無知の知

ほたるぶくろの日記

秋が深まる東京

2021-10-31 17:31:53 | 日記
先日、隙間時間ができたので、上野へ行ってきました。



まだ10月なのにもう紅葉。
普通、東京はどう頑張っても11月くらいから紅葉が始まるのですが、今年は季節の進行が本当に早い。

さて、そんな中





国立博物館で開催中の「最澄と天台宗のすべて」展に行ってきました。

私、実は天台宗には並々ならぬ興味がありまして、この企画、とても楽しみにしておりました。


日本に伝わってきた密教には大きく分けて真言宗と天台宗があります。
真言宗は皆様ご存知の通り高野山金剛峯寺の開祖、弘法大師空海。
天台宗はほぼ同時期に活躍された最澄による、比叡山延暦寺。

高野山に比較して、どちらかと言えば地味に見えなくもない。
弘法大師はスーパースターですから。

私が天台宗に興味を持ち始めたのは、古い話で恐縮ですが
瀬戸内晴美さんが比叡山延暦寺で得度したとき。
それまでとても遠い存在だった天台宗なので驚いたのでした。
密教、しかも天台宗、なんで? という素朴な疑問から始まりました。

浄土真宗あたりならなるほど、と思ったところ、天台宗とはなにゆえ?

比叡山延暦寺は焼き討ちや、僧兵などで知ってはいるものの、高野山に比べるとややイメージの湧かない存在でした。

しばらく前のブラタモリで、延暦寺が取り上げられ、根本中堂の作り(構造)、
延暦寺から輩出した僧侶、宗派の多彩さ、が説明され、なるほど、と思った次第。

ウイキペディアの説明には次のようにあります。
「延暦寺は数々の名僧を輩出し、日本天台宗の基礎を築いた円仁、円珍、融通念仏宗の開祖良忍、浄土宗の開祖法然、浄土真宗の開祖親鸞、臨済宗の開祖栄西、曹洞宗の開祖道元、日蓮宗の開祖日蓮など、新仏教の開祖や、日本仏教史上著名な僧の多くが若い日に比叡山で修行していることから、「日本仏教の母山」とも称されている。」

浄土真宗の、あの「人々はすでに往生している。仏である。」という、とんでもなく、
何でもオッケーな教義のルーツがここにあるとは、俄には信じられないのですが、
それだからこそ、瀬戸内晴美さんが帰依したとしてうなづけると言うもの。
それ以来、なんとなく天台宗には興味を持っていました。

さらに、我が上野国立博物館も古くは寛永寺の敷地内であり、
その寛永寺は家康が天台宗の僧、天海に江戸の鬼門を守らせるために建立した寺。
徳川家の菩提寺であります。
東京(江戸)を鎮護する宗派はなんと天台宗なのでございます。

また、私は以前より、深大寺がとても気に入っており、今はちょっと遠いので足が遠のいていますが、
ある時期にはしばらく初詣でにお参りしておりました。
その深大寺も天台宗、元三大師、良源を祀る密教寺院。

今回の展覧会では、なんと深大寺の秘仏とされる元三大師像がお出ましに!
秘仏ですから、私も初めて拝見しました。
鎌倉時代後期〜南北朝に製作された坐像。2メートルを越す巨大な像で、
その迫力は凄まじい。
百聞は一見に如かず、なのですが、あえて言えばプロポーションが異様。
頭部が大きいのです。しかもリアル。
薄暗いところに鎮座された大きな御像はかなりの迫力です。

そのほか深大寺からは白鵬仏の釈迦如来像(国宝)もお出ましになっていて、
こちらは良く拝見していましたので、一眼でわかりました。
懐かしく、ご挨拶させていただきました。

いつものことですが、展覧会にいく際、それほど注意深く展示内容を調べていくわけではありません。
よもや深大寺の釈迦如来像に再会できるとは思ってもいませんでした。

そんなわけで、天台宗の魅力と自分とのご縁の深さを認識させられた展覧会でありました。

このところしばらく深大寺にもお参りしていなかったのですが、
このお正月には久しぶりに初詣に出かけようかと思っています。