goo blog サービス終了のお知らせ 

鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイドを行っていた千嶋淳(2018年没)の記録

140104 十勝川ワシ観察クルーズ

2014-01-04 17:17:58 | 猛禽類
Img_5668a
All Photos by Chishima,J.
オオワシ成鳥 以下すべて 2014年1月 北海道十勝川中流域)


 今年最初の川下りに行って来ました。乗船前に付近の丘の木に止まるオオワシ2羽を観察でき、幸先の良いスタートです。川面に繰り出してしばらくは、この時期としては珍しい向かい風のため、皆で力を合わせてボートを漕ぎました。川が大きく流れを変え、河岸が激しく削られている通称‘大曲’を超えたところで河畔林に2羽のオオワシ成鳥。うち1羽はかなり近くまで接近できた上に、飛び立った後は何度も何度も、ボートの上を旋回してくれました。正月の青空の中を悠然と舞うオオワシの姿に一同はすっかり興奮。「自然からのお年玉だネ!!」との声も。しかし、お年玉はこれだけにとどまらずオジロワシ、タンチョウ、ハヤブサなどが続々現れては目の前を行き交います。めでたすぎです!!寒さも吹き飛び感動冷めやらぬまま上陸した後は、近くの川で再びオオワシやオジロワシを望遠鏡でじっくり観察しました。本日は小学生のお子さんが3人乗船し、ワシやハヤブサ、タンチョウの出現にいたく興奮した彼らが、陸に戻った後も繰り返し熱い口ぶりでそれを伝えてくれたのがたいへん嬉しいクルーズでした。この仕事をやっていて良かったと、心から思える瞬間です。
 

 本年もよろしくお願いいたします。


タンチョウ
Img_5703a


*十勝川ワシ観察クルーズの詳細は、十勝ネイチャーセンターのHPを参照下さい。


(2014年1月4日   千嶋 淳)


131221 十勝川ワシ観察クルーズ

2013-12-26 22:19:11 | 猛禽類
Img_5276a
Photo by Chishima,J.
オジロワシ成鳥 2013年12月 北海道十勝川中流域)


 時折薄日が差す程度の曇天でしたが、細波一つ立たぬ十勝川は穏やかそのもので、気温も高めで快適な川下りでした。事前に陸上からオオワシ、川面に繰り出してから河原に降り立つオジロワシを観察。その後しばらく寂しい状況が続いた後、後半で2種のワシが続々と現れ、オオワシがボートの真上を飛び、2回連続で河畔林に止まるオジロワシの至近を、飛ばれることなく通過して一同の興奮はピークに達しました。上陸後も近場のワシスポットで10羽以上を観察し、2種のワシを堪能した午前のひと時でした。カモ類やセキレイ類、ミソサザイ等は相変わらず少ない状況が続いています。


(2013年12月21日   千嶋 淳)



131218 十勝川ワシ観察クルーズ

2013-12-26 22:09:05 | 猛禽類
Img_4982a
All Photos by Chishima,J.
河畔林に止まるオオワシ成鳥 以下すべて 2013年12月 北海道十勝川中流域)

 お客さん6名とボードガイド、それに私の8名で下って来ました。例年、12月も中旬を過ぎると本格的にシバれて来て、日によっては顔や足先の痛みに耐えながら樹氷や毛嵐を見ることもありますが、今日は秋のような温かさ、穏やかさでした。それはそれで快適なクルーズとなって良かったのですが。

