


透明「そっか~
棄権するのか~


それじゃあ、仕方ないね
」

雅治「
・・・先生は、怒らないんですか
」


透明「んっ
どうして
」


雅治「ふ、普通
・・・怒ったりしませんか


情けないとか、弱いとか・・・。」
透明「雅治くんは、私に怒られたいのかな
」

雅治「・・・い、いえ・・・そう言う訳じゃぁ・・・。」
透明「訳があるんだろ
その中で雅治くんが決めたことを

私はトヤカク言うつもりはないよ

雅治くんは、もうイッパシの男だろ

その男が決めたことを止めやしないよ
」


雅治「・・・くすっ
やっぱり先生だ
」


透明「
」


雅治「ごめんなさい
先生変わってないから

ちょっと、嬉しくて・・・
」

透明「
」

雅治「先生
」

透明「んっ
」

雅治「僕・・・怖いんです
」


透明「・・・負けることが
それとも、人と闘うことが
」


雅治「
」

透明「くすっ
一応、先生も君の師匠だったんだよ


それぐらいわかってるつもりだよ

人と闘うのが怖いんだろ
」

雅治「・・・はい・・・。」
透明「くすくすっ
変わってないのは、

雅治くんも一緒だね
」

雅治「
」

私が雅治くんを教えるに到った経緯は、
彼の父親が格闘好きという理由だけではなかった

初めて母親に連れてこられたとき、彼はあちこちに
傷やアザが出来ていて、明らかに怯えていた。
母親曰く、彼は優しく目立たない子で、
何かにつけて周りからイジメにあい、
それを親にも言えない気の弱い子なのだと言う・・・。
親としては、少しでも身体を鍛えて強くなって欲しい

イジメにあわないような子になって欲しい

そんな切なる願いを聞き、私はその気持ちを汲み、
雅治くんを指導することにしたのだが

彼には格闘の才能があり

私のところでも、メキメキと頭角をあらわしていった

もともと真面目で、何事にも一生懸命取り組む彼の強さは
教える私にも、多くの学びをくれたことを
今でもハッキリと覚えている

雅治「先生・・・少し聞いてくれますか
」

透明「うん
いいよ
はき出せるものは、
全部吐き出しちゃいなさい
」


全部吐き出しちゃいなさい

雅治「僕が、長野に行ってから今の道場に通って
2年くらいかな~

自分でも一生懸命頑張ってはきたんですが、
同じ年代の子も多くて、
とっても強い子もいるんです・・・。
だから、今回自分が代表に選ばれたことが
納得いかないし
・・・人と闘うのが、もともと

好きじゃないから・・・
」


透明「なるほどね
でも、それだけじゃないでしょ


その道場の仲間達ともギクシャクして、
同世代の子達からも、何で雅治くんが選ばれたのか

色々言われたりしてるんだろ~

その強いって言う子も納得がいってないんじゃない

それに、自分が結果を出さないと、
周りからもっと色々言われそうだしね
選んでくれた

先生にも悪いと思ってプレッシャーも感じてないかな
」

雅治「
」

透明「くすっ
先生は何でもお見通しだよ~ん
」


雅治「・・・その通りです
・・・だから、明日は

理由をつけて棄権したいんです・・・。」
さ~て、どうしたものかな~

試合のことよりも、雅治くんが変わるためには
今回のことが、大切なキーポイントになるんだろうけど・・・。
何だか、このままじゃいけないような気がする。
続く・・・。
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