湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

テントか、宿か

2010年10月10日 | 自転車生活
 若い頃は、歳をとってもテント泊をし続けたいと思っていました。テントに泊まるのはお金がないからとかそういう理由ではなく、旅の自由さを満喫し充実感を得るためだと思っていました。しかし実際に歳をとった最近は、「やはり宿がいいなぁ」と感じることが多くなりました。それはなぜなのでしょうか?



 テント泊の場合、自炊はしないとしてもテントとシュラフ、それからマットが最低でも必要になります。実際的には他にもヘッドランプなどの照明器具など細々としたいくつのものを用意しなければならないでしょう。自炊をするのであれば、それにコッフェルやコンロ、食材も必要になります。
 これらのものを自転車に積んで走行するのは実はそんなに苦になりません。荷物が増えれば、それ相応の距離しか走りませんから。ではなにが面倒かというと準備や輪行です。若い頃はとくに面倒に思わなかったそういうことが、今は面倒に感じたり大変に思えたりしてしまうのです。



 一方、準備や輪行が面倒でも、やはりテントにはテントの良さがあります。それは圧倒的な行動の自由さです。目的地にたどり着けなくても、適当な場所で寝てしまえばいい(すなわち明確な目的地を決める必要がない)。連休中などは宿の確保が難しかったりするが、そんなことはまったく関係ない。宿を抑えていないので、天気が悪そうであれば旅そのものの中止が容易。ある程度の条件さえ満たしていれば、自分の気に入った場所で寝れる。そんな自由さは旅の緊張や充実感をいっそう高めてくれますし、安く泊りがけのツーリングを楽しめるというメリットもあります。さらにテントで寝るのは、それだけでなんか楽しかったりもするのです。そう考えるとやはりテント泊も捨てがたいよなと今尚思ったりもします。



 がしかし、現実的な1~2泊程度のツーリングを考えたとき、やはり宿に泊まるほうに気持ちが傾くのは、おそらくうまいものを食いたいという欲求が若い頃より圧倒的に強くなっているからのような気がします。若い頃は遠くに出かけても、その土地のうまいものを食べたいという欲求が今より少なかった気がします。もちろん貧乏旅行だったからということもあるでしょうし、それなりにはおいしいものを食べたいと思ってはいましたが、そういった欲求はそんなには強くなかったのだと思います。でも今は違います。せっかくなら、その土地のうまいものを食べたい。ついでに温泉なんかにも入りたい。だったら料理自慢の温泉宿とか温泉民宿に泊まりたいよなぁと思ってしまうわけです。

 だからかもしれませんが、山登りなんかに関しては今尚テント泊のほうが圧倒的に楽しいような気がします。一部の名物山小屋を除けば、山小屋での食事なんてたかが知れています(多分)。これは山小屋が悪いわけではなく、日常と隔絶した場所にあるから仕方ないです。でもとくに食事に魅力を感じなければ、わざわざ山小屋に泊まるより自分で適当に自炊して、自分のテントで自由に過ごしたほうが気楽だと思うわけです。さらに山登りの場合は、テント泊になったからといって大きめのザックにするだけで、持ち運びの荷物の数が増えるわけではないですから。

 と、こんなふうに考えていくと、若い頃に比べてテントより宿のほうに気持ちが傾くようになったのは、結局のところうまいものが食いたいという欲求が強くなったからということになるわけですね。それもどうかという気がしないでもないのですが、なんとなく納得せざる得ない理由なので仕方ないですね。