無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

仏像

2013-05-05 10:06:34 | 音楽・芸術・文学

Eテレの趣味Do楽が面白かったので、テキストを注文した。案内役の講師は藪内佐斗司氏と生徒の篠原ともえ氏である。画面に、変なキャラクターが時々出ているので、何だろうと思っていた。この藪内氏はあの平城遷都のせんとくん(仏像に鹿の角の生えた)のキャラクターを作った本人だった。あのせんとくんは賛否両論だったね。私も未だ慣れずに違和感を持つ部類の人間だが、藪内氏の仏像に関する説明は的確だった。

第5回のみちのくのほとけさまに出ていた、慈恩寺の薬師さま三体が、左の写真である。中央に薬師様、右に日光菩薩、左に月光菩薩を従えている。みちのくは都から見ると東の方角になり、瑠璃光浄土を守る薬師如来の為の薬師堂が多く建てられたのだが、その時代は会津磐梯山が噴火したり、貞観地震が起こったりと災害が続く不安定な頃だったそうだ。

(日光菩薩が手に持っている杖の先の丸い赤の「お日様」を象った物には、お日様の象徴である三本足の鴉が描かれていた。ヤタガラスは太陽だったのかと、納得する。月光菩薩の杖の先は蓮の花に、月の象徴である兎が描かれていた。これは私達が薬師堂で氏子の方から聞き、自分の目で確かめたので、説明があるのとないのでは大きく違うと実感する。)

これが十二神将である。寺の堂内も仏像も撮影禁止だったので、このように写真集があると記憶が蘇って便利である。

慈恩寺の本堂にも、薬師堂にも、寺の氏子さんのボランティアかなと思われる案内の方がおられて、慈恩寺や仏像の由来、どうやって現在まで守って来られたかを聴くことが出来た。災害が遭った時、修行する坊さんがそれぞれ受け持ちの仏像を、布でくるんで自分の身体を堤にして、炎から守ってきたのだそうだ。余程大事にされているらしく、色彩もちゃんと残っている。それでも仏像の何体かは腕のない物もあり、指の形で仏様の名前が解るため、知ることが出来ない物もある。しかし、慈恩寺の仏像はどれも素晴らしい。一度国宝にと言われた物もあったが、傷んでいる部分の補修費用が賄えずに一段低い重要文化財に留まっている物もあり、「貧乏は悲しいね」との説明に、氏子さん達が守ってきた慈恩寺の立場を知ることが出来た。

立石寺でも感じたが、この慈恩寺でも同じ事を思った。仏像も賽銭も無防備なのである。若返りと称して鉢の中に頭を入れた時も、鉢の中は賽銭で埋まっていた。仏像も美術館で見るのとは違って、すぐ手の届く位置に飾ってある。何十年に一度のご開帳以外も、普段から警備など付けずに自由にお参り出来るのが日本の宗教の姿だ。こんなに人間を信じて大丈夫なのと心配になる。盗難が皆無だったとは言わないが、朝鮮人窃盗団、対馬観音寺の仏像盗難の後処理のような驚く事も起きる。盗難品が見つかったから戻ってくるのが本来なのに、かの国の裁判所までが返還しないと仮処分決定をした。500年前に朝鮮半島から盗まれた物だから、返して欲しくば盗まなかったと証明しろときた。自分達は仏教から儒教への転換で、寺々を焼き討ちし仏像破壊を散々してきたのに、証明しろだと。500年間守ってきたと言うことがどんな事か解るのか、慈恩寺の僧侶達が身の危険を顧みず、仏様を炎の中から蓮池へ運んだと聞いたことが思い出され、情けなくなった。

そう言えば、2001年に山形県の羽黒町(現在鶴岡市)で、中国の窃盗団が羽黒町の資産家に忍び込み、母娘が強盗殺害に遭った事件があった。あの時は土蔵が破られ骨董品が盗まれたと記憶している。窃盗団は留学生として日本に入国した。常日頃より、観光客に混じって仏像の下見をしていないと言い切れるのだろうか。美しいお顔立ちの仏像を拝見しながら、複雑な思いがした。

本文とは関係ないけど、韓国の南大門の復元が酷いね。天井の絵は別物になっているよ。龍が可愛ゆくデフォルメされて色も変ってるなんて、国宝と言う意味が解っているのかな。

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4 コメント

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Unknown (yukacan)
2013-05-15 00:47:34
こういう番組まであるんですね。いいなあ日本は。トルコでカルチャーセンターのようなものへ行こうと思っても、それを習ってお金になるもの(手芸とかPCとか)しかないんです。文学なんて皆無なんですよ。私も大学時代仏像を勉強しましたよ。忘れちゃったけど・・・。
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yukacanさん (cake)
2013-05-15 04:30:00
仏像を勉強されたんですか!
実は、このテキストに、木像の作り方が載っているんですよ。
昨日も、この番組がありました。なにわのほとけさまでしたが、四天王寺がでていました。歴史は古いのですが、寺の建物は鉄筋コンクリートになっていて、仏像も新しい物でした。でも、講師の先生いわく、「この仏像も将来重要文化財か国宝になるだろう。」と。有名な仏師が彫られたそうです。
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Unknown (yukacan)
2013-05-15 22:48:05
勉強したって、趣味程度ですよー。仏像科卒ではありません。
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yukacanさん (cake)
2013-05-16 09:47:44
仏像科ではないとすれば、芸術?宗教?のどの方から興味を持たれたんでしょうね。yukacanさんのモスクがみたいと思われたのは、単に美しいからだけではなさそうな気がしたのですが。私のモスクに対する気持ちはガチガチに建築の面からなんですね。仏像に関しては、もう少し別の意味合いを持っています。トルコでは、仏像は美術品としても展示することは可能なのでしょうか。
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