無知の知

ほたるぶくろの日記

恐る恐るの活動開始ともう一つの朗報

2020-05-17 18:16:26 | 生命科学
アジアやヨーロッパ、北米は感染者数が頭打ちか、やや下がってきてはいます。
しかし、世界的に見ると、まだアフリカ、南米、中東などは今まさに上がってきている感じです。ロシアも、ですかね。

残念ながら世界全体ではまだCOVID-19の患者さんが増え続けています。

危機を脱した国は自国の将来のCOVID-19再燃のためにも、できる限りの対策を進める必要があります。

治療法と、ワクチン。抗体検査はおそらくROCHEの製品以外は使い物にならないのでは、と思います。何箇所かで、ある程度の人数のランダム総ざらえ検査をやって、大体どの程度の方が感染しているのか、を大雑把に掴む必要があります。

それによって、どの程度の量のワクチンが必要であるか。どの順番にワクチンを投与するのか、が見えてきます。
戦略を練って、後は実行あるのみ。


これは根津美術館。昨年の今頃はこうしていろいろなところに出かけることもできました。ほんとに今年も楽しみにしていたんですよ。残念無念です。

東京もちらほら商業施設を再開させる動きがあります。どの店舗もレジはビニールシートで覆われています。そして手作り感満載。いろいろ工夫して、なんとかしている、という感じ。

それでも店舗が再開するとなんとなくほっとします。

そして、人々のマスクもいろいろ。手作りと思しきマスクが多くなっていて、楽しいです。私は相変わらず使い捨て不繊布性マスクを洗って使っていまして、今10回を超えたところ。繊維がやや柔らかくなって、いい感じ。自分が感染源にならないためのマスクなので、これで十分。

動画でも様々なマスクの作り方がアップされています。楽しくなっちゃいますね。バンダナを使うのもなかなかオシャレ。

日本の宗教行事でも自身の息を直接神聖なものに当てない、という作法があります。日本にはそういう文化が以前からありました。だからマスクをする、というのもごく自然に行われていたことでした。口元を覆うことに違和感ないですから、文化的に。


さて、そんなことを思っていたら、もうひとつ朗報が。
「 Cell」 という非常に厳しい査読をする雑誌のプレプリントが公開されました。   まだアクセプトされたばかりです。

下記にアブストラクトを貼り付けますが、ざっくりとこの論文の意味するところを述べますと、通常の風邪のコロナウイルスによって生成してきた免疫細胞のなかで、SARS-CoV-2にも反応する免疫細胞(この場合はヘルパーT細胞)がいるらしいということ。つまり普通の風邪に対する免疫が役に立つ可能性がある、ということになります。

もっともこれまでに書きましたADEによっておかしなことが起きなければ、ですが。あとは、早くADEの全貌が明らかになることを祈るばかりです。

以下、公開されたプレプリントです。全文もpdfとして公開されています。ご興味がありましたら、下記の題名で検索されてください。

Targets of T cell responses to SARS-CoV-2 coronavirus in humans with COVID-19 disease and unexposed individuals
(COVID-19の感染者と非感染者におけるSARS-CoV-2 コロナウイルスに対するT細胞反応の標的)
Abstruct
Understanding adaptive immunity to SARS-CoV-2 is important for vaccine development, interpreting coronavirus disease 2019 (COVID-19) pathogenesis, and calibration of pandemic control measures. Using HLA class I and II predicted peptide ‘megapools’, circulating SARS-CoV-2−specific CD8+ and CD4+ T cells were identified in ~70% and 100% of COVID-19 convalescent patients, respectively. CD4+T cell responses to spike, the main target of most vaccine efforts, were robust and correlated with the magnitude of the anti-SARS-CoV-2 IgG and IgA titers. The M, spike and N proteins each accounted for 11-27% of the total CD4+ response, with additional responses commonly targeting nsp3, nsp4, ORF3a and ORF8, among others. For CD8+ T cells, spike and M were recognized, with at least eight SARS-CoV-2 ORFs targeted. Importantly, we detected SARS-CoV-2−reactive CD4+ T cells in ~40-60% of unexposed individuals, suggesting cross-reactive T cell recognition between circulating ‘common cold’ coronaviruses and SARS-CoV-2.
(以下、仮訳)
概要
SARS-CoV-2に対する適応免疫を理解することは、ワクチン開発、COVID-19病理を理解すること、パンデミック制御へ向けた政策の調整にとって重要である。HLA class I, IIの予見的ペプチド「メガプール」を用いて、COVID-19回復患者のそれぞれ70%、100%から末梢循環性SARS-CoV-2特異的CD8+とCD4+T細胞が検出された。ほとんどのワクチン生成事業がターゲットとしているスパイクに対するCD4+T細胞の反応は強固なものであり、抗SARS-CoV-2 IgG, IgA濃度の高さと一致していた。nsp3, nsp4m ORF3a, ORF8といった他にも共通のターゲットに加え、M、スパイク、N蛋白がそれぞれ全CD4+T細胞反応の11-27%と考えられた。CD8+T細胞については、少なくとも8種類のSARS-CoV-2のORFとともにスパイクとM蛋白がターゲットとして認識されていた。重要なのは、SARS-CoV-2反応性CD4+T細胞が40~60%の非感染者から検出されたことである。このことはどこにでもある、普通の風邪コロナウイルス とSARS-CoV-2との間にクロス反応するT細胞が存在することを示唆しているからである。