さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【読書録】教養としてのアメリカ短編小説

2024-07-25 23:27:58 | 読書録

都甲幸治/NHK出版

この本はとても面白かった。先日スタインベックの「怒りの葡萄」を読んで、米国高校生レベルのアメリカ史なら一応知っているつもりの私も、まだまだピンと来ない部分が多いことを自覚。アメリカの小説をもっと読んでみたいので、この本をKindle Unlimitedの中から選択したのであった。

アメリカの小説と切っても切れないものの一つが戦争である。南北戦争の死者は62万人で、この数字はアメリカ合衆国が戦ったどんな戦争の死者数よりも大きいんだそうだ。その後も絶え間なく戦争が続いて行くことによって、アメリカ合衆国には内部にも外部にも常に暴力が存在し続けることになったこと。

また人種差別や、禁酒法に代表されるアルコール依存の問題・・こうしたことが、いろんな形で小説に登場する。例えば誰でも知っているはずのエドガー・アラン・ポーの「黒猫」。我々日本人は単に黒猫としか思わないだろうが、実はここにも人種差別の要素が含まれているという記述はびっくりしてしまった。そもそも色が黒・・というところがすでに暗示しており、主人公から黒猫が受けた仕打ちというのが、まさに黒人が受けていたリンチと重なっているとのこと。そして主人公はアルコール依存により人格の崩壊した人間であった・・・。ちなみにアルコールはネイティブアメリカンに依存症になるまで飲ませ、心身を破壊していったという悍ましい歴史まであるのだ。

高校時代、これまた現地でアメリカ文学を学んだけれど、こっちは全くわかっていなかったなぁ。

これからもいろいろ読んでみよう。

 


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