の増大にもつながる。
 橋下市長は、大阪市を解体し5つか7つの特別区をつくるといっているが、そうなれば大阪市交通局は当然消滅する。その前に、さっさと消滅させようというのだ。
橋下市長は民営化が承認されなかったことで、近距離運賃の10円値下げができなくなったとケチな脅しをかけているが、やろうと思えばすぐできるのになんともいやらしい。橋下らしいリアクションだ。
                                                       (3月30日)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1票の価値の不平等を歪曲する自民・公明とマスメディア

2013年04月09日 23時10分09秒 | Weblog
       
 12月の総選挙が違憲であり、無効だという判決が出たが、判決の趣旨を踏まえず、これを歪曲する動きが目立つ。
 国会で、自民党公明党が0増5減でお茶をにごそうとすると、民主党はそれではダメだ抜本改革をしろという。ところがその抜本なるものは、定数の大幅削減だ。とくに比例代表制の削減。まったく1票の不平等の解消と関係のない方向だ。これは判決が出るずっと前、去年の選挙前から言っていたことではないか。判決で突きつけられた問題になんら向き合おうとしていない。
 マスメディアも同じだ。意見を求められたコメンテーターが、0増5減だけでなく定数削減にまでいかないと意味がないということをいう。まったくわかっていない。
 消費税増税するために、議員もみずから身を切るべきだ、議員定数を80削減するべきだと野田民主党政府とメスメディアが誘導してきた。だが、選挙制度は議員の私有物ではない。民主主義の制度だ。身を切るというなら、政党助成金を全額返還せよ。政党助成金を返還すれば、議員定数を増やしてもおつりがくる。
 判決が迫ったのは、限りなく1倍に近づけることだ。そのための抜本改革だ。
                                                        (3月29日)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする