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古い曲が気になる

セプテンバーから、なぜか、ヴァレンタイン

2012-09-01 | 日記・エッセイ・コラム

 

 9月……9月といえば、やはりセプテンバー・ソングかな。最近のわたしの、かなりセンチメンタルな気分では、チェット・ベイカーのリリカルでクールなトランペットのセプテンバー・ソングだろうか。

   チェット・ベイカー September song http://www.youtube.com/watch?v=Z0ymGIwdD4A

チェット

  ハンサムで、リリカルなトランペットを吹き、抑制の効いた、知的でクールな歌声で歌うチェット・ベイカーは、まるでアイドル歌手のように若い女性たちに人気があった。インテリと映画スターと上流階級のサロンだったジャズ・クラブも、チェット・ベイカーが出演する夜は、若い女の子の歓声であふれたのだ。

 

 だが、ジャズ界の寵児だったチェット・ベイカーは、麻薬にのめりこみ、破滅的な生き方を選ぶ。逮捕・監獄、逮捕・監獄、リハビリ施設、そしてまた逮捕。そうしてスーパースターはジャズシーンから消えた。ガソリンスタンドで働いていた、という説まである。

 しかし、1973年、復活をはたし、旺盛にライブ活動をつづけ、亡くなるまで意欲的にレコーディングをつづけた。ある意味、ジャズ・ミュージシャンとして、みごとな生涯だった。日本にもファンは多いが、とくに晩年までヨーロッパで人気が高く、亡くなったのもオランダ・アムステルダムだった。ホテルの部屋から転落死したのだ。1988年のこと。チェット・ベイカー、58歳だった。

 

 チェット・ベイカーの歌唱表現は独特だ。ブラジルでボサノバを創造した、ジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンなど若いミュージシャンたちは、このチェット・ベイカーの歌い方に強く影響された。

 

 その、ボサノバ誕生に影響をあたえた、とわたしが考える、チェット・ベイカーの歌で、これぞチェット・ベイカー節と、わかりやすいのは、やはりマイ・ファニー・ヴァレンタインだろうか。なんど聴いても感動する。この曲と詞の本質を理解して、みごとに表現した名唱だ。

     チェット・ベイカー My Funny Valentine  http://www.youtube.com/watch?v=jvXywhJpOKs