YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

僕のアメリカ青春3部作

2010-08-19 03:21:49 | 書評
何でも見てやろう小田 実

なぜ、アメリカに来たかったのか、これだという決定的なものは無いのだが、本からの影響という意味では、これが一番であろう。1950年代のフルブライトでのハーバード留学の事を書いた本である。高校三年生の時に読んで、大学の時に、そのうちアメリカ留学でもして物書きにでもなるかと、人生を踏み誤る将来設計を描く事になる原因となった。(その将来設計は狂い、人生も誤った。)

浪人中に代々木ゼミで本人の英語講座も受講した事があるのであるが、有名人に弱い体質ながら、余り興奮した記憶が無い。その頃は時代遅れの活動家という感じであり、ただのむさ苦しい中年おやじと80年代初期の雰囲気が、既にマッチしなくなっていたのであろう。

今でも覚えているのは、帰国前に全米バス旅行するのであるが、アメリカ南部の片田舎のトイレでも熱いお湯が直ぐに出る事に感動した場面である。私はてっきり、アメリカという国は、お湯の水道網が上水道の様に張り巡らされているものだと勝手に思い込んでいた。ああ恥ずかしい。


シスコで語ろう高橋 三千綱

これも留学記であるが、内容は全く記憶にない。私が大学生の頃は売れっ子作家になっていたと思う。留学記でデビューしているのに、その事とは全く関係なく活動している所に潔さを感じた覚えがある。

著作が映画化されたりしたりして、ルックスが良い事もありカッコ良いと言う印象がある。最近(といっても10年位前だが)は、ゴルフ雑誌にエッセイを連載しているのを時々読んだりしたが、年寄りゴルファーの事を書いても甘ったるいので、そう言う作風だったのだと妙な納得をした。


ストロベリーロード石川 好

アメリカに来てから読んだので、自分の人生にインパクトは無かったのであるが、作品としては一番面白かった。確か映画にもなったと思うのだが、一読の価値あり。ずっと中西部に住んでいるので、カリフォーニ(確か作品の中ではこう発音していた)での生活はイメージ出来なかったが、ロス郊外に長く住んでいる知人は、絶賛していた。

その後、アメリカ専門(?)の評論家になり、それなりにユニークな活動(参議院に立候補したり)をしていたが、インパクトは乏しかった。


3作とも、60年代(小田実はに至っては50年代か?)のアメリカの話であり、当時でも時代遅れの情報を有り難く読んでいた事に、改めて唖然とする。留学記が出版される事など、今では考えられない。書く気のある人はブログでもやっているだろう。

アメリカ絡みの物書き商売としては、副島隆彦などが活躍する今日この頃なので、憧れの地アメリカのロマンの香りを放つ本は、絶滅した。僕が読んだ頃に本当は死滅していた事を、正しく認識しておくべきであった。

懐古趣味的、僕のアメリカ青春3部作でした。