山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

佐伯祐三展を見にいこう

2008年09月20日 01時01分49秒 | Weblog
 このブログ開設の最初の記事を佐伯祐三展のことにできたのはうれしい。10年前の生誕100周年展にも行き、私自身彼の絵が好きで、画集も買っていたこともあるし、また多くの人、とくに大阪の人々に好かれている画家だから。
 前回すこしふれたノートルダムについて。
 10年前と同様、ノートルダム3点が展示されている。ひとつは、わが北野高校所蔵のノートルダムだ(私は定時制の教員で、佐伯祐三は夜間中学が誕生する前の北野中学校の生徒であった)。もうひとつは、夜のノートルダムだ。これは裏に別の絵が描かれていて、展覧会では、夜のノートルダムが逆さまに展示されている。3つ目は、やや緑がかった色調で統一されていて、三つのなかでは一番いいかなあと思った。
 ノートルダム3作は、主題とがっぷり四つに組んで、大勝負をした形跡が十分うかがえて、われわれを十分納得させてくれる。他の作品とはちがう重厚さを感じさせる。それでも、北野高校蔵のノートルダムをよくみると、これは北野高校図書館主催の展示会(毎回、高橋先生の尽力による)でもじっくり眺めたのだが、ノートルダム自体と執拗に格闘しその跡はもりあがった絵の具からうかがうことができる。
 だが、前回も書いたように、この北野のノートルダムもよくみると、教会以外の部分はカンバスの地肌がみえる。このアンバランス、執拗なノートルダムとそれ以外の部分への無関心(いい過ぎ)のアンバランス。だがもう少し考えてみると、カンバスを全体として完成させることに執着するのではなく、主題であるノートルダムとの格闘をカンバスにのせることに集中したのであろう。
 北野高校蔵のノートルダムは、図書館によって、全日制の生徒は3年間のうち一度は見ることができるように展覧会が催されている。今度の全国巡回の展覧会のように、ノートルダムはお出かけしていることが多いので、いつでも見せることはかなわない。今年1学期の校内の展覧会(手塚治その他多くの資料を展示した)でノートルダムを鑑賞した。
 ぜひ多くの人に、とくに大阪の人に鑑賞してほしい。見ないともったいない。百点もの佐伯祐三作品をまとめて鑑賞できるとは、こんな幸せはないではないか。
 いやなことが多いこの時代に、いい展覧会をじっくりとみよう。そしてエネルギーを蓄えよう。
コメント
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