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基本的に、いろいろなことの変なとこに突っ込みます。

古代史の謎は「鉄」で解ける 長野正孝著 PHP新書

2016-01-06 16:14:44 | 本と雑誌
2015年10月が初版です。

でも、次の問題があります。

1:最近のDNA研究の結果が反映されていない。
  朝鮮半島の女性は縄文人の子孫であること。男性は、朝鮮北方やシナのDNAであり、縄文人の痕跡はほぼ消滅していること。

  現代の日本人のDNAは男女ともに、朝鮮やシナとはまったく異なるDNAであること。
  現代の日本人のDNAは男女ともに縄文人のDNAを引き継いでいること。

  つまり、日本人は縄文時代から日本人であり続けたし、渡来人がいたとしてもDNAに結果を残すほどの多数はいなかったということ。

  渡来人がすべての文化や技術を伝え、その後の発展も渡来人たちが担ったとする著者の推論は否定される。

2:魏志倭人伝、韓伝の引用がないから孫引きなんだろうけど、記事を軽んじすぎ。
  三国史記の引用はあるが、まじめに読んでいないのかも。
  倭種と倭人は同じ言葉を話すことがわかるはず。
  倭種二人がトップに付いて問題がなかったのは、当時の朝鮮に倭人や倭種がいっぱいいたということだろう。
  隣村であっても言葉が通じなかったのはシナのほうである。近代でも話し言葉を文字にできるのは、上海語と北京語だけというのは不思議と言うしかない。   

  日本語に朝鮮やシナの片鱗が残っていないということは、渡来人が住み着いたとしても影響が残せないほどの少数だったということだ。

  技術の伝承は一子相伝とか秘伝みたいなのがあったろうから、簡単には拡散しない。
  それが渡来人だったら言葉がそのまま引き継がれるはずだが、そんなの残っているか?
  なんかよくわからない技術名があったりするけど、それって符牒の可能性も。

  今もまじめ一方の日本人が縄文時代の昔から技術開発にいそしんでいたとしても何も不思議はない。
  一例として勾玉の制作技術は日本独自のものだったはず。また、日本刀の正しいまねができる国は、日本以外にいまだに存在しないはず。

  渡来人がすべての文化や技術を伝え、その後の発展も渡来人たちが担ったとする著者の根拠は弱すぎる。
  近代の朝鮮は古代であったと誰もが言う。古代に素晴らしい何があったと言えるだろうか。おとぎ話でしかない。
  では、シナは?
  素晴らしい品物が残っているが、それらは歴代の王朝が略奪して残したもの。実際に造った人々は、略奪されて多分亡びた多数の民族です。
  文書だけが作者名が書かれていて現在にも残っているというところでしょう。

3:埋葬での供え物について (本書とは、あまり関係ないことですが)
  みんな忘れているかもですが、残された家族にとって大事なものは埋めないってことです。
  形見分けの文化もしっかり残っていますしね。
  農具や鍋釜調理道具って、まず副葬されていないでしょ?
  残された家族を含めた人たちにも十分にあって無くなっても良いものだけが一緒に埋葬されるということです。
  壊れたとか錆びてしまってもういらない鏡なんかは、埋められる候補です。
  鏡なんて一家に一つあれば十分だし、いつも手入れしていないと映らなくなるから、いっぱいあると面倒すぎる。
  昔の祭具なんかも、それを使っていた人と一緒に埋葬して片付けるというのがありますね。鋳つぶすなんて恐れ多くてできないだろうし。

  七支刀なんて、献上品としてもらったもので、武器にも使えず、残しても鋳つぶす以外の用途がないとなれば、全員賛成で埋めちゃうだろう。
  副葬された刀も、いっぱい出る場合は質が劣るから不要とされた刀だけと考えたほうが良い。
  当人の持ち物だったのなら、1本か多くて2本ってとこだろうけど、2本目以上は誰も欲しがらない不良品のはず。


ともかく全部読むのは辛すぎなので、後年、反映された版が出てきたら考えましょうか。

コメント
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