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鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイドを行っていた千嶋淳(2018年没)の記録

第2回十勝川ワシフェスタ

2010-12-17 22:45:09 | 猛禽類
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Photo by Chishima,J.
オジロワシの幼鳥 2010年12月 北海道十勝川流域)

 直前の案内になってしまいましたが、今週末の19日(日)、音更町十勝川温泉観光協会と日本野鳥の会十勝では、昨年に引き続き「弟2回十勝川ワシフェスタ」を開催します。千代田新水路での観察会や夕方の懇親会は事前申し込みが必要ですが、小野有五氏と安西英明氏によるトークショーは申し込み不要で自由に参加できます。十勝川とそこに飛来するワシたちの魅力に浸ってみませんか。

詳しくは
こちらのビラ
日本野鳥の会十勝HP
まで。




他力本願?(10月22日)

2010-12-03 22:38:53 | 猛禽類
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All Photos by Chishima,J.
牧草地の上を飛ぶハイイロチュウヒ・オス 2010年10月 北海道十勝川下流域)


 まだ15時前だというのに西に大きく傾いた陽と、牧草地や畑を渡る冷たい風は紛れもなく10月下旬のものであった。牧草は例年に比べて聊か背の高い気がする。既に何度かの刈り入れを経ているはずだが、今年の夏から秋の高温が生育を促したのかもしれない。そんな秋も後半の風景を背に、2羽のハイイロチュウヒのオスが飛んでいた。ハイイロチュウヒ自体は数少ない旅鳥または冬鳥として毎年渡来するが、大抵はメスまたはそれに類した羽色の幼鳥である。青灰色と黒、白のコントラストが美しいオスが、それも2羽同時に現れるなどというのは、そうあることではない。

ハイイロチュウヒのオス
2010年4月 北海道中川郡豊頃町
本種は十勝地方では9月末に渡来し、4月下旬まで見られる。渡来数は年により異なる。
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 はじめ互いに比較的近い距離を飛翔し、攻撃的な絡みも見せた2羽は徐々に距離を離してゆく。ただし、やっていることは同様で、農耕地の上を低く掠めるように飛び、時々停空飛翔や地上への突っ込みを繰り返している。たまにその先から小鳥、距離があるので正確にはわからないがタヒバリやカワラヒワと思われる、が飛び出して全速力で捕食者から逃げてゆく。生と死のせめぎ合いにしばし見入っていると、興奮のため見逃していたと思われるあることに気が付いた。


停空飛翔しながら地表を窺うハイイロチュウヒのオス
2010年10月 北海道十勝川下流域
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 双眼鏡の視野内を、コチョウゲンボウがやたらと横切るのだ。最初は偶然かと思っていたが、ハイイロチュウヒが低空飛翔や地上への突撃など獲物を仕留めそうになった時に特に、右から左から1羽のコチョウゲンボウ(メスまたは幼鳥)が弾丸のごとく飛来して、疾風よろしくハイイロチュウヒの傍を吹きぬけてゆく。何度か観察するうちに、これはハイイロチュウヒから逃れて飛びだした小鳥を狙っているのではないかと考えるようになった。なるほど、これならハイイロチュウヒに付き纏うかのように視野に入って来るのも納得がゆく。


ハイイロチュウヒ(オス)とコチョウゲンボウ(メスまたは幼鳥)(その1)
2010年10月 北海道十勝川下流域
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 その後、コチョウゲンボウが付き従っていた1羽目のハイイロチュウヒが獲物を捕えて、地上での捕食に入ったと思われる(草丈が高く、詳細は観察できず)と、今度はまだ飛びながら狩りをしていた2羽目の方に移行し、やはり右から左から、ハイイロチュウヒの近くを掠めるようになった。結局、こちらのハイイロチュウヒは獲物を仕留めることなく視界の外に飛び去ってしまい、コチョウゲンボウもそれに追随したので、コチョウゲンボウの企てが成功したかはわからない。


