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The Communist

2012-08-05 21:46:26 | 書評
この本("The Communist - Frank Marshall Davis: The untold story of Barack Obama's mentor")を買おうか迷っている。

著者は歴史学者、それも冷戦が専門であり、アメリカでの共産主義運動のついても造詣が深い。

本の内容については、この記事("COMMUNIST MENTOR OBAMA BACKERS TRYING TO HIDE")が上手くまとまっている。

オバマの著作である "Dreams from My Father" の中に、彼が Frank とファーストネームだけで22回も言及する大きく影響された人物が登場するのだが、フルネームは登場しないし、人物索引にも出て来ない。これは明らかに著者、つまりオバマが意図的に隠している。(普通の編集者だったら、こんな間抜けはしない。その上、オーディオ版では Frank が登場する所は全てカットされているとの事)

Frank とは Frank Marshall Davis であり、社会活動家とされているがアメリカ共産党の歴としたメンバーであった。因に彼も黒人である。初めて知ったのだが、スターリンはアメリカ撹乱を企てていて、当時の人種差別を利用して南部の黒人を共産主義者に仕立てようとし、資金援助などもていたらしい。

現在、ホワイトハウスで一番オバマに対して影響力があるのが Valerie Jarrett であり、2008年の大統領選そして今回の再選キャンペーンを仕切っているのは David Axelrod である。この2人は、Frank Marshall Davis を中心として強く結びついているのだ。(Valerie Jarrett に至っては、祖父の時代まで遡れる)Frank Marshall Davis はシカゴで活動したあとハワイに引っ越しており、オバマが出会ったのはハワイである。白人リベラルであるオバマの祖父が、父親代わりとしてオバマ少年に引き合わせている。オバマが最終的にシカゴに落ち着いたのは偶然ではないのである。

面白いのは、共産主義は常にキャンペーンを行う。(例えば、人種差別反対、同性婚賛成、金持ちへの増税、福祉政策の拡大)そのプリズムを通してみれば、オバマの選挙活動、政権運営は、正に王道を行っている。オバマが繰り出す選挙キャンペーンのスローガンは、Frank Marshall Davis が執筆、発行していた共産系新聞 "The Chicago Star" の見出しのコピーそのものだそうだ。

上の記事で著者の Paul Kengor が図らずも言っている様に " Do the American people know what they elected in November 2008?” という自問がなされなくてはならないのだ。彼は、Americans ultimately elected the culmination of Chicago’s communist past in the 1930s, 40s and 50s.”(『アメリカは、1900年代前半のシカゴ共産主義者の亡霊達の極致を選んだのだ』)と結論付けている。

本を買うのは迷っているが、オバマが共産主義者であると言う考えに迷いはない。(著者は、オバマが大学時代に共産主義者であった強固な証拠はある。その後転向した形跡はないとしている)

政治部門でベストセラーになっきているのだが、余りに衝撃的でどう扱って良いのか分からないのだろう、現時点ではメディアでも大きな話題になっていない。


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