十勝川の水面と千代田新水路、日高山脈
Img_7287a


 乗船前には時間の関係で、オオワシ1羽のみ陸上から観察しました。この陸上観察はボートでワシが出なかった時の保険だけでなく、スコープで顔つきや細部を見ることによって、ワシをより深く知ってもらうために行なっています。
 川面に出廷後ほどなく、河畔の木にオオワシとオジロワシを発見。オオワシは肉眼で嘴の黄色や翼前縁の白がはっきりわかる距離で観察できました。その後も景色や歓談を楽しみながら下ってゆくと、2羽のタンチョウが雪を頂いた日高山脈を背に河原を歩いていたり、終盤近くではオジロワシの成鳥もごく間近に見るなど、盛り上がりのうち無事に終えることができました。
 カモ類やセキレイ類が少なく、例年なら大群で頭上を通過する際の羽音が美しいホオジロガモも疎らにしかいないのが少々残念なところです。今年は温暖で開水面も多いと予想されるため、鳥が分散しているか、もっと北に留まっているものが多いのかもしれません。
 このクルーズのお客さんの多くは道外か、道内でも十勝管外の方ですが、十勝の人にも、知床や釧路に行かなくてもワシ類やタンチョウが、しかも帯広から半日足らずの行程で楽しめることを知っていただきたいなと、ふと思いました。


河原に佇むタンチョウのつがい
Img_5026a


*十勝川ワシ観察クルーズの詳細は、十勝ネイチャーセンターのHPを参照下さい。


(2013年12月18日   千嶋 淳)


生鮭争奪戦(12月2日)

2011-12-05 18:37:58 | 猛禽類
Photo
All Photos by Chishima,J.
サケを捕食中のオオワシ若鳥(周囲はカラス類 以下すべて 2011年12月 北海道十勝川中流域)


10時33分:朝は冷え込んだが風も無いこの時間には、遠くの空気が揺らぐ暖かさだ。ワシ達の多くは川原での朝の食事を終え、樹上での休息に移行している。こちらも帰りかけたところ、中州に15羽ほどのカラスに囲まれた、食事中のオオワシ若鳥を発見。ワシは全身黒っぽいが翼には新旧の羽が混在しており、2年目以降らしい。採餌中のワシに、おこぼれ目当ての数羽のカラスが付いているのは普通だが、これほどの数は珍しい。若鳥ゆえ隙がありそうなのか?

10時35分:画像を確認したところ、嘴の下側が赤く染まっている。ワシが食べているのは、新鮮なサケだったようだ。秋以降に遡上したサケが死に、初冬のワシ達の腹を満たすこの川原でも、餌となるのは大抵、干からびたり凍結した魚であり、血が滴り落ちるほどの新鮮なものは一級品だろう。道理で取り巻きのカラスが多いはずである。

10時37分:何羽かのカラスがワシの隙をついて、サケに挑みかかり、1羽のハシボソガラスが赤い肉塊をくわえて飛び去った。それでも食べる部位はまだ十分に残っているとみえ、ワシはすぐに食事を再開。


サケの肉片をくわえて飛ぶハシボソガラス
Photo_2


10時44分:カラス達が一斉に舞い上がり、上空を見上げてワシが「カッ、カッ、カッ、カッ…」と声を発した。オジロワシの成鳥が降りて来た。緊張感が走るが、オジロワシはオオワシから数m離れた場所に降り立ち、特に何もしない。オオワシはじきに食事を再開。オジロワシは黙ってそれを見ている。

オオワシ若鳥(左)の近くに着地したオジロワシ成鳥
Photo_3


オオワシ若鳥がサケを食べるのを後ろで注視するオジロワシ成鳥
Photo_4


10時49分:オジロワシはじわじわと距離を縮め、オオワシの真後ろにいるが、オオワシは構わず食べ続けている。大きなサケも半分近くまで消費された模様。
オオワシの成鳥が1羽、上流より飛来。この鳥は先ほどのオジロワシとは異なり、若鳥めがけて脚を出し、明らかに攻撃的な姿勢で突っ込んで行く。若鳥も軽くジャンプして応戦。繰り返すこと数回、成鳥は若鳥の傍らに着地した。


サケを食べるオオワシ若鳥(左手前)に襲いかかる同成鳥(背後はオジロワシ成鳥)
Photo_5


10時50分:オオワシ成鳥が、若鳥に対して翼を広げて威嚇すること数回。必死に防戦していた若鳥だが、どこかで隙が生まれたらしい。再度上流へ飛び立った成鳥の脚には、かなり大きなサケの「切り身」ががっしりと握られていた。とはいえ、サケの本体は若鳥の下にあり、すぐに採餌を再開した。