ハイイロチュウヒ(オス)とコチョウゲンボウ(メスまたは幼鳥)(その2)
2010年10月 北海道十勝川下流域
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 それでもこのような行動を示すということは、過去にそれによって狩りに成功した経験があるということなのだろうか。確かに両種とも中継地や越冬地では農耕地や原野、草原など開けた環境を好み、獲物は小鳥類が多い(ハイイロチュウヒでは小型哺乳類も重要な餌であるが)点は共通している。ただ、狩りの方法はまったく異なっていて、ハイイロチュウヒが上述のように地表近くを飛びながら、餌に突っ込んで捕えるのに対して、コチョウゲンボウは小さくて小回りの効く体を活かして、主として空中での追撃や不意打ちを得意とする。そこで、ハイイロチュウヒの捕りこぼした獲物を空中において失敬するといったような方法が発達したのかもしれない。それを表題では「他力本願」と呼んだが、たとえ他者が捕りこぼした獲物でも、その後自身が追跡・捕獲しなければならないのだから、強ちそうとばかりも言えないと思い、「?」を付しておいた。


ハイイロチュウヒ・オス
2010年10月 北海道十勝川下流域
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コチョウゲンボウ

オス
2009年2月 北海道中川郡豊頃町
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メス
2008年4月 北海道十勝郡浦幌町
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追記:この秋の十勝川下流域では、ハイイロチュウヒ・オスの通過数が多かったようで、例年の傾向に反してメスタイプよりも頻繁に見られた。11月に行われた日本野鳥の会十勝の探鳥会や第6回十勝川エコツアーにおいても、美しいオスを全員で観察することができ、至福の思い出となった。


(2010年12月3日   千嶋 淳)



十勝ヶ丘・主に秋(後編)

2009-10-19 17:00:03 | 猛禽類
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All Photos by Chishima,J.
クマゲラ・メス 以下すべて 2009年9~10月 北海道河東郡音更町)


(日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより」168号(2009年10月発行)より転載 一部を加筆・修正)


 一大パノラマを堪能したら、折りたたみ椅子を広げ、コーヒーでも飲みながら優雅にタカの飛来を待とう。タカはどの方向からもやって来るが、展望台の北西にあるUHBの赤と白のテレビ塔辺りで上昇気流を掴んで旋回・上昇し、南~南西方向に流れて行くことが多い。上昇気流の発生している場所ではたいてい数羽のトビが旋回しているので、それを目印にすると良い。時間帯については不明な点も多いが、8~10時くらいの午前中の早い時間に動きが活発なようだ。また、この時間帯だと上昇気流が不十分なのか低空を飛ぶ個体が多く、近距離で観察できる。テレビ塔の方ばかり気にしていると、いつの間にか南側斜面から上昇してきたタカが目線の高さを飛んでいることもあるので、注意したい。種類と季節性は調査中だが、ノスリとハイタカが多く、ハチクマは9月下旬、チゴハヤブサは10月上旬まで観察され、ノスリやハイタカ属の渡りはそれ以降も続くようである。


ハイタカ・幼鳥
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 周囲の林にはカラ類やエナガ、ヒヨドリ、カケスなどの姿も多い。一年中見られる留鳥たちだが、普段は専ら針葉樹を好むヒガラが数羽、カシワの枝先に集まってから南に飛び出して行くのを見たりすると、「留鳥」といえど渡っているのだなと実感させられる。セキレイ類やツバメ類、ヒバリなど、明らかに渡り途中の鳥が上空を通過して行くこともある。何が出るかわからないのが渡り観察の魅力。クマゲラが目線の高さを飛び過ぎた数時間後に、タンチョウのつがいが眼下を飛翔した朝もあった。鳥ではないが、冬のための貯食に忙しないエゾリスの姿も目立つ。


