映画『ゴースト』 http://www.youtube.com/watch?v=P_uBQ9jvAZU
1990年の映画『ゴースト』でリバイバルヒットした「アンチェインド・メロディ」は、1965年にヒットしたライチャース・ブラザーズのバージョンだった。オリジナルは、そのヒットの10年まえ、1955年の映画「アンチェインド」のテーマソングだ。歌ったのは、トッド・ダンカン。
トッド・ダンカン Unchaind Melody http://www.youtube.com/watch?v=zU7vQh7BFPQ
この曲は、世界中で500以上のバージョンがレコーディングされているという。ライチャース・ブラザーズのレコードは、そのなかで最も売れたレコードだろうか。プロデューサーは、フィル・スペクターだ。
この名曲の作曲は、アレックス・ノース。作詞は、ハイ・ザレット。
「アンチェインド・メロディ」を作曲した、アレックス・ノース(1910年~1991年)。
アレックス・ノースは、音楽家として、じつにアカデミックな学歴をもち、交響曲、バレエ曲、舞台劇の音楽、映画・テレビの音楽など、みごとな作品を残した作曲家なのだ。
ペンシルバニア州チェスターで生まれたアレックス・ノースは、鍛冶屋だった父親を早く亡くし、母に育てられた。音楽好きの両親は、ロシア系のユダヤ人だ。幼いときから音楽に才能をみせ、奨学金をもらい、フィラデルフィアのカーティス音楽院でジョージ・ボイルにピアノを学んだ。卒業後は、ニューヨークのジュリアード音楽院に入学して、バナード・ワーグナーに作曲を学んだ。このジュリアードの学生時代、夜は、電信技師をやって生活費を稼いだ。
1932年には奨学金を得て、ソ連のモスクワ音楽院に留学した。ロシアの作曲家、とくにプロコフィエフの音楽にあこがれていたという。(ソ連では電信技師が必要だったから、留学が許可されたのだろう、とアレックス・ノースのサイトにある。笑える)。
モスクワ音楽院では、ウクライナ出身の作曲家、アレクサンドル・ヴェプリックの教えをうけた。ソ連滞在中、デューク・エリントンの「ムード・インディゴ」のレコードを聴いて、猛烈なホームシックにおそわれたという。祖国の音楽=ジャズを聴きたい、と。
1935年に帰国して、アーロン・コープランドとエルスト・トッホに師事してさらに作曲を勉強している。メキシコにでかけ、作曲家シルベストレ・レブエルタスにも師事している。
そして、ハリウッド映画のためにスコアを書き、ベニー・グットマンのために作曲し、アーサー・ミラーの舞台劇やマーサ・グラハムのバレエ団、エリア・カザン監督の映画や、テレビドラマやアメリカ陸軍のドキュメンタリー映画の曲を書いた。そして、交響曲も書いている。
50本以上の映画音楽を作曲して、なんと15回アカデミー賞にノミネートされた。1986年には、アカデミー名誉賞を受賞している。「アンチェインド・メロディ」は、こういうプロフェッショナルな音楽家、アレックス・ノースが作曲した曲なのだ。
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「アンチェインド・メロディ」の作詞家、ハイ・ザレット(1907年~2007年)。
プラターズ Unchained Melody http://www.youtube.com/watch?v=UskkwKmccGU&feature=related
アレックス・ノース オフィシャルサイトhttp://alexnorthmusic.com/biography.asp