YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

イスラエル軍のよるガザ支援船の拿捕

2010-06-02 10:15:27 | 中東問題
イスラエル軍のよるガザ地区へ向かっていた国際支援船団の拿捕で、イスラエルに非難が集中している。しかし、イスラエル軍の行為は決して突発的な行動でも、支援活動への軍事行動でもないので、背景を含めて理解しておく必要であろう。また、オバマ就任以来のアメリカ謝罪外交、親イスラム圏、イスラエルとの関係悪化の悪影響で、具体的な事象として発現していると思われるので、日本にとっても遠い対岸の火事ではなく、中国、北朝鮮、台湾を巡り、相似形の問題が起こる可能性がある事を考える必要がある。

国際支援船団の活動について、イスラエルは以前からハマス等のテロ組織に武器を提供しているとの疑惑を持っており、港に封鎖線を設定し、入港に関しては検問を続けていた。今回は、船団が意図的に封鎖線を超え、イスラエル軍による拿捕活動を誘った上で、イスラエル兵士を襲撃し、イスラエル軍は正当防衛的に防戦したに過ぎ無い。

背景には、支援物資は、エジプトやイスラエル(そうです、イスラエルを)経由して、ガザ地区に届いており、わざわざ、支援船団を送る必要は無いのである。

国際支援船団については、トルコの関与が、示唆されている。船団の死傷者がトルコ人であるののももっともである。では、なぜトルコなのかという事であろう。最近トルコで思い出されるのは、イランと核燃料をトルコとブラジルに搬出する合意をしたニュースであろう。トルコのアメリカ主導のイランへの経済制裁を阻止する意図が考えられている。トルコは、現政権が急速にイスラム原理主義に傾倒しているという事実もある。(ブラジルの意図については?)

トルコはイラクと国境を接しているだけに、クルド人の問題を始め、敵の敵は見方という事もあり、イランとは利害が一致している。中東で唯一の民主主義、非イスラムのイスラエルは当然の事、伝統的にイスラエル支援を続けているアメリカも、イラク問題も絡み、トルコは快く思っていない。その上で、一気にイスラム圏の主導権を握ろうという意図もあると思われる。

イランの核燃料、今回の国際支援船団と、トルコが矢継ぎ早に国際社会での反アメリカと思われる行動を始めた要因として、オバマ大統領の謝罪外交とメキシコ国境問題にみられる人権重視の弱腰外交が挙げられる。つまり、何をやってもアメリカはトンチンカンな対応しか出来ないと読み切られているのである。悲惨な事に、いつもの様にオバマ大統領は事実関係を確かめもせず、イスラエルに抗議を、そして何と、トルコにお悔やみの電話をしている。トルコ首脳は、オバマ阿呆ぶりにに高笑いをしているであろう。

なんで、これが日本に影響するかと言うと、中国がやっぱりアメリカを試そうとすると思われるからである。あのクリントンでさえ、中国軍が台湾の近くで大演習を行った時は、空母を台湾海峡に派遣して中国を牽制している。北朝鮮は中国が抑えていると思われるが、中国がちょっとだけ頷いたら、北朝鮮もちょっとだけ変な事をして、アメリカの出方を味見したりするであろう。

さて、普天間問題は元の鞘におさまり、一人騒いだ鳩山は辞任しそうであるが、そんな枝葉末節の事はどうでも良いのである。もし、小沢が本物であれば、この重要な時期であるからこそ首相になって参議院選挙などは放っといて、国際情勢、特にアジア情勢の安定化に命を掛けるべきである。

長い目で見る気なら、現在、護憲派や不戦平和を唱えている人々が、中国の軍事圧力が日本に掛かる様になったとたんに、詭弁を弄して転向する姿を拝める事が出来ると思う。人間は恐怖に駆られると狂うのだ。だから本当の恐怖がやってこない様に手を打たなければならないのである。

ガザ地区、イスラエル、トルコと全く関係無い国々の出来事であるが、日本の平和に多大な影響がある事が起きている事を、政治家は認識すべきであろう。

日本の政治家よりも、もっと酷いのは、唯一の大国であるアメリカがちょっとフラフラするだけで、こんなに世界は不安定になる事をまだ分かっていないオバマであろう。ヒラリーも似た様な事を言っているので、結局民主党は、税金のバラまき、無駄遣いする事以外は出来ない人々の集まりになってしまった。

最後に今回の事件のタイミングであるが、今週イスラエル首相が米国を訪問しオバマ大統領と会見する予定であったが、対応の為に緊急帰国している。偶然でなければトルコも結構したたか、侮れない。