可破家の御啓・１６

可破家の御啓(かばかのごけい)・１６


透明「要するに、もともと賢木家というのは

　　　神様の氏子を請け負う際に、

　　　神様と契約をしているんだ」

　陣「契約」

透明「まあ、これはあくまでも一般例に

　　　なっちゃうから、賢木家が同じような

　　　契約をしているかはわからないけど

　　　通常こういった契約は、その神様を

　　　奉ることで成り立つものになる」

　陣「まあ、契約だもんね」

透明「しかし、この神を奉るというのは、

　　　実はそんなに都合の良いものではない

　　　今の人は神様を願いを叶えてくれる方として

　　　都合よく考えてお参りしている人も多いけど、

　　　さっきも言った愛ポイントがなければ

　　　等価交換はなされないつまり賢木家は

　　　神の社を支え続けることで愛ポイントを

　　　溜める形となり、子孫繁栄というご利益を

　　　得る形をとっていた のではないかな

　　　そしてこの子孫繁栄は、読んで字の如く

　　　次世代の子孫がいて初めて発動する

　　　加護になる」

　陣「あっ」

透明「私が視た感じだと、賢木家は世代を

　　　またぐごとに繁栄しているみたいなんだ

　　　その繁栄は、余程の幸運と、新たな

　　　インスピレーションが合致しないと

　　　なされないようなものが多い

　　　つまり、この幸運は神が担い、

　　　新たなインスピレーションは賢木さんが

　　　受け持っていて、そのインスピレーションは

　　　賢木さんが本当の当主になった時に生まれる

　　　というものなのだと思う」

賢木「新しい・・インスピレーション・・・」

透明「今の賢木さんは、これまで賢木家を

　　　成り立たせてきた家業に縛られ、守ること

　　　だけを考えてきてしまっていますよね」

賢木「は、はい」

透明「しかし本来の賢木家は当主が変わるごとに

　　　新たな事業を確立し成功させている

　　　フシがあります」

賢木「・・・た、確かにそうかも・・・」

透明「今の賢木さんは頭が少し固いだけなんです

　　　本来賢木さんは、自由にやりたい事を

　　　形にできる才能を持っています

　　　しかし、そのやりたい事を形にしてくれる

　　　インスピレーションをもたらしてくれるのは

　　　あなたが命を賭して守りたいと思えるもの

　　　が出来てからしか、出てこないもの

　　　なのかもしれません」

賢木「そう・・・だったのですね・・・

　　　確かに、私が生まれて間もない頃、

　　　私の父は今の仕事を一代で築き上げた

　　　と聞いています

　　　もちろん、ご先祖様が残した仕事も

　　　続いているものはありますが、

　　　今の母体は父が作った会社です」

透明「そうやって賢木家は、大きく強く

　　　なっていった家系なんだと思います

　　　ただ、その契約のルールが今、

　　　瓦解しそうになっている

　　　その理由の１つは

　　　賢木さん自身が信仰心を失いつつあること

　　　そしてもう１つは

　　　次世代となる跡取りがいないこと

　　　この２つが契約を揺らがせている

　　　それを神様が神託として伝えてきている

　　　のだと思います」

賢木「・・・・私は・・・なんて・・・」

　陣「ストップ賢木さん

　　　さっき約束しましたよね

　　　自分を責めるのはやめましょう

　　　とにかくこれで問題点はハッキリしました

　　　後は賢木さんが一日も早く結婚して子供を産めば

　　　万事解決じゃないですか～」


いやいや、そんな簡単な事じゃないだろう～


賢木「そ、それが、一番難しいような・・・」

　陣「ええ～～～～っ」


いや、賢木さんが正しい・・・



　　　　　　　　　　　　続く ・・・。

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