Ommo's

古い曲が気になる

完成

2015-07-21 | 日記・エッセイ・コラム

 

 ひと月くらい前のこと、近所の商業施設の中の釣具屋で釣竿を買った。

 バーゲンセールのワゴンの中に、その竿を見つけた。ひどく安い。「伸ばしてみてもいいですか?」と、店員の青年に尋ねて、店の通路で竿を伸ばした。4メートル50センチ、ほしかった長さだ。

 散歩途中の帯広川で使うために、近所のホームセンターで3.6mの安い竿を買って使っていた。長さのこともあるが、わたしは、竹の竿のような自然に柔らかい、つまり軟調の釣り竿が好きだ。だが、いま、竹の釣り竿はあまりに高い。あまりに高い竹竿は買えない。だか、長い竿で、道糸も長くして釣ると子供のころの、川釣りの感んじがあじわえる。

 そんなわけで、3.6mより長い釣竿がほしかった。

 店のなかで伸ばして振った、そのバーゲンの、4.5mの釣竿は、なかなか心地いいのだ。

「どうして? こんなに安いの?」と、店のおにいさんに訊いた。高級そうな釣竿だ。

「中古なんですよ。そこのワゴンの中は、みんな中古なんです」と、おにいさんが言う。「一度、お客さんが買ってもどってきた、という意味の中古じゃないですよ。長い間どこかの釣具店の店頭にあって、結局、売れなった物なんです。お客さん手にしてるそれも、使った釣竿ではないんですよ。でも、すこしスレがあるでしょう。新品では、売れないんです」

 そんなわけで、その4.5m渓流竿を衝動買した。『帯広のラーメン、2杯分くらいの散財じゃないか』と、ウダウダ思いながら……………。

 

 その釣竿の威力は、少し前に、”2分で、ウグイのぴん子3匹、一投目でニジマス”と報告したはずだ。わたしは、水面を流れるテングスの動きと、釣竿の穂先を見ている。わたしは、子供のころから、カラ合わせをする。つまり、アタリを感じたときは、おそい。という、釣りだ。流れのなかの糸が、止まる、あるいはテングスが流れと少し違う方向に行く? このとき、すかさず合わせる。カラ合わせだ。魚が、俺の釣り針のミミズに食いついた、という想像で、竿先を鋭く上げる。

 

 しかし、「これ、やっぱ、中古だかな」と思うのは、釣竿の先端に付けるキャップだ。あまり緩い。長い年月の使用で消耗したのではなく、店頭に十年二十年、あるいは三十年あったのか、ゴムの劣化・硬化で細くなってきてるのか、キャップの機能をまっとうできない。つまり”ユルイやつ” だ。

 リュックに入れて、川にこの釣竿を持っていくたび、このユルい栓が不快だ。どうしようか? と、考えていた。とりあえず、ワインのコルクかな、とか…………

 

 それで、今夜は、外も雨なので、ワインの栓から、釣竿のキャップを作ってみようかな、と思った。

 

 わたしの場合、鉄の刃物が好きなので、道具を研ぐことからはじまるのだが、人は退屈だろうから説明はしない。

 

 酒を飲みながら、楽しい時であった。完成だ。いい出来ではないかな。


1 コメント

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Unknown (路地裏の壮年)
2015-07-22 12:54:35
キャップに水道の蛇口取り付けに使う、シールテープを巻いて太らせる手も有りかと思います。
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