エナガ(亜種シマエナガ)
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カケス(亜種ミヤマカケス)の飛翔
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 繁殖期(5~6月)についても簡単に触れておく。展望台から奥に進むと未舗装の林道となり、筒井ホテルの方に抜ける道と長流枝方面へ続く道があるが、そのいずれもセンダイムシクイやキビタキ、ヤブサメ、コルリなど森林性の小鳥が多く、観察に適している。十勝では少ないイカルが、ここでは比較的多く生息している。「キキココキー」の朗らかな囀りや、アカゲラを弱くしたような「キョッ」という地鳴きが聞こえたら、梢を注意深く探してみよう。所々にある伐採地やカラマツ幼齢林などの明るい環境では、ホオジロやビンズイが見られるだろう。数は非常に少ないがエゾライチョウも生息しており、運が良ければ、ばったり出会うこともある。一帯はチョウ類をはじめ昆虫の豊富な場所でもあるので、鳥の活動が一段落した日中には、それらの姿を追い求めるのもまた楽しい。
 繁殖期の鳥で特筆すべきは、展望台からのヤマシギ観察である。日没前後、「キチッ、ブーブー」と素っ頓狂な声で鳴きながら飛ぶヤマシギは、十勝のあちこちで見ることができるが、この場所で面白いのは、ヤマシギが眼下の山麓から斜面沿いに飛んできて目線の高さを越え、山側へ飛んで行くことである。その迫力は、5月の広尾ツアー(2回目)に参加された方は体験いただけたと思う。夜明け前後には林道に降りて採餌している姿を見ることもある。
 周辺には十勝川白鳥護岸、エコロジーパーク、千代田新水路など良好な探鳥地も多い。季節や目的に応じて、それらと組み合わせての探鳥も良いだろう。十勝川温泉で日帰り入浴や足湯(無料)に浸かるのも一興だ。
 繰り返しになるが、当地でのタカの渡りは小規模なもので、時間をかけても出会えない日があるかもしれない。しかし、十勝平野の眺望を楽しみながらコーヒーやお茶を飲み、静かに渡り行くタカとの一期一会をゆったりと待つ「スローな鳥見」の時間を持てることは、ある意味最高の贅沢ではないだろうか。そして、このような贅沢を享受できる場所は、十勝管内にまだ何か所もあるはずである。


メジロ
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<アクセス>
帯広から自家用車で20分、または帯広駅バスターミナルから十勝川温泉線のバスで約30分。バスの場合は十勝川温泉から更に徒歩約20分。

<おすすめの時期と鳥>
9~10月(タカの渡り) 5~6月(森林性の小鳥、夜のヤマシギ) 6~8月(チョウほか昆虫類)

<注意事項>
①トイレは山麓の十勝ヶ丘公園、または温泉街の公衆トイレやコンビニで利用可能。
②食糧は温泉街にコンビニや飲食店があるほか、木野や札内、帯広市街も近い。
③宿泊施設は温泉街周辺に多数あり。
④展望台は好天の日や週末には観光客が多い。見晴らしの良い場所を占拠しないように。
⑤林道には走り屋の車が多い。走行時、駐停車時には十分な注意を(特に後者)。


(完)


(2009年10月2日   千嶋 淳)


10月19日の追記:上記原稿執筆後は、あまり頻繁に観察に行けていないこともあって、タカは種、個体数とも少ない状況が続いている。展望台増設の工事が始まったことも影響しているかもしれない。それでも、早朝を中心にアトリやカワラヒワ、オオハクチョウなどが群れをなして渡るのが観察され、当地がやはり鳥の渡りのルート上にあることを示唆している。


オオハクチョウ
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十勝ヶ丘・主に秋(前編)

2009-10-18 12:07:45 | 猛禽類
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All Photos by Chishima,J.
十勝ヶ丘展望台から十勝平野、日高山脈を望む 以下すべて 2009年9~10月 北海道河東郡音更町)


(日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより」168号(2009年10月発行)より転載 一部を加筆・修正)


 秋は渡りの季節だ。繁殖を終えた夏鳥たちは、その余韻の中に身を置くのさえ惜しむかの如く南へ急ぎ、一方、北からは極北の短い夏の終わりを告げるべく旅鳥や冬鳥が押し寄せる。目前に迫った長い冬を意識させられる、物悲しい季節であるが、鳥見人にとっては、そんな感傷に浸っている暇は無い、絶好のシーズンでもある。秋の鳥見の醍醐味の一つに、猛禽類の渡り観察がある。中でもサシバやハチクマといった集団で移動するタカの渡りは壮観で、伊良湖岬(愛知県)や白樺峠(長野県)などの有名スポットはこの時期、全国各地からのバードウオッチャーでお祭りのような状態になる。大群を作るサシバは、北海道にはほとんど分布していないので、その渡りを見ることはできないが、ハチクマやノスリの渡りは室蘭の測量山や松前の白神岬で見ることができる。危険の多い海上を、なるべく短時間で渡るためにそうした場所へ集まるわけである。

