さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

醍醐寺(上醍醐)(西国第11番札所)

2015-05-19 22:50:33 | ただの日記
これが、2月の旅行の記録としては書き納めになるかな。

なぜ上醍醐のことを書くのが一番最後になってしまったかというと、思い出すと心が痛むことがいくつかあるからである。

いわゆる上醍醐の札所というのは、醍醐寺のある笠取山(醍醐山)の上の方にある准胝堂のことなのであるが、その准胝堂は2008年8月24日に落雷による火災で、ほぼ全焼してしまったので、今は山の下の旧・大講堂を観音堂と改称し、そこへ札所を移してご朱印等を受け付けているのである。上の写真がその観音堂なのであるが、もともとの大事な場所が失われたという心の痛みがまず第一である。

第二に、上醍醐は下醍醐から1時間近く山を登ったところにあり、西国札所一の難所として知られていたが、札所が下醍醐に仮に移されていることで、現時点では難所ではないことである。去年行った施福寺も難所であり、大変な思いをしたが、そこを超えるかも知れない難所を経験しなかったこと。これが心の痛みというかなにやら後ろめたさのようなものが第二である。

第三に、じゃあ山道を登らなくて良かったにも関わらず、私が道を間違えて大回りしたのと、醍醐寺のあまりの規模のデカさに自分を見失い、膝も痛くて、下醍醐のお参りすら自分にとっては大変な思いをしたことで、我が身の不甲斐なさを感じるのである。

第四に、そういう上醍醐の受難について現地で道に迷って土地の人に聞いて初めて知った自分の無計画性である。そもそもこの旅行自体、2月11日の奈良の旅程以外何も決めておらず、11日の夜、京都のホテルで、12日の天橋立・舞鶴行き、13日の京都周辺のまだ行けてないところを行こうと決める行き当たりバッタリさ。上醍醐についてもホームページにあった「東西線・醍醐駅から醍醐寺まで徒歩約10分」という記述を信じて13日は5寺回ろうと計画を立てたが、醍醐駅を過ぎて古いガイドブックの地図を見たら「往復3時間を予定しておくこと」などという文章が飛び込んできて青くなり、駅を出てから延々と団地でなんだか分からなくなり、スマホで近くに来ていることは分かるのに入口がどこだか分からず、上醍醐の標識も全然出ていないことから、そこにあった八百屋さんに聞いて、上醍醐の札所が焼けたことを知り、自分で自分が嫌になってしまったわけである。


まぁ、色々あったが、10分よりはるかに時間をかけてようやく醍醐寺の中には入った。しかし、まぁだだっ広くって、関東の人間からすると、やはり京都のお寺は大きいことはわかっていても、それでもこんなに大きいお寺も、そうないだろうと思うのである。やはり醍醐天皇と同じ御名を冠するだけあるというか、醍醐天皇は醍醐寺を自らの祈願寺とされ、手厚い庇護を掛けられたというから、圧倒的な財力に支えられた寺院と言うものは、東国の寺院違うなぁと思うわけである。


どれくらい大きいかって、そりゃぁもう自分を見失うくらい大きくて。盗賊じゃなくても「おいらのポケットには大きすぎらァ」と言いたくなる感じ。どこを歩いていいかも分からなくて。お寺の方に聞いて、あの門(仁王門)を目指せばいいことが分かっただけでも安堵したというか・・・ここでも自分の近視眼と空間処理能力のなさに嫌になるのである。


門の近くに来るだけでも自分の足をもどかしく感じる。


実にいい感じの門なのだが、感傷に浸っている心の余裕がない。


これって金堂かな? もう、おちおち見てる余裕なし。


横に五重塔がある。


この時は、天気も悪くなってたし、古めかしいし何だか薄気味悪いと思ったのだ。
前々日の興福寺の五重塔の美しさにあまりに感動してしまった後だったからかもしれない。
だがブログを書いている今、この五重塔(国宝)が貴重な平安時代の建造物であることを知る。
応仁の乱で下醍醐はこの五重塔を残して全焼してしまったので、創建当時のまま現在に残るこの五重塔は貴重なのだ。

ブログに書こうとしなければ調べようともせず、この塔は私の中では「なんだか天気悪いし膝も痛いし薄気味悪かった」記憶とともに葬られていたに違いない。


これは同じ塔を帰りにもう一度撮ったものだけど、光の加減で、随分違う風に見える。平安時代の建築物なのに、この写真だと木肌が随分白く見えるのね。


五重塔を通り過ぎると、あたりは更に寂しくなっていく。


これが、その仮住まいの観音堂である。


お堂の中は撮れないけど、なかなかによい雰囲気であったことは申し添えておこう。
ちょうど読経の時間だったようで、その脇で神妙な気持ちでご朱印をいただいてきた。

帰りは、道を間違わなかったので、ちゃんと最短経路で醍醐駅に着くことが出来た。

ということで、書きながら自分の心の整理も少しついてきたのであるが、いずれここを再訪し、山道を登って上醍醐にも足を踏み入れてみたい気もするのである。

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