山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

橋下知事 なにわ筋線で新大阪~関空30分台のウソ

2009年04月19日 08時08分01秒 | Weblog
 わが橋下知事が、WTCへの府庁移転に失敗しておとなしくするのかと思ったら、今度は、高速道路淀川左岸線となにわ筋に鉄道を通すと騒ぎ出した(09・4・18『産経新聞』、4・19『朝日新聞』)。
 大阪は交通網にミッシングリング(失われた環)があって、それをつなげば、効果は100倍にも千倍にもなると、橋下知事は言う。100倍などといい加減なことを平気で言う。でも大阪ほど鉄道網が整備されたところはないと思うのだが。淀川左岸線は1970年代からの公害反対世論で建設されなかったものだ。
ここでは、なにわ筋新線について書こう。
 橋下氏がさかんにぶち上げているのが、新大阪から梅田北ヤードの梅田貨物線を通ってJR福島からなにわ筋に入って南下し、JR難波駅と南海汐見橋駅までを新設するというものだ。なにわ筋から最後は、二つに分かれ、JRと南海につなぐ。JRの方は、JR難波駅から既設の線路を通って環状線今宮駅で「特急はるか」と同じ線に合流する。橋下氏によればこの新線を通ることによって、新大阪から関西空港まで現在は「特急はるか」で47分かかるのが、30分台でいけるというのだ。8分ないし10分短縮できるというのだ。本当か?
 新聞の地図または道路地図などで見てほしい。なにわ筋線は南北にほぼ直線、それに対して「はるか」が通る環状線は西に大きく三角形状にふくらんでいる。数学の「三角形の二辺の和は他の一辺より長い」の定理によって、「はるか」のほうが距離は長い。なにわ筋線が時間を短縮できるとしたらこの三角を直線で走ることにある。もちろん「はるか」もノンストップだ。「はるか」も梅田貨物線を通るから大阪駅には止まらない。西九条には止まる列車もある。天王寺には止まる。環状線の福島から今宮の距離をノンストップで走る「はるか」を、なにわ筋線を直進することでそんなに短縮できるのか??とうてい無理だろう。関空快速の大阪~天王寺間は早い時間帯で17分、遅い時間で19分だ。3つの止まる駅の時間をのぞけばノンストップで13、14分くらいだろう。「はるか」で新大阪~天王寺間が早い時間帯で15分、遅い時間帯で20分だ。福島~今宮間では10分くらいだろう。この「はるか」の10分の区間で8分も短縮できるのか。絶対に無理だ。あと短縮できるところがあるとしたら、新線は天王寺にも停車しないということで1分ほどを稼ぐしかない。「はるか」は京都や奈良など大阪府外の人を主な客層としているのだろう。大阪駅に止めないことでそれがわかる。でも新線が天王寺にも止めないのなら奈良方面からは利用不能だ。いまでも「はるか」はガラガラだ。大阪のJR関係の客は「はるか」ではなく関空快速に乗る。天王寺に止めるとすれば、8分はおろおか、5分短縮もむずかしい。
 このように見てくると、橋下なにわ筋線は8分10分どころか、わずが数分のために3000億円をつぎ込むのは、まったくばかげている。だが、橋下氏は、「将来世代に負担を先送りしないためにと歳出削減を進めてきたが、将来世代のために必要な社会インフラなら借金を負わせても作るべきだ」と言っている。なにをいうか。まず削った教育費を元に戻せ。将来世代のための教育費を削って、なにが将来だ。
 この橋下なにわ筋線に対して、最大の負担を要求されている平松大阪市長は同意してしない。大阪市民の利便に供する鉄道ではまったくない。橋下氏は財界のための事業の創出に関心とねらいがある。それにしても、新聞は、なんの疑問も、何の批判も書かずに、橋下氏の言い分を垂れ流しするばかりだ。
コメント (5)
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