トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

近江神宮から坂本へ

2015年01月13日 | 日記

京阪電鉄大津線(京津線と石山坂本線)の1日乗り放題切符「湖都古都・おおつ1dayきっぷ」を使って、石山坂本線を北上しています。この日は、雨が降り続く中を、近江神宮前駅から終点坂本駅の沿線を訪ねました。

近江神宮前駅で下車して、近江神宮をめざして歩きます。線路に沿って歩きます。

駅のすぐ北に、京阪電鉄錦織車庫がありました。京阪電鉄大津線の車両、23編成62両の全車両の検査等を行っているそうです。石山坂本線で乗車してきた車両には「昭和61年京阪電鉄 錦織工場製」などのプレートが貼り付けられていますが、ここで製造されたのでしょう。

車庫の中ですぐ目についたのが、引退した80形車両です。82号車と読めましたが、道路からの見えやすいところで余生を送っていました。

車庫に沿った道が行き止まりになったので、左折して広い道路に出てさらに北に向かいます。前方の山で右に進むと石山坂本線の線路と近江神宮の一の鳥居がありました。

赤く塗られた楼門をくぐります。38代天智天皇(在位626年~671年)をお祀りしています。この地は、667年、天智天皇が飛鳥から遷都した大津宮の跡にあたります。

新年のお詣りに来た多くの人とともに外拝殿に向かいます。近江神宮は昭和15(1940)年に建立されました。

外拝殿の中にあった内拝殿です。拝殿とこの奥にある本殿を回廊が取り囲む近江造(昭和造)という建築様式です。国の登録有形文化財に登録されています。

境内にあった「競技かるた祭」の案内板です。ここで、百人一首の第一首「秋の田のかりほの庵(いほ)の苫(とま)をあらみ わが衣手は露にむれつつ」の歌を詠んだ天智天皇に因む、競技かるたの名人とクイーンを決める決定戦が行われることの案内でした。決定戦は平成27年1月10日(土)に行われ、名人戦は岸田諭7段が3連覇、クイーン戦は坪田翼6段が初優勝しました。

境内にある自動車清祓所。旧大津地方裁判所の本館の車寄で、明治23(1890)年の建築。昭和46(1971)年に取り壊されることになって、ここに移築保存されることになりました。祭神の天智天皇が日本で最初に法(近江令)を制定したことからだそうです。ちなみに、大津地方裁判所は、我が国の司法権の独立を世界に宣言することになった大津事件の公判が開かれたところです。

境内にあった時計博物館です。天智天皇によって、日本で最初の時計である漏刻(ろうこく)がつくられたことにちなみ、昭和38(1963)年に設立されました。

これが復元された漏刻。水時計です。

時計博物館前には、時計業者が寄進した日時計も展示されています。

4000年前に中国で主に夜の時間を計るためにつくられた火時計です。龍の背中に等間隔に14個の銅球が吊り下げられています。

糸の下を燃え進む線香の火が糸を焼き切り、球が落下すると、下の銅鑼が鳴って時を告げていたそうです。

写真は南滋賀駅のホームです。近江神宮前駅から、”機関車トーマス”の701号車と702号車に乗車しました。。近江神宮前駅から0.6km、道路と並行した専用軌道を走ってきました。録音による車内放送で「もうすぐ湖が見えるところがあるよ。お楽しみに」と案内がありましたが、残念ながら、雨が降り続いて湖は見えませんでした

これは、南滋賀駅にあった時刻表です。近江神宮前駅まで日中8本運行されていた電車が4本の運行になりました。このあたりは市街地から離れた印象を受けました。

滋賀里駅です。南滋賀駅から0.9km。乗車されていた車掌さんの「ありがとうございます」という元気のいい声が聞こえます。

滋賀里駅から1.5km。石山坂本線の駅間最長区間を走って穴太(あのう)駅に着きました。高台を線路と並行して走る道路から撮影しました。穴太は、石垣づくりの集団として知られる穴太衆(あのうしゅう)のふるさととして知られています。

穴太駅にあったキロポストです。「12K284M」石山寺駅から、12.284kmの距離にあります。穴太衆は、古代から穴太一帯に居住し、山門の土木工事や修理にあたっていた人たちです。安土城の石垣をつくったことで広く知られるようになりました。その他、伏見城、篠山城、名古屋城、小倉城、金沢城、和歌山城、近江八幡城、伊賀上野城などの石垣工事でも高い技術を発揮しました。

松ノ馬場駅です。穴太駅から1.2km。

松ノ馬場駅から0.6km。終点坂本駅のホームです。石山坂本線14.1kmを乗り尽くしました。

改札口から出ました。近代的な坂本駅の駅舎がみえました。ここ坂本は、比叡山延暦寺の門前町として、古くから栄えた町で、国の「伝統的建造物群保存地区」に指定されています。穴太衆が築いた石垣の上に生け垣が並ぶ美しい風景が続いています。
駅を出て左に進むと日吉(ひよし)神社の鳥居が見えました。比叡山に延暦寺を建立し、比叡山の地主神である日吉神社を天台宗・延暦寺の守護神として崇敬したといわれています。3年ほど前に坂本を歩いたことがありました(2011年12月31日の日記)ので、駅からJR東海道線の乗り換え駅である京阪石山駅に向けて引き返すことにしました。


「湖都古都・おおつ1day きっぷ」を使い、石山坂本線を石山寺駅から坂本駅まで14.1km。21駅をたどってきました。600形と700形の2両編成の電車で1駅1駅下車しながら、沿線の見どころを訪問しながらの電車の旅でした。500円の1日乗り放題きっぷだったからできた旅でもありました。長い間歴史の舞台であった京都に近いため、多くの史跡を沿線にかかえる、石山坂本線の旅の楽しさを満喫しました。