無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

だから建築は面白い

2007-01-26 20:43:17 | 建築・都市・港
坂 茂(ばん・しげる)氏の作品に最初に出逢ったのは、秋田県の田沢湖駅舎だった。「なんじゃ、こりゃぁぁ~!」柱はコンクリートパイル(杭)を地面からキャンティで立ち上げ、鉄板をサンドイッチした集成材の梁が屋根を支えていた。その屋根でさえ、構造材(フランジ)として設計されている。土木の橋で使われた原理とよく似ている。ただし、橋の方では、路面に穴が開く様な事故に見舞われると、フランジとしての機能が満たされなくなるので、現在では別の工法に変わりつつあるとも聞いている。

この田沢湖駅の見学は、JIA東北支部の主催で、坂 茂氏の講演会と同時に開催された物だった。坂氏の講演は、とてつもなく面白かった。紙の家を知ったのも、この講演からである。

トイレットペーパーの芯は、ちょっとふにゃふにゃしているが、ファクシミリのロール紙の芯は固い。ある時、これを建築に使えないかと考えたらしい。そこで、構造計算をしたり破壊実験をして、充分使用に耐えうる物である事を知り、(国に認可して貰うのに時間が掛かったようだが)早速建物を造った。紙の教会などがその事例である。

特に記述したいのは、災害時に建てる応急住宅に便利なのだそうだ。口径の違うパルプのパイプ(ダジャレみたいだ)を、◎のように中に詰めれば一度に沢山の部材を運ぶ事が出来る。いらなくなった時には、いつでもリサイクルが出来る。実際に地震などの災害現場で役に立った。

その技術が買われて、ドイツで行われた万博の日本館の設計を、坂氏は行った。構造材が紙だと言うので、ドイツで確認申請(?)若しくは許可が出るのに、相当手間取ったようだ。また、防災の面で構造体が燃焼する事に、クレームも着いたらしい。

構造設計が得意で、発想が豊かだと、色んな試みが出来る。
建築って、本当に面白い物だと思う。
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10 コメント

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えっ! (こうたろう)
2007-01-27 01:41:42
cakeさんのレスに、坂茂さんの事に触れてたので。坂さんの事を知っとこうと思って調べてみました。今まで坂さんの事は全く知りませんでした。
早速、サイトを見つけて覗いて見たのですが、とても、ユニーク(門外漢がユニークなどと言うのも変な話かも知れませんが。)な発想で思わず「へ~~~」って。
で・・更に田沢湖駅舎・・・なんと秋田県に住んでて知りませんでした。驚きでした。
毎年、すぐ近くの西木村(今は仙北市?)までは、かたくりの群生を見に行ってたのに。
1997年だから、もう10年も前だったんですね。
今年の春は是非、足を伸ばして見て来ます。
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おお! (cake)
2007-01-27 22:50:56
こうたろうさんは、秋田にお住まいですか。
ぜひ、田沢湖駅をご覧になって下さい。

私には、カタクリの群生の方が気になります。
今年は、こんなに暖冬なので、花も咲くのも早いでしょうね。そちらで見られるイチリンソウは、どんな色ですか?
こちらでは、数は少ないのですが、とても濃い紫色の花も見られます。
そうそう、カナダには、黄色のカタクリもあるそうです。
私は写真でしか見た事がありませんが。
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西木村のカタクリ (こうたろう)
2007-01-28 00:07:44
旧西木村(現仙北市)のカタクリはそれは見事です。
お勧めですが、車で移動するしかないのが難点かも知れません。

http://www.kanihanfoods.co.jp/degikame12.html

↑。。こんな感じですが、ここ数年は毎年行ってはいるのですが、早かったり、あるいは花が開きすぎてたり・・・タイミングが難しいですね。

近くには、刺巻湿原の水芭蕉の群生もあったりと、一日楽しめるコース。
田沢湖駅舎は、西木村から田沢湖~刺巻湿原へのコースの途中に立ち寄れそう。
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わぁ~綺麗!! (cake)
2007-01-28 01:08:30
本当に見事な群生なんですね。
こんなに凄いのは、見た事がありません。

