


透明「雅治くん
そこに立ってみて
」


雅治「こうですか
」

雅治くんは私の前に仁王立ちする

私は雅治くんの肩に手を置く



透明「そのまま、体の動きだけで
この手を引き離してごらん
」

雅治「は、はい
」

雅治くんは、私の手を引き離そうと
一生懸命体を動かしはじめた



雅治「
な、なんで
」


私の手は雅治くんから離れない

もちろん私は手を置くだけで力も入れていない

しばらくして・・・。
雅治「はぁはぁはぁはぁ・・・もうダメ
」

透明「くすっ
お疲れさま
どうだった
」



雅治「どうって・・・はぁはぁ・・・先生

・・・はぁはぁ・・・何をしたんですか
」


透明「くすくす
これが聴剄
相手の動きを読み


相手の動きを操る技法だよ
」

雅治「す、すごい
」

透明「ここまでになるには、時間がかかるけど、
技法を応用すれば、相手の心の動きくらいなら
簡単に読めるよ
」

雅治「お、お願いします
僕に教えてください
」


透明「お~し
それじゃあ、雅治くん


先生の背中に手を当ててごらん
」

雅治「は、はい
」

透明「そのまま目をつむって・・・。」
雅治「・・・・・・・・。」
透明「・・・・・・・・。」
雅治「・・・・・・・・。」
透明「今、手から何が感じられる
」

雅治「え、え~と・・・鼓動ですか
」

透明「うん
それから
」


雅治「・・・・・先生の呼吸の音
」

透明「うん
それじゃあ、先生と呼吸を合わせて

先生と同じ呼吸をしてごらん
」

雅治「・・・・・す~っ・・・は~っ・・・
」

透明「・・・・す~っ・・・は~っ・・・・
」

雅治「・・・・す~っ・・は~っ・・・・・
」

透明「・・・・す~っ・・・は~っ・・・・
」

雅治「・・・・す~っ・・・は~っ・・・・
」

透明「・・・・す~っ・・・はっ
」

雅治「・・・・す~っ・・・は
げほげほっ
」



透明「あははっ
ごめんごめん
」


雅治「び、びっくりした~
けほっ


先生いきなり息止めるんだもん
」


透明「でも、ちゃんと出来たじゃない
」

雅治「えっ
」

透明「相手の呼吸にあわせる
これぞ聴剄の極意のひとつだよ


本来は、筋肉の動きや気の流れも読み取るものなんだけど、
今回はそこまではしなくていい
」

雅治「
」

透明「動物は、必ず呼吸をして生きているでしょ

この呼吸は、感情と直結しているものなんだ

例えば、今みたいに呼吸を止めるときは、
力を入れるときに起こる現象

逆にリラックスしているときは、呼吸が深く長い
」

雅治「なるほど~
」

透明「相手に触れなくても、呼吸の速さやテンポは、
相手の胸を見ていればわかる

その呼吸の状態で、相手の心理は大分わかるものだよ
」

雅治「ふんふん
ちょっと、メモとります
」



透明「試合する前に、相手の呼吸をしっかり読み取る

相手の呼吸が速く短いものなら、相手は君と同じで
緊張をしている
緊張をしている

逆に、呼吸が長く深い相手なら、ちょっと要注意
緊張はしていない状態だから、相手をナメているか
自信がある現れだからね

緊張はしていない状態だから、相手をナメているか

自信がある現れだからね

もう一つ、相手が息巻いていてちょっと気負いがある
場合は、口よりも鼻から呼吸をしようとするから
鼻息の荒さでわかるよね

こういう人は、自分からミスを犯しやすいから、
上手く攪乱してあげると自滅することが多いかな
場合は、口よりも鼻から呼吸をしようとするから
鼻息の荒さでわかるよね


こういう人は、自分からミスを犯しやすいから、
上手く攪乱してあげると自滅することが多いかな

どちらにせよ、試合中も呼吸に意識をおいておけば、
相手の出方もわかるようになる
」

雅治「おお~~~っ
」

透明「それとね

これは、闘いとは直接関係は無いかもしれないけど、
この呼吸を読むには、相手の呼吸と合わせることが
一番相手を理解出来ることでもあるんだ

人に触れ、人と共に生きて行く為には、
相手の呼吸やテンポを理解することが相手への
共感につながる近道でもある

呼吸が合えば自ずと相手の気持ちにも立てるしね

これは、自分自身で学んでゆくことだから、
少し呼吸の意味を見直してみるのも悪く無いかもよ

まあ、そう言うこともひとつ学びとして覚えておくと
良いかもね
」

雅治「はい
」


透明「でも、今回の試合は、あくまでも君自身が強くなるための
練習だよ
強くなるための一歩である聴剄を肌で
練習だよ

感じてきてごらん
これは、相手と闘うのではなく


自分と闘うことと等しいことだよ
」

雅治「は、はい
・・・・・・先生
」


透明「んっ
」

雅治「先生にさっき、棄権する方法教えてもらったけど、
自分のためにも少し頑張ってみてもいいですか
」

透明「うん
わかった
その代わり、もし自分で


もうダメだって思ったら、さっきの棄権方法も
あるから、自分の想うままにやってごらん
」

雅治「はい
やっぱり先生に会いに来てよかった


先生
ありがとうございました
」


私は、彼を駅まで送ると、一目散に仕事に戻った





さて
今日は雅治くんも呼吸の勉強で忙しくなるな~


私も一踏ん張りしますか

いよいよ
ファイナル


次回は、
皆さんと共に試合会場に行こうと思います
皆さんと共に試合会場に行こうと思います

続く・・・。
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