昨日、宮古島の神を畏敬し、神の鎮まる森を守ろうと20年前に、「宮古島の神と森を考える会」を立ち上げた民俗学者 故谷川健一氏を見送る会に出席してきました。
氏は、今年8月、92歳で逝去されました。
個人的にもお付き合いはなく、氏の著書を読んだこともない爺ですが、スケッチオブミャークの中に歌われた神歌と伝統祭祀の復活に奮闘してこられた方と聞き、あふれる好奇心で顔を出してきました。
氏の宮古島に関する代表的な著書のひとつに「神に追われて」と題する著署があります。
この著書は、宮古島のシャーマン「カンカカリャ(神懸り)・ユタ」の成り立ちについて書かれたもので、本人によるとユタになる過程において
「平凡な一介の主婦または娘が、ある日突然神の声を聴く、しかし彼女の世俗的な夢や希望はその声に逆らう、まだ自分は世俗的に色々な夢を見ており、神の命から遠ざかろうとする。しかし、それを神は許さない。それが神に追われるということだ」
すなわちなりたくてなりたいわけではなく、神の道に入るための試練を受け続ける、最後には神に許されるか自らの命を絶つかまで追い込まれるということらしい。
その間は、狂気の沙汰で、肌足でボロボロの着物をまといながら宮古島中をさ迷い歩き、塞がれた井戸があれば開けろと叫び声をあげ、宮古の根を掘り起こせとわめき歩く等いわゆる気違い扱いされるわけですね。
最後には、ある御嶽の前に行くと頭のてっぺんにビビッと響く音を感じ、自分の神を発見するということです。
そのようなカンカカリャの一人である根間忠彦さんという方が出席され、魂の弔いで見送りました。
見かけは普通のおじさんですが、宮古島では有名なユタの弟で、自らも学生時代にカンダーリと呼ばれる神による体験を経験しています。
宮古島の森林率は全国の7割に対して2割を切っています。大きな森を住まいとしている神々にとって居場所を失っていくということを意味する開発は伝統的な祭祀の危機にもつながっている現状を変えようとしているのがこの会の趣旨です。
今、島ではこの会をはじめとして植林、育林行動が芽生えています。
公共では、防潮・防風・防災林造成事業という名を冠して。