マイタのブログ

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今日は長文だよ~

2008年01月26日 | 金鶴

「明日は海が荒れるから、今日のうちに来たほうがいいんじゃないか」

金鶴の加藤 健社長(通称 ケンさん)から電話があったのが午後4時30分ころ。天気予報もそんなこと言ってるし、それではっと最終のフェリーにて佐渡へ。

ケンさんの自宅に泊めてもらい(この図々しさは治さねば、と いつも思ってはいるのですが…)、翌朝 ちょっと離れたところにある仕込蔵へ移動。

蔵の皆さんに挨拶して、ブログ用の写真を撮らせていただくことに。 仕事の邪魔にならないことと、公開する写真なので万が一にも関係者の方々に迷惑をお掛けしないよう、バカな私なりに配慮した上での画像なので、画質やアングルが悪いのはご了承くださいませ。

070_3 精米された吟醸用の原料米を洗うと同時に水を吸わせる限定吸水。目的の水分含有量にするため、傍らで一人が時間を計っており、「ごー、よん、さん、にー、いち」の合図に合わせて素早く行う秒刻みの緊張感漂う作業です。真冬の冷えた蔵の中、冷水で手が赤く染まっているのは杜氏のマサルさん。

半透明だったお米が水を吸って白くなります。 

水切りもしっかり管理。

甑(こしき)で原料米を蒸しているのは倉内さん。食べるお米と違って、炊くのではなく蒸気で蒸します。よく出来た蒸米は芯がなく、触っても手に着きにくくボロボロしてます。炊いたお米では水分量が多くてこのようにはならないそうで。

ちなみに、「酒米は食べても美味しくない」と、本などによく書かれてますが、私は蒸したてのこのお米は美味しいと思いますがねぇ。

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蒸したお米は適温に冷ましてから麹室(こうじむろ)へ。ここで麹菌を着けて麹米を造ります。酒造りに於いて最も重要とされている作業だけあって、床もみ・切り返し・盛り…など、何時間経ったらこれ、その何時間後にはこれ、と細かい作業が麹菌が繁殖し易い30度以上の室温の中で行われます。室外との温度差が大きいので、カメラのレンズが曇りっぱなしでこの画像。室の中が煙たいわけではありませんのであしからず。

さてさて、皆さんテキパキと働いておられますし、タダで泊めてもらってるんですから、私だけボケっとしてる訳にはいきませんな。「何かお手伝いしましょうか?」

数年前に泊まりがけで何度か仕込みのお手伝いをさせていただいたことがあるので、出来ることなら何でもしますよ、かなりの部分は忘れちゃったけど。

ということで、粕むきをば。これは圧搾機に残った酒粕をそぎ落とす作業です。二人組での仕事で、タカヒロ君の指示に従って黙々とやらせていただきました。ペロ~ンと素直にむけると面白いのですが、剥がれまいと頑固に踏ん張る粕もいたりして、結構な労働です。

その他にもちょこちょこっと別の仕事をさせていただきました。以前やったことがあるとは言っても、久しぶりですと皆さんの作業のスピードにはついていけませんわ。(@_@;)

そんなこんなで、お酒が出来上がるまでのすべての流れを載せることは出来ませんでしたが、マイタのブログをご覧の皆さまに酒蔵の雰囲気が少しでも伝わったら嬉しいです。

日本酒造りの現場を見ると、こんなに手間のかかる作業を受け継いで来るのは大変だっただろうなぁ…と強く感じる箇所がたくさんあります。長い歴史の中で、無駄が省かれ、より合理的になった部分と、ここは絶対に手間を惜しまないようにしようという部分が混在し、また、その蔵ごとにいろいろなやり方を受け継ぎ、開発して日本酒という伝統産業が守られているんですなぁ。

「職人芸の科学」という本に、とある酒蔵の社長さんが かつて自社の酒造りの指揮をしていた名杜氏について書いた文がありますので、一部を抜粋して…

『酒造りのような伝統的な産業においては長年の経験と勘という言葉が気軽に、あるいは無責任に使われます。最高の技術者である杜氏が高齢化してしまったため、特にその傾向が強くなっているように思います。それでは二十歳で杜氏になった淀井は天才だったのでしょうか? 聞き伝えによると、淀井は追廻し(蔵人の職制の下位、雑役をこなす)の頃から杜氏、先輩蔵人の作業を見て、蒸しあがった米の弾力はどうか、蒸し米を広げたときの厚さは何寸か、温度は? こういったことを観察し、それをメモして原理を見出そうと努めていました。

 経験と勘というのは、過去の実践から得られた知識とそれをもとに体系化された原理と思います。』

生まれながらの才能も必要かもしれませんが、コツコツと努力を積み重ねることが大切…酒造りだけでなく、どんな職業にも言えることですよね。

最後の写真は、レンズの曇りが取れず逆光のような画像になってしまいましたが、金鶴の新人蔵人・坂下君がもろみに櫂を入れているところです。真面目な性格なのできっと良い職人になってくれることでしょう、これからが楽しみです。

  

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