YS Journal アメリカからの雑感

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大前研一 世界の潮流2018〜19 ―日本と世界の経済・政治・産業

2018-04-29 07:43:01 | 書評
本を読まなくなった。

日本に出張しても購入意欲が湧かないのだが、この本は帰りの成田空港で目に留まった。数年前に彼の同じタイトルの本を読み、相変わらず切れ味の良い解説でスッキリした記憶があった。

しかし、今回はちょっとガッカリ。切れ味は良いのだが、急所を突いていない感じがする。経済、産業の分野はマシなのだが、政治については怪しい。特に、アメリカ政治については一般的な常識の中での憶測しかないので寂しい限りである。

散漫ではあるが、世界の潮流を俯瞰するには手頃かも。

気になった点は以下。

1.トランプ大統領の弾劾訴追の可能性
ロシア疑惑の結末として投げ出す可能性が高いと言っているが、間違っていると思う。トランプ陣営が関係していたという意味でのロシア疑惑は無かったとの結論が、連邦下院調査会で出されつつある。

逆に、オバマ政権が候補者トランプに対する盗聴行為、又、ヒラリーのメールサーバー問題の不起訴への疑惑が燻り続けている。

2.EV, PHV(プラグインハイブリッド)
EVシフトが現在の予想(2030年までに新車販売の全てEV等々)より早く実現するとあるが、根拠が乏しい。一方で、PHVの日本自動車メーカーの戦略ミスについては鋭い。(PHVがエコカーとしては現実的でありシェアも増えつつある。日本自動車メーカーが、究極的な実利をハッキリ意識してやっているなら、素晴らしい)

自動運転がEV化を加速するとあるが、EVでは自動運転に必要な電力が現在のバッテリーでは厳しい事や、EV化による電力需要の拡大については触れていない。


本書の焦点は、このままでは日本が衰退国家になりますよ。それで良しとするのですか、という問題提起である。いろんな提言はあるものの、それも致し方ないという達観が大前研一の結論であろう。

世界の国々の中で衰退したとしても、美しい国のままであって欲しいと思う。


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