グルの新著が出てますな。
雑誌の連載なんかを集めて本にした、言わば軽目の本です。
基本的には従来の主張のバリエーションということなんでしょうが、新著は新著の価値がありまして、今の政権や、日本経済へのグルのスタンスがどうなっているか、がチェックできるんですな。
1、政治
民主党政権への失望感がにじみ出てます。
結局自民党と同じだった。しがらみがなくなるんで、ばらまきや既得権を断ちきって新しく国作りをしてくれると思ったら、新たなばらまきを始めて、云々。野党時代はまともなことを言っておったのに、とグルご立腹です。
グルは、抜本対策としては、国家が何でもかんでもきめるのではなく、地域に権限をあたえて、いわゆる道州制を提唱しているわけですが、住民目線で予算も決まれば無駄遣いはなくなる、とおっしゃっておられるようで。
『地域』『コミュニティ』の重視ってか、強化ってか、再生(←地域社会がすでに壊れちゃってるという前提で)というのは、グルに限らず、識者の共通認識のようで、今後、誰もが前提として考えるようなテーマになってくるかもですね。昔から、都会の団地住じゃ、お隣さんがどんな人かわからないみたいなハナシが、異常事として語られてましたが、今や、都会の団地でなくても、心細い状況なんじゃないか、老人が死んで、表に出てこなくなっても、近所の人も気がつかない、誰も何も言わない、みたいな。
2、経済・財政
若者が、無欲でモノを買わない。出世欲ものない、海外赴任を嫌がる、なんやそれ、となげいている代わりに、老人が金を持っているし、団塊世代が引退して貯蓄から消費に移行する点に期待しています。単身世代も増えていて、企業も、こういうマーケットそのものの変化についていくべきだ、と提言されてます。小売企業はファミリーをターゲットにしているが、実は全世代で、単身世帯の方がおおいんだぞ、と。
団塊の世代がお金を使い始める。これも経済が活性化するネタだ、ってことなんですな。
財政赤字を国民の貯蓄でファイナンスしているわけですが、もし、団塊の世代が貯蓄を取り崩し始めると、財政赤字がファイナンスできなくなって困る、という消費脅威論みたいなのもあるわけですが、これは、よくご紹介している三橋 貴明氏が、
消費の回復、それこそ待ち望んでいる事態じゃないか、
とおっしゃっておられるように、チョー、近視眼、それこそ小役人発想なんで。
消費が回復すれば、政府が余計に支出して経済を支える必要もなくなる。
税収も増えて、赤字を減らせる、という風に考えるべきなんで。
財政健全化を考えるのであれば、そういうタイムスパンで考えるべきでしょう。
国民が貯蓄に励む、でもいつまでも貯蓄できるわけじゃない。使い始めて消費が伸びてくる時期を狙って健全化を検討する。
そのためにも、既得権益一体型政治は困るんで退場願う。
グルは、もうひとつ提言しているんですな。
『グッドライフ』
特に定年後のライフプランをしっかり考えろ、と。そして、地方当局はそれを支援しろ。
地方の人口が減って空き家になっているのを安く貸すなり売るような動きがあって、週末だけでも田舎でゆっくり自然の中で過ごす、みたいな。貯めるだけでなく、使って幸せにすごすことを考えることが、経済の活性化にもつながる。
団塊の世代の消費拡大論にもつながるんでしょうが、ひたすらお金を使わないというのをやめないと、なんともならん、という危機感をグルは感じているんでしょう。『心理経済学』とグルは提唱されてますが、支出を単なる所得や金利の関数でとらえるんじゃ不十分で、お金を使いやすくするような心理面のサポートが必要だ、ということなんでしょうな。
グルのブログを、ちょいとのぞいてみると、
KON322「米国の早期景気回復は幻!?~新金融規制の行方に注目せよ」
今、米国が最も恐れていることは日本型の長期低迷に陥ることです。米国民
の積極的な気質からして、日本ほど消費や投資を極端に控えることはないと
思います。
ですので、私は日本ほどの長期低迷にはならないだろうと見ています。
リーマン・ショックからの想像以上に早い回復を思わせた米国ですが、
現実はそれほど甘くはなく、ショートカットして景気回復を図ることは
できなかった、その実態が明らかになってきたということでしょう。
米国は、消費・投資を極端に控えるという心理トラップにはまってるわけじゃない、その根拠を米国民の『積極的な気質』においています。
これが氏の『心理経済学』なんですな。
分かりやすいネーミングです。
住宅市場も商業用ビル市場も思わしくない状況で、特に雇用回復の遅れが
目立っているようです。ただ私に言わせれば、雇用は現段階ではそれほど
気にする必要はないと思います。
雇用というのは「遅行指数」だからです。無理に雇用を回復させようと
オバマミックスでは極めて社会主義的な政策を推し進めましたが、状況は
一層悪化しただけでした。
現状認識は別として、この『社会主義的な政策』って・・・。
これ、共和党右派の政治プロパガンダなんで、グルまでが言う必要はない、と思うんですがね。
ポジションをどこに置いておられるのか、分かりやすくていいんですが。
雑誌の連載なんかを集めて本にした、言わば軽目の本です。
民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論 | |
