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古い曲が気になる

「アメリカン・パイ」と Killing Me Softlyの関係

2009-03-03 | 日記・エッセイ・コラム
Killing Me Softly Killing Me Softly
First Take First Take

 ひどく寒いと思っていると、雪になっていた。3月3日に、雪だ。

 きのう、ロバータ・フラックの名曲「愛は面影の中に First Time Ever I Saw Your Face」が、クリント・イーストウッド監督の映画「恐怖のメロディ」の挿入歌だった、と書いた。この曲は、ロバータ・フラックのファースト・アルバム「First Take」(1969年)に入っていた。クリント・イーストウッドが映画につかってはじめてヒットしたのだ。クリント・イーストウッド監督は、2年まえに発売になっていた無名ミュージシャンのLPから、この曲をみつけだし、ロバータ・フラックの存在を全米、全世界に知らしめたわけだ。

 

 この曲のオリジナルは、1957年にイギリスのフォーク・シンガー、イワン・マッコールが、ペギー・シーガーのために書いたフォークソングだ。アメリカのフォーク・シンガー、ペギー・シーガーは、ピート・シーガーの腹違いの妹。ピート・シーガーは、日本でもよく歌われた「花はどこへ行ったWhere have all the flowers gone?」の作者だ。(ペギー・シーガーは、中島みゆきによく似ている。というか、逆だ。中島みゆきは、ペギー・シーガーに似ている)。

 

 その12年まえのフォークソングをみつけてきて、ファースト・アルバムでカバーしたロバータ・フラックの選曲のセンスと、その洗練されたアレンジは、みごとだ。ロバータ・フラックには、「やさしく歌ってKilling Me Softly with His Song」の大ヒットがある。この曲もまた名曲だ。たくさんのカバーがあるが、最近では、ヒップホップのフージーズ The Fugees のカバーで知ったひとも多いだろう。ロバータ・フラックは、1973年のグラミー賞をこの曲で受賞した。

 

 しかし、Killing Me Softly with His Song のオリジナルは、ヒップホップのフージーズとはかけ離れた白人の女性フォーク・シンガーの曲だ。1972年、最初にレコーディングしたのは、ロリ・リーベルマンだ。彼女が、ドン・マクリーンのコンサートに感動して書いた詩から、チャールズ・フォックスとノーマン・ギンベルが作った曲だ。つまり、Killing Me Softly with His Song の "with His Song" は、ドン・マクリーンの歌のことなのだ。そのHis Song とは、きっと「アメリカン・パイ American Pie」を指しているにちがいない。

 

 ロバータ・フラックは、ロリ・リーベルマンのKilling Me Softly with His Song を気に入り、クインシー・ジョーンズのプロデュースでレコーディングをした。このときも、ロバータ・フラックの曲をみつける感性は、じつにすぐれている。アレンジがまたすばらしい。そのあとのさまざまなミュージシャンのカバーは、ロバート・フラッグのアレンジを元にしている。

 

 ドン・マクリーンは、1972年に「アメリカン・パイ」のビッグヒットがあるシンガーソングライターで、この曲は、日本でもよく売れた。歌詞の内容は、1959年のバディー・ホリーの飛行機事故から、ビートルズのこと、ストーンズのこと、音楽のこと、青春のはちゃめちゃな日々ことなど、いろいろで、支離滅裂、日本人にはとても難解な歌詞だ。だが、アメリカ人の客たちは、大合唱になる。8分以上の長い曲だ。日本では、この「アメリカン・パイ」一曲しかヒットしなかったが、ドン・マクリーンのオフィシャル・ページをみると、途切れることなくアルバムを発表して、いまも活躍している。

 

American Pie American Pie

 

 1997年に、ヒップホップ・グループ、フージーズがグラミー賞ベストR&Bグループ賞をとったシングル「キリング・ミー・ソフトリー・ウイズ・ヒズ・ソング Killing Me Softly with His Song 」は、そのまえ、1973年に、ロバータ・フラックによって歌われ、グラミー賞をとっていた。そしてまた、そのオリジナルは、ドン・マクリーンのコンサートに触発された白人女性シンガーのインスピレーションから作曲された、というわけだ。つまり、"アメリカン・パイ" ドン・マクリーンに捧げた曲なのだ。

 

 ロバータ・フラックは、1937年生まれ。ハワード大学でクラシックのピアノと声楽を勉強して、教師やナイトクラブのピアニストをやってからデビューした。メジャー・デビューが1969年、32才だ。大学入学が、なんと15才、卒業19才という音楽の才能にめぐまれた人だが、大学院生のとき、突然父親が亡くなってしまい、音楽教師の仕事につく。それからデビューまで、下積みのミュージシャンとしてずいぶん苦労したようだ。しかし、ロバータ・フラックの歌う「愛は面影の中に First Time Ever I Saw Your Face」と、「やさしく歌って Killing Me Softly with His Song」は、まさに名唱だ。

 

  ロバータ・フラック Killing Me Softly with His Song http://www.youtube.com/watch?v=-B1wdau8uHU&feature=related

  ザ・フージーズ Killing Me Softly with His Song  http://www.youtube.com/watch?v=ighu4gGlaUE&feature=related

 ロリ・リーベルマンKilling Me Softly with His Song  http://www.youtube.com/watch?v=n2eHqctEPJE&NR=1

 ドン・マクリーン American Pie http://www.youtube.com/watch?v=iMlzfpwJZuc&feature=related

  ドン・マクリーンcom. http://www.don-mclean.com/

  ソニー・ミュージックのザ・フージーズのページ http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/Fugees/

  ロバータ・フラックcom.  http://www.robertaflack.com/

 ロバータ・フラック The First Time Ever I Saw Your Face http://www.youtube.com/watch?v=nI7gzXz1cHo

 ペギー・シーガー The First Time I Saw Your Face  http://www.youtube.com/watch?v=brC3EJh9nSY

Cimg2870 散歩道の近所のレストラン

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Cimg2869 その隣のバー


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