10時51分:オジロワシの若鳥が飛来したが、10mほど離れた川原に降り立った。サケの近くにいる2羽のワシとの干渉は、特に見られなかった。

10時53分:上下流含め、夥しい数のカラスが飛び立ったと思ったらオオタカの幼鳥が1羽、上流方向へ飛んで行く。カラスたちの執拗な攻撃を受けながら去って行った奥に見える日高の山並みは、いつの間にか真っ白だ。

10時56分:これまでの流れを整理している内に「何か」が起こったようだ。オオワシ若鳥の傍らにいたオジロワシ成鳥が飛んでいる。その嘴には案の定サケの一部(鰭?)がくわえられている。飛翔中に嘴から脚へと、サケを持ちかえたオジロワシ成鳥は、数羽のカラスを伴って数百m下流の川原に降下した。黙ってオオワシの食事を見物しているように見えたオジロワシ成鳥も、実は虎視眈々と略奪の機会を待っていたのである。


サケの一部をくわえ去るオジロワシ成鳥
Photo_6


10時58分:オジロワシの若鳥が、先程まで成鳥のいた、オオワシ若鳥の傍らにいる。オジロワシ成鳥の初期と同じように、微妙な距離感を保って食事中のオオワシ若鳥を注視している。

11時1分:上空から「ピー」と高い声。タンチョウ幼鳥の声だ。見上げると今年この近くで繁殖した家族3羽が、下流方向へ飛んで行く。途中、下流から飛来したオオハクチョウと入り混じり、白くて大きな鳥の大乱舞となる。それにしてもオオワシ、オジロワシを観察している上をタンチョウ過ぎゆくとは、何たる贅沢なのだろう。

11時2分:タンチョウに目を奪われている間に、オジロワシの若鳥が2羽になっていた。1羽の時よりもオオワシへの距離を縮め、食事を続けているオオワシも気になるようで視線はオジロワシに注がれている。


サケを食べるオオワシ若鳥(左)を背後から注視するオジロワシ若鳥
Photo_7


11時5分:ついに闘いの火蓋が切られたようだ。オジロワシが何度も攻撃し、オオワシ若鳥は右脚にサケを持ったまま防衛する。しかし、この回はオオワシに軍配が上がり、オオワシは再びサケを食べ始め、オジロワシ2羽はそれを見守っている。


オジロワシ若鳥(右)の攻撃に応戦するオオワシ若鳥
Photo_8


11時6分:すぐにオジロワシの再攻撃。今度は先ほどよりいくぶん高いところから攻撃しているようだ。組んず解れつの格闘で、詳細はよくわからない。オジロワシの1羽が飛び立った。おそらく後から飛来した個体。その脚にはやはりサケの鰭らしきパーツが握られている。


サケの魚体を持って飛び去るオジロワシ若鳥(左;周囲はオオワシオジロワシカラス類
Photo_9


11時7分:残されたオオワシとオジロワシの若鳥は、川原に立ったまま特に何をするわけでもない。サケはなくなったようだ。カラス類の動きが活発になったように見えるのは、石に付着した肉片や血を啄んでいるからだろうか。


川原でたたずむオジロワシ(右)とオオワシの若鳥(周囲はカラス類
Photo_10


11時10分:先刻から何度か翼を開閉していたオジロワシの若鳥が飛び立ち、カラスに追われながら下流方向へ去った。次いで、オオワシの若鳥も飛び立ち、上流へ飛去。そのうはかなり膨らんでいるように見えるから、三度の同種、異種による略奪を受けながらも、それなりに食べられたのではないだろうか。ワシ達のいなくなった川原では、相変わらずカラスが忙しなく動いている。浅瀬ではコガモの一団が、これまた小鳥のように忙しなく採餌している。陽もすっかり高くなった。


(2011年12月5日   千嶋 淳)


コミミズク

2011-02-08 23:13:34 | 猛禽類
1
All Photos by Chishima,J.
雪中のコミミズク 2010年12月 以下すべて 北海道十勝管内)


