YS Journal アメリカからの雑感

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当たる訳もないが、アメリカの将来を長期予測

2011-09-07 09:54:06 | アメリカ政治
高坂正堯外交評論集―日本の進路と歴史の教訓」なぞを読んだかもしれない、2012年の選挙予測記事などを丹念に読んだせいかもしれない。

当たる訳のない予測が固まって来た。それでは一席。

現状分析としては、ブッシュ政権のアフガン、イラク戦争への反動として、反戦系のリベラルの力が増大し、勢い余ってオバマ政権の誕生があった。この勢いを実力と勘違いした民主党は、上下院の過半数とホワイトハウスを牛耳っている事で、アメリカの基本的な政治志向、やや中道右寄りという事を忘れたばかりか、頻繁に出ていた反対シグナルを見逃し、好き放題をやった。

その成果として、大型の景気刺激策(これは、財政危機に陥った州政府、究極的には、公務員の救済の側面が強かった)、ObamaCare、金融改革法案などを成立させた。(2008年のサブプライム危機のどさくさも味方した)

その反動が、2010年中間選挙の共和党の歴史的大勝利につながった。但し、上院は改選数が3分の1という事もあり、共和党下院、民主党ホワイトハウス、上院というねじれ状態になった。その後、オバマ政権の妥協が少しあったものの基本的には、政局は硬直状態になったままだ。

では、来年の選挙ではどのように動くのか。

まず、オバマの再選はないだろう。下院、そして上院が共和党になるという予想のもとでは、アメリカ市民は、膠着状態が続くオバマ大統領を選ばないだろう。よって、2013年以降は共和党一辺倒(但し、上院のスーパーマジョリティー(60議席)はとれない)になるだろう。共和党はティーパティーに引っ張られ、民主党は超リベアルの活力が削がれ、全体的に右にシフトするだろう。

共和党は、真剣に財政再建に取り組み、10年を掛けて均衡財政を目指す事になる。歳出カットは、社会保障改革だけではなく軍事費の削減も行われるので、外交全般に影響が出る。

イラクの撤退は既に始まっているが、アフガンの撤退は、現在のオバマの撤退計画より、結果的に早まるだろう。但し、コッミットメント自体は強くなり、一時的に増派などが起きる可能性は高い。

その後は、アメリカは静かに前線を後退させるであろう。但し、在日米軍に大きな変化はないと思われるので、逆に日本への負担増加要求は強まるであろう。日本は、軍事面では、相応の負担もした上で、アメリカ軍の補完(従属では無く)という立場を明確に打ち出して、周辺諸国を安心させるべきであろう。世界に対しては、経済援助などで大いにお金を使って上手に国際貢献をすれば良いと思う。(無い袖は触れなくなる様な気もするが)

テロの問題も引き続くあると思うが、一番気になるのは、核兵器の拡散、つまりイラン、北朝鮮にどのように対応するのだろう。理想的には、中国に対処させる様に仕向けるのが理想だ。しかし、そんな曲芸の出来る抜群の天才的戦略家はアメリカと言えども出てきそうにない。(その上、政権を跨いで長期的に方針を堅持も出来ない)結局、アメリカ自らが手を出す誘惑と、何も出来ない世界各国の圧力に屈する可能性が大きい。つまり、ベトナム、イラク、アフガンの教訓を生かせないまま、世界のあちこちの紛争に半端に首を突っ込む形になりそうな気もする。

但し、財政規律がキチンと行われる事で、景気は上向くと思われる。社会福祉をカットしながら量的緩和を行い、バランスをとる様な感じになるのではないだろうか?

一直線では無いが、基本的には、アメリカの右傾、保守化、そして孤立主義に向かう事になるだろう。(自由貿易は守ったまま)共和党が均衡財政という高い目標を見失う事がなければ、アメリカは10-15年後には、現在よりも健全な大国として蘇ると思う。

お粗末様でした。


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2 コメント

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Unknown (Willy)
2011-09-07 13:38:46
どちらかというと民主党支持の私ですが、オバマの再選は確かに厳しそうですね。
もっともオバマの任期の4年間は、誰がやってもダメだったと思いますが。
ブッシュの失政のつけはあと8年くらいは続くかも知れません。
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ブッシュの失政 (ysJournal)
2011-09-07 19:49:00
Willy さん
歴史は連続的なので、ブッシュだけの責任ではない所もありますが、それは置いといて、確かに、誰がやってもダメだったと思います。

但し、それはオバマのヘタ打ちを正当化出来るものではなく、もう少し上手くやれた可能性は有ると思います。

オバマの大統領は奇跡でしたが、オバマに実力が無かった事が不幸でした。それは、リベラル、プログレッシグの限界でもあります。

唯一の例外は、ヒラリーだったのではないかと思います。

アメリカはこれから長年に渡り、実務経験の無い大統領を選ぶ事は無いと思います。

オバマは良くも悪くも、リベラル、プログレッシグの希望の星であり、統治能力の無さの象徴であると思います。
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