YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

シカゴ市、公立学校区教員組合のストライキ

2012-09-10 22:12:09 | 教育
シカゴ市の公立学校区教員組合が、今週月曜日からストライキをしてる。ストライキとなるのは25年振りとのこと。シカゴ市の学校区は全米3番目の規模で、教員数は2万6千人、生徒数は約35万人だそうだ。

最大の争点は、当然のことながら昇給と、児童の学力向上を数値化する教員の評価方法である。

シカゴ市もご多分に漏れず財政状態が悪いので、組合要求の昇給に応じることを拒否しており、健康保険への負担増も要求している。又、教育改革の一環として、市は昇給を認める代わりに日当り90分の勤務延長を要求しているが、組合は拒んでいる。但し、教員の平均給料は約7万ドルで、全米でもトップクラス。

教員評価については、組合はレイオフの方法として使われることを警戒している。シカゴ市は典型的な都市部公立学校区の問題(貧困と強い組合)を抱えており、学力試験、高校卒業率などでは、全米最低レベルとなっているので、組合としては、教師の努力を超えた環境の影響についての考慮が無いというのが理由で拒否している。

シカゴ市長は、元オバマホワイトハウス首席補佐官だった Rahm Emanuel、民主党である。教員組合も民主党支援であり、教育改革を厳しい財政の中で実現させようと言う首長と、既得権を守ろうとする教員組合の対決の構図になっておいる。

更に言えば、首長の党に関係無く、教員組合に留まらず、公務員組合も含めての大きな形があり、交渉結果が今後の全国自治体の財政再建の行方を決める重大な要素となっている。

この争いの行方が注目されるのは、シカゴ市やその他自治体だけでなく、今秋の大統領選挙にも影響しそうだからである。まず、オバマは市長側につくのか、教員組合側についくのかという問題がある。

これまで、この手の地方自治体の労働争議では、(大統領としてはあるまじき行為であるが)自分の選挙基盤ということで必ず組合側についていた。今回は、自分の首席補佐官であった Rahm Emanuel との対決となっているだけに、ホワイトハウスは、どちら側にも付けず、早期解決を促すという歯切れの悪いコメントを出しているだけだ。

その上、タイミングの悪いことに Rahm Emanuel は、オバマの大口献金集めの責任者に付いたばかりだ。又、これまでも市長本人が交渉に臨むことは無かったのであるが、交渉決裂直前の先週に民主党大会でスピーチをしたり、昔の上司であるクリントンの演説でのジョークで大笑いしている映像が流れたりしている。

もしストライキが長引く様なことになれば、オバマにとっては良いことはひとつも無さそうだ。


関連エントリー

Rahm Emanuel 大統領首席補佐官辞任 (10-2-10)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