(2011年1月10日釧路新聞掲載「道東の鳥たち22 コミミズク」より転載 写真、解説を追加)


 初冬の海岸は寂しいものです。僅かな雪も風で飛ばされ、銀世界には程遠い褐色の風景。夏に絢爛と咲き誇ったハマナスも、今は赤く萎んだ実で点々と面影を残すのみ。午後早い時間、低い位置から原野を茜色に照らす太陽が、一年で最も昼の短い季節を教えます。そんな荒漠の中をふわふわと飛ぶ鳥。鳥はそのまま地面に向けて急降下することも、流木や杭へ止まることもあります。二つの金色の目玉がこちらを睨んでいるかもしれません。コミミズクです。

流木からの飛び立ち(コミミズク
2010年12月
画面右下にはハマナスの赤い実も。
2


 コミミズクと聞くと、小さくて可愛らしいミミズクを想像されるかもしれませんが、実際には翼を広げると1m近くある、カラスより少し小さい中型のフクロウです。耳のように見える羽(羽角)が小さい、つまり小さな耳のミミズクというのがその名の由来です。


杭に止まるコミミズク
2008年1月
3


 コミミズクは二つの、他のフクロウ類とは異なる特徴を持っています。一つは草原性で、フクロウやシマフクロウなど他のフクロウ類が森林を生活の場としているのに対して、海岸草原や河川敷、農耕地など開けた環境に生息する点です。もう一つは、夜行性のフクロウ類の中にあって昼間も活発に活動することです。もちろん夕方や夜間にも活動するのですが、特に北海道では本州以南と比べて、昼行性が顕著な印象を抱いています。


午後早くから飛び回る(コミミズク
2008年1月
4


 北半球の亜寒帯以北で繁殖し、日本へは冬鳥として渡来します。道東では8月下旬に根室近海で漁船へ飛来した例もありますが、通常12月頃より観察の機会が増えます。本州では10月頃から普通に見られることを考えると不思議です。道東と本州に渡来するコミミズクとでは、繁殖地が異なるのかもしれませんが、詳しいことは分かっていません。
 越冬中の主食はノネズミ類で、草原を低く飛びながら、獲物を見付けると停空飛翔や急降下して捕えます。杭などの上で待ち伏せする場合もあります。日高静内でのアイヌ語名「エルム・コイキ」(ネズミ掴みの意)は、本種の習性から付いた名前でしょう。渡来数は年によって著しい差があり、あちこちで出会う冬があれば、まったく見かけない冬もあります。これは繁殖地でのネズミ発生量と関係しており、ネズミが大発生した年には産卵数が増加し、2回目や遅い時期の繁殖も活発になるそうです。ロシアでは、ネズミの多い年の11月にまだ幼鳥と卵のある巣が見つかった例があります。精悍な狩人のイメージとは裏腹におっとりした性格で、よくカラスに追われていますし、ケアシノスリやハヤブサなど他の猛禽類に食べられてしまうこともあります。


ノネズミ類を掴んだコミミズク
2008年1月
獲物はおそらくアカネズミの仲間。草は捕えた時、一緒に握ったのか。
5


 愛嬌のある顔や仕草ゆえ、鳥の中でも人気者です。数年前、十勝の海岸に何羽も飛来した時は連日多くの観察者で賑わい、天然記念物の海岸植生を踏み荒らしてコミミズクを追い回し、撮影用の人工的な止まり木を設置する人が続出しました。狩りの瞬間を撮ろうと、餌のネズミを集めるためヒマワリの種を撒く人さえいました。デジタルカメラの普及で、鳥や野生動物を撮影する人が格段に増えました。それと同時に動物やその生息環境への配慮を欠く行為も多く目にするようになったのは、残念なことです。自然に対する感謝と謙虚な気持ちを忘れることなく、フィールドへ赴きたいものです。


落陽に照らされて(コミミズク
2008年1月
6


コミミズク
2008年1月
7


(2010年12月29日   千嶋 淳)

本種については、
「コミミ狂想曲」 (2008年1月)
「遭遇」 (同)
「至福の一時」 (2007年1月)
の各記事も参照