事故と事件

神なき国アメリカでリベラルの理性について考えたが、リベラルの理性など不測の事態では役に立たないばかりか、事態を悪化させる事例がメキシコ湾の原油流失で起こっている。

オバマ大統領は先週の会見で犯罪捜査の可能性を口にしていた。今回の事故の原因が違法行為によって起こったと考えているらしい。今週早速、司法長官を現場に派遣している。

なんと、未だ原油噴出が出来ないのに犯罪捜査(の準備)を始めたのである。

ＢＰと協力して噴出を止め、沿岸に漂着した原油の始末をしなければならないのに、現段階でこんな事を言ったら、ＢＰの活動が鈍る事が分からないのであろうか?どうも、オバマ政権は事故と事件の違いが理解出来ないようである。

犯罪捜査など、噴出を止めた後でいくらでもやれるのであって、噴出を止める事と、既に沿岸に漂着している原油の処理、これ以上の被害の拡大に全力を尽くさなければならない事は、子供でも分かる。

オバマ大統領は全責任は自分にあると見得を切っているが、最初に手を付けるのが犯罪調査とは恐れ入った。今回の事故は、ＢＰが違法行為をしていたために起きた事件と考えているようである。ＢＰが起こした事件なので、その後の環境の影響についてもＢＰに責任があるという論法である。

しかし、実に見事にオバマの本質が露呈しているとも考えられる。（司法長官もホワイトハウスも同舟なので、オバマだけではなく、リベラル全般といっても過言ではないであろう）全ての活動は法律と規則で律せらるという幻想があるらしい。人間の理性が普遍であると言う幻想と同根だ。

その上、忘れてはならないのは、リベラルは頭がよいので、自分勝手に法律の解釈を行うという事である。法律も規則も完璧という事はないので、同じ法律や規則を、他人を攻める時と自分を守る時では解釈を違えて、都合の良いように活用する。

リベラルにとっては、人知の及ばないところがないので、予知不可能な事故や、防げない災害は無く、誰かに責任を取らさなければなら無いのである。

普通の人は、法律が人道上の最低の決まりという事を知っており、公共心や道徳心が無ければ社会が維持できない事を（無意識にでも）認識している。その上で人間の出切る事には限界があり、人知の及ばない事ばかりということを知っており、宗教などを通して、人知を超えた事には謙虚に望み、出来る事にベストを尽くすのである。

リベラルは頭の良さにかまけて、普通の人々が懸命に営んでいる社会の良いとこ取りをするのである。

世の中に完璧で無い以上、人知の限界を意識した上でベストを尽くすしかないのである。ベストを尽くすためには、実務能力と人々をまとめるリーダーシップ（と経験）が不可欠である。

大きな困難に直面する度に、オバマ大統領やその周辺にはそれらが何一つ無い事が露呈している。

影響を受けている人々は、ＢＰの事故とオバマの無能という二重の災難に襲われているのである。

Nancy Pelosi "The Word"

もし、オバマ大統領が任期中に罷免され、バイデン副大統領が大統領をやる気が無ければ、下院議会議長のこの方が、アメリカの次期大統領です。（この秋の中間選挙で民主党が下院で過半数を失えば実現しませんが）

ひょっとすると鳩山と意気投合したかも。返す返すも残念です。