遺伝とそれを担う物質的実体である遺伝子について現代の私たちはどこまで理解しているのでしょうか。
遺伝子の実体である、DNAやRNAが同定され、それらはA,T(RNAの場合はU),G,Cの4種類のヌクレオチドがつながったものであることがわかりました。たった4種類の要素が3個ずつ組になって20種類のアミノ酸を表現しています。これが遺伝子の単位。ですから遺伝子配列はタンパク質をコードしている、と言います。
ふつう「遺伝子が」と人が言うとき、それは何を指しているのでしょう。生活感覚的にはゲノムを意味しています。ゲノムという言葉は細胞の中にある核内のDNAセットを指しています。生物のその生物たらしめている全ての情報がその中に入っている、と言いたいところですが、そうでもありません。細胞の中にはミトコンドリアがあって、これは太古の昔に動物細胞に住み着いた細菌で、この細胞内小器官は独自のDNA=遺伝子を持ちます。
ミトコンドリアのDNA配列が変異を起すことでいろいろな遺伝病も起こります。またこの遺伝子はある種類の薬剤に対する反応に影響を及ぼしたりします。
したがって、正確にはゲノムだけではその個体の情報全て、とは言えません。ただ、基本的な部分はゲノムでほぼ決まっているといってよいでしょう。
ゲノムとはなんでしょうか。遺伝子とはイコールではありません。遺伝子はゲノムの中の意味のある部分、とくにタンパク質をコードする部分を言います。ゲノム中の塩基配列はタンパク質をコードしている領域(コーディング領域)だけでなく、様々な制御領域、繰り返し配列、意味の無い領域(今のところは) を大量に含んでいます。
90年代にゲノムプロジェクトが世界的に始まり、10年足らずの間にヒトの全ゲノム配列が決定されました。その過程でDNA配列を決定する技術も長足の進歩を遂げました。(続く)
技術の難易度はわかりませんが、
発想としては シンプル?っぽいような・・・
ミトコンドリア、恐るべし!