刺巻湿原の水芭蕉と座禅草は、盛岡へ走った時に偶然目に入り、車を急停止させて見に行った事があります。あんなに国道から近くなのに、綺麗に保護されていましたね。

そうですか、タイミングが難しい。
そうかも知れません。
教えて頂いて、どうもありがとうございます。
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ええ~~っ!? (cake)
2007-01-28 01:46:41
20ヘクタール・・・・。
凄すぎる。
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建築物 建築者 (fulltimeです)
2007-01-28 02:44:36
「書は人なり」とよく云いますね
私の仕事も自分で言うのは当然ながらいい加減さがよく表れています。 余人にはわからないことには甘くなるのが人の常。 昨今の構造計算問題は実際に崩落した建物が取り上げられていない(ですよね?)だけに我々、素人には情けないことながらよくわからないのです。
 件の「駅舎」はどういうものなのでしょうかね
ロール紙の芯の建物というのもすごいです。
発想をそのまま実現する能力もすごいね
 制約や既成概念を打ち破る情熱こそ私が最も憧れることです。凡人ゆえに、すぐ「常識」や功利性」の陰に隠れて自分にいい訳をしてしまう
 
 ケンシロウの声が聞こえる

「そこの職人! おまえはすでに死んでいる!」

 (;_______;)
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職人さんへ (cake)
2007-01-28 13:06:18
田沢湖駅舎は、素人さんが見ても、何が凄いのかわからないのでしょうが、少し構造や構造計算に関わった人の方が、驚く建物だと思います。
当たり前の構造材の組み方をしていないのです。
確認申請を受け取った(当時は行政)は、どんなに驚いた事でしょう。

http://www.kesfc.co.jp/shelter-inc/oogata/tazawa.html
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紙の教会です。 (cake)
2007-01-28 13:19:43
なんだか、もうすでに取り壊されているような事が載っていました。
どうなんでしょうね。

http://kenchiqoo.net/archives/000321.html
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構造設計って。 (こうたろう)
2007-01-29 01:07:16
姉歯さんの事件で、私が今まで全然認識がなくって、いちばん驚いたことなのですが・・・
人が住む建築物のもっとも重要と思われる構造計算の評価が随分低いのだなぁ。。という事。
聞けば、よく知られた、黒川紀章さん、とか、安藤忠雄さんとかは、建築設計の内でもどちらかといえば意匠設計という分野で、構造設計とはちがうのだとか。

私も、田沢湖駅舎を見ても、どこがどう凄いのか・・分るものかどうかさえ自信などないのですが、こういう分野で頑張る人の仕事は見とこうかなぁと・・・

こういう分野の人が黒川さんや安藤さんのように、文化功労賞に輝く・・なんてことはあったりしたのでしょうか?
文化功労賞が、仕事の評価の基準とは思いませんが、一般的な社会的評価の基準ではあるのかなぁと。

もっとも、車なども最もユーザーが気にするのは、デザインだそうですから・・そう思えば仕方が無い事なのかもしれませんね。
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こうたろうさん (cake)
2007-01-29 10:54:43
建物で個人名が残るのは、設計者ぐらいのモノでしょうか。設計に関しても、1名の設計者が全て行っている事はありません。
意匠設計、構造設計、設備設計、電気設計、それに特殊な物になると音響設計、色彩設計、環境設計やら様々な分野での助けが必要になってきます。実際に工事の時には、大変な種類と数の職人が必要になってきます。
構造設計の評価が低いと思われているようですが、確かに高いとは言えません。おしなべて、日本では一部の高名な建築家以外は、設計そのものが低い位置にあると思います。デザインに金を出したくない。家を物のように買う。そんな行為が多くなっているようです。

坂氏は、高い評価を受けていて、ドイツ万博の日本館を設計しました。私には彼が文化功労賞を受賞するよりも、災害被災地の住民から感謝される方が、より重要だと、もしかして本人は考えているのでないか・・・と思っています。
と言うか、本当の意味で文化功労した人に、賞が行っていないのではないかと感じています。表彰の基準が、役職に何年いたとか、功績より名前が売れた人が選ばれる仕組みになっているからです。
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