ノスリ
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 十勝には、本州への最短ルートとなるような岬や、山越えしやすい峠が無いため、これまでタカの渡りの観察例は少なく、あまり注目もされてこなかった。しかし近年、いくつかの場所で規模は小さいながら、タカ類の秋の渡りが観察できることが明らかになりつつある。今回はそうした場所の一つ、音更町の十勝ヶ丘を紹介しよう。この場所での渡りを本格的に調べ始めたのは今年からで、本稿執筆中の10月上旬はまだシーズンの只中である。本来はシーズン通しての観察後に紹介すべきだが、今号に掲載できれば渡りシーズン後半の観察に間に合うこともあり、2005年に行った予備的な観察結果も取り入れながら紹介する。そのため、解釈の誤りや思い込みも多々あると思われるので、そのつもりでお読みいただきたい。
 十勝ヶ丘は長流枝内(オサルシナイ)丘陵のほぼ南西端に位置し、標高150~200m程度の緩やかな丘陵は、ここから十勝川に向かって一気に落ち込み、対岸の幕別台地まで平野が広がっている。このような地形のため上昇気流が発生しやすく、タカ類はここで高度を稼いで南下するものと考えられる。はじめに断っておくと、当地でのタカの渡りは非常に小規模なもので、半日観察しても数羽程度、二桁に突入したら万々歳である。したがって、鷹柱を期待されてもそれは無理というもの。ただし、個体数の割に種数が多いのもここの特徴であり、渡りでないものも含めると今期はミサゴ、ハチクマ、トビ、オジロワシ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、ノスリ、クマタカ、ハイイロチュウヒ、ハヤブサ、チゴハヤブサの12種のタカ目鳥類を確認している(10月8日現在)。対岸の千代田新水路・中島から観察を行った2005年にも、クマタカを含む9種が出現した。ハチクマやツミのような、繁殖期には十勝であまり見られずその現状が不明な種も通過していること、千代田堰堤など周辺も含め毎年のようにクマタカが観察されていることなど興味深い点も多く、今後の観察記録の蓄積が期待される。


ハチクマ・幼鳥
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クマタカ・幼鳥
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 十勝ヶ丘へは帯広から十勝川温泉を経由して、車で20分程度。まずは十勝ヶ丘展望台を目指そう。この場所は南~西にかけては視界が開けているものの、北・東側は樹林に阻まれ、猛禽類の観察ポイントとしては決して理想的ではないのだが、現在はとりあえずここから見ている。風向きや天候によっては更に東にあるNHK、STVのテレビ塔辺りから観察するのも良い。また、とにかく広い視野を確保したい、あるいは敢えて遠距離での猛禽類の識別に挑戦したいという方は、エコロジーパークの入口付近や千代田新水路の中島からスコープを使って観察する手もある。


ハヤブサ・成鳥
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 展望台に着いたら、まずは雄大な十勝平野の風景を満喫しよう。向かって右側には札内から帯広の市街が広がり、その背後には日高の山並みが連なる。帯広市街の北、十勝大橋辺りから十勝川の川面に視線を落とすと、流れが音更側に大きく湾曲し、札内川との合流点付近で再び元の位置に戻るのがわかるはずだ。この湾曲部と札内川合流点の間の鬱蒼とした河畔林が相生中島地区である。相生中島では今年から新水路建設のための掘削が始まり、今後は展望台から見える景観も変わって来るかもしれない。下流側に目を移すと、すぐ下の十勝中央大橋を経てその手前には十勝川温泉街、そこから更に下ると千代田新水路の水面や管理橋・棟を見ることができる。対岸には千住や相川の農耕地が緑や黄に輝き、背後には幕別台地が盛り上がっている。2006年までアオサギのコロニーがあった金刀比羅山も見ることができるだろう。幕別市街を過ぎると十勝川は河口へ向けて南へ大きく流れを変え、この辺りになると距離もあって場所の特定は難しくなってくる。