大前 研一 | |
小学館 |
基本的には従来の主張のバリエーションということなんでしょうが、新著は新著の価値がありまして、今の政権や、日本経済へのグルのスタンスがどうなっているか、がチェックできるんですな。
1、政治
民主党政権への失望感がにじみ出てます。
結局自民党と同じだった。しがらみがなくなるんで、ばらまきや既得権を断ちきって新しく国作りをしてくれると思ったら、新たなばらまきを始めて、云々。野党時代はまともなことを言っておったのに、とグルご立腹です。
グルは、抜本対策としては、国家が何でもかんでもきめるのではなく、地域に権限をあたえて、いわゆる道州制を提唱しているわけですが、住民目線で予算も決まれば無駄遣いはなくなる、とおっしゃっておられるようで。
『地域』『コミュニティ』の重視ってか、強化ってか、再生(←地域社会がすでに壊れちゃってるという前提で)というのは、グルに限らず、識者の共通認識のようで、今後、誰もが前提として考えるようなテーマになってくるかもですね。昔から、都会の団地住じゃ、お隣さんがどんな人かわからないみたいなハナシが、異常事として語られてましたが、今や、都会の団地でなくても、心細い状況なんじゃないか、老人が死んで、表に出てこなくなっても、近所の人も気がつかない、誰も何も言わない、みたいな。
2、経済・財政
若者が、無欲でモノを買わない。出世欲ものない、海外赴任を嫌がる、なんやそれ、となげいている代わりに、老人が金を持っているし、団塊世代が引退して貯蓄から消費に移行する点に期待しています。単身世代も増えていて、企業も、こういうマーケットそのものの変化についていくべきだ、と提言されてます。小売企業はファミリーをターゲットにしているが、実は全世代で、単身世帯の方がおおいんだぞ、と。
団塊の世代がお金を使い始める。これも経済が活性化するネタだ、ってことなんですな。
財政赤字を国民の貯蓄でファイナンスしているわけですが、もし、団塊の世代が貯蓄を取り崩し始めると、財政赤字がファイナンスできなくなって困る、という消費脅威論みたいなのもあるわけですが、これは、よくご紹介している三橋 貴明氏が、
消費の回復、それこそ待ち望んでいる事態じゃないか、
とおっしゃっておられるように、チョー、近視眼、それこそ小役人発想なんで。
消費が回復すれば、政府が余計に支出して経済を支える必要もなくなる。
税収も増えて、赤字を減らせる、という風に考えるべきなんで。
日本のグランドデザイン -世界一の潜在経済力を富に変える4つのステップ | |
三橋 貴明 | |
講談社 |
財政健全化を考えるのであれば、そういうタイムスパンで考えるべきでしょう。
国民が貯蓄に励む、でもいつまでも貯蓄できるわけじゃない。使い始めて消費が伸びてくる時期を狙って健全化を検討する。
そのためにも、既得権益一体型政治は困るんで退場願う。
グルは、もうひとつ提言しているんですな。
『グッドライフ』
特に定年後のライフプランをしっかり考えろ、と。そして、地方当局はそれを支援しろ。
地方の人口が減って空き家になっているのを安く貸すなり売るような動きがあって、週末だけでも田舎でゆっくり自然の中で過ごす、みたいな。貯めるだけでなく、使って幸せにすごすことを考えることが、経済の活性化にもつながる。
団塊の世代の消費拡大論にもつながるんでしょうが、ひたすらお金を使わないというのをやめないと、なんともならん、という危機感をグルは感じているんでしょう。『心理経済学』とグルは提唱されてますが、支出を単なる所得や金利の関数でとらえるんじゃ不十分で、お金を使いやすくするような心理面のサポートが必要だ、ということなんでしょうな。
グルのブログを、ちょいとのぞいてみると、
KON322「米国の早期景気回復は幻!?~新金融規制の行方に注目せよ」
今、米国が最も恐れていることは日本型の長期低迷に陥ることです。米国民
の積極的な気質からして、日本ほど消費や投資を極端に控えることはないと
思います。
ですので、私は日本ほどの長期低迷にはならないだろうと見ています。
リーマン・ショックからの想像以上に早い回復を思わせた米国ですが、
現実はそれほど甘くはなく、ショートカットして景気回復を図ることは
できなかった、その実態が明らかになってきたということでしょう。
米国は、消費・投資を極端に控えるという心理トラップにはまってるわけじゃない、その根拠を米国民の『積極的な気質』においています。
これが氏の『心理経済学』なんですな。
分かりやすいネーミングです。
住宅市場も商業用ビル市場も思わしくない状況で、特に雇用回復の遅れが
目立っているようです。ただ私に言わせれば、雇用は現段階ではそれほど
気にする必要はないと思います。
雇用というのは「遅行指数」だからです。無理に雇用を回復させようと
オバマミックスでは極めて社会主義的な政策を推し進めましたが、状況は
一層悪化しただけでした。
現状認識は別として、この『社会主義的な政策』って・・・。
これ、共和党右派の政治プロパガンダなんで、グルまでが言う必要はない、と思うんですがね。
ポジションをどこに置いておられるのか、分かりやすくていいんですが。