展望台での観察
折りたたみ椅子に腰かけて、気長にタカを待とう。
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(続く)


(2009年10月2日   千嶋 淳)


視線の先

2009-01-08 02:16:28 | 猛禽類
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All Photos by Chishima,J.
ケアシノスリ 2009年1月 北海道十勝海岸)


 海岸線を走る道路の電線上で、1羽のノスリがじっと下を見つめている。彼(?)は、近くに停車した私を、訝しげに一瞥するとすぐまた自分の世界に戻った。不動のように見えても、顔部だけは時折向きを変えながら、周囲の地上‐道路の周囲は雪が解けて丈の低い草原となっている‐をくまなく監視している。この猛禽の円らな瞳に閃光が宿り、地面に向かって矢の如く降下する瞬間を期待して暫く待ったが、捕食される側もそう易々とは姿を現さないようで、私が飽きて冬にしては穏やかな波が打ち寄せるこの海岸を去るまで、ノスリは電線に止まったままだった。
ノスリ
2009年1月 北海道十勝海岸
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                  *

 日頃から少ない交通量が、正月休みで更に乏しい林間の道。私の他には1匹のキタキツネが唯一の通行者だった。みすぼらしい夏毛と違って、ふさふさな黄金色の冬毛を纏ったキツネは、ハンターの貫録を帯びている。路側帯で、路肩の積雪に前脚を掛け、耳をピンと立ててじっと注意を払っている。目はほぼつぶっているから、聴覚が重要なのであろう。耳を澄まして雪中の獲物の気配を探索している。目的の音を聞きつけたら、そこ目がけて勢いよく跳躍するつもりだろう。


キタキツネ
2009年1月 北海道十勝海岸
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                  *

 原野を微風が通り抜ける度、灌木の細い枝先はそよそよと揺れた。その都度ケアシノスリは、和名が、また「ウサギの脚」という意味の(学名の)種小名が示す通り白い羽毛に覆われた跗蹠の、先にある黄色い趾で枝を握りしめ、体勢を立て直している。少し後飛び立って、灌木の列の向こうに消えた。高さは地面すれすれ。突っ込んだかもしれない。こちらも位置を変えて姿を探す。程無くして近くの地上に発見したが狩りは失敗だったとみえて、脚には何も掴まれていない。舞い上がって今度は道路脇の標識に止まり、地表を注視し始めた。


灌木上のケアシノスリ
2009年1月 北海道十勝海岸
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                  *

 以上は、いずれも年が明けたばかりの1月2日日中に十勝海岸で出くわした光景である。2種の猛禽とキツネは皆共通の獲物、野ネズミ類を狙っていたものと思われる。野ネズミ類は雪が降ると雪の下を活発に動き回る。しかし、雪の無い、あるいは少ない道路付近では地表近くまで出ざるを得ない。捕食者たちはその瞬間を、視線の先に待ち構えるのである。
 狙っているのはノスリ類やキツネだけではない。海岸近くではハイイロチュウヒやコミミズクが低空を舐めるように飛び回って捜索しているし、もう少し高い空からチョウゲンボウがホバリングしながら目を光らせているかもしれない。山林やその近くでは、フクロウが音も無く襲いかかって来る危険もあろう。
 野ネズミの冬は、寒さや食物の不足に加えて、多くの天敵に晒される、危険に満ちた季節である。


ハイイロチュウヒ(メスまたは幼鳥)
2008年11月 北海道十勝郡浦幌町
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野ネズミ類を捕らえたコミミズク
2008年1月 北海道十勝郡浦幌町
勢いよく地面に飛び込んだコミミズクが、草と一緒にネズミを持って戻って来た。
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野ネズミ類を捕らえたチョウゲンボウ
2008年2月 北海道中川郡豊頃町
電柱から覆いかぶさるように襲いかかり、捕らえた。ネズミはものの数分で体内に取り込まれた。
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野ネズミ類
2006年8月 北海道中川郡豊頃町
路上で死んでいた。アカネズミ類だと思うが尾が短い。切れた?
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(2009年1月7日   千嶋 淳)