ダウ平均急落666ドルは前車の轍?
昨金曜日(2018/2/2)の日経平均は、アメリカ市場の不安予測で221円の下げでしたが、半日遅れのNY市場ではダウ平均666ドルの急落で、リーマンショックに次ぐ下げとなりました。(因みに1987年のブラックマンデーは508ドルの下げ)
リーマンショックの時は777ドルの下げで、何か数字合わせになっていますが、そんな冗談を言っていてはいられません。日経平均CFD(24時間市場)では501円の下げになっています。
月曜日、どうなるか心配のかたも多いかと思いますが、ここでの問題は、その背後にあるアメリカの経済政策、経済状態です。
投機筋の思惑を走らせたのは、アメリカの長期金利上昇の気配のようです。この所の労働需給のひっ迫、その結果賃金上昇率の高まりから、インフレ率の高まりも懸念され、過熱警戒感からFRBの利上げのペースが加速するのではないかなど、アメリカの経済状態に対しては過熱を恐れるという観測も出てきている様です。
1月一杯で退任したイエレン議長は、物価が上がらない理由が解らないと言っていました。後任のパウエル議長は、イエレン路線を引き継ぐとの事ですが、FRB内部には、すでにイエレン路線である年3回の利上げを4回にすべきといった意見もあるようです。
アメリカは日本に比べれば、こうした景気観にも振れが大きい国でしょう。もともと日本的経営は長期的視点(と人間重視)に立つことを善しとし、日本は企業労使も長期的視点で物を見ていますから、急に過熱を恐れるようなことにはならないと思っていますが、問題は日本政府でしょう。
アベノミクスの成果を早く出そうという意識が強いようで、春闘介入も、2%インフレ目標も、早く、早くという事のようですが、本当にそれでいいのでしょうか。経済の原理はアメリカも日本も基本的には同じです。
労働需給がひっ迫すれば賃金は上がる、賃金が上がれば物価も上がる、物価が上がれば金利も上がるのです。
1970年代に2回の石油危機までは、日本の労働組合は、経済や経営の現実に無関心で、何よりも高い賃上げを目指していました。
特に第二次オイルショック以降の日本の政権は、経済・経営の実態をわきまえて行動する日本の労使の恩恵を大きく受けていることを知るべきでしょう。
経済のメカニズムから言えば、賃金を上げ、インフレ率を高め、しかし金利は低く据え置いて、インフレ頼みで財政再建を速めるといった政策は不可能でしょう。インフレ率が高まれば金利も上がり、政府の金利負担は増えます。
今回のアメリカの騒ぎも、マネー・マーケットへの影響は別として、日本の実体経済の健全な成長を実現するための「他山の石」として、「前車の轍を踏まず」と堅実な経済政策の王道を行くために生かしていくべきものではないでしょうか。
昨金曜日(2018/2/2)の日経平均は、アメリカ市場の不安予測で221円の下げでしたが、半日遅れのNY市場ではダウ平均666ドルの急落で、リーマンショックに次ぐ下げとなりました。(因みに1987年のブラックマンデーは508ドルの下げ)
リーマンショックの時は777ドルの下げで、何か数字合わせになっていますが、そんな冗談を言っていてはいられません。日経平均CFD(24時間市場)では501円の下げになっています。
月曜日、どうなるか心配のかたも多いかと思いますが、ここでの問題は、その背後にあるアメリカの経済政策、経済状態です。
投機筋の思惑を走らせたのは、アメリカの長期金利上昇の気配のようです。この所の労働需給のひっ迫、その結果賃金上昇率の高まりから、インフレ率の高まりも懸念され、過熱警戒感からFRBの利上げのペースが加速するのではないかなど、アメリカの経済状態に対しては過熱を恐れるという観測も出てきている様です。
1月一杯で退任したイエレン議長は、物価が上がらない理由が解らないと言っていました。後任のパウエル議長は、イエレン路線を引き継ぐとの事ですが、FRB内部には、すでにイエレン路線である年3回の利上げを4回にすべきといった意見もあるようです。
アメリカは日本に比べれば、こうした景気観にも振れが大きい国でしょう。もともと日本的経営は長期的視点(と人間重視)に立つことを善しとし、日本は企業労使も長期的視点で物を見ていますから、急に過熱を恐れるようなことにはならないと思っていますが、問題は日本政府でしょう。
アベノミクスの成果を早く出そうという意識が強いようで、春闘介入も、2%インフレ目標も、早く、早くという事のようですが、本当にそれでいいのでしょうか。経済の原理はアメリカも日本も基本的には同じです。
労働需給がひっ迫すれば賃金は上がる、賃金が上がれば物価も上がる、物価が上がれば金利も上がるのです。
1970年代に2回の石油危機までは、日本の労働組合は、経済や経営の現実に無関心で、何よりも高い賃上げを目指していました。
特に第二次オイルショック以降の日本の政権は、経済・経営の実態をわきまえて行動する日本の労使の恩恵を大きく受けていることを知るべきでしょう。
経済のメカニズムから言えば、賃金を上げ、インフレ率を高め、しかし金利は低く据え置いて、インフレ頼みで財政再建を速めるといった政策は不可能でしょう。インフレ率が高まれば金利も上がり、政府の金利負担は増えます。
今回のアメリカの騒ぎも、マネー・マーケットへの影響は別として、日本の実体経済の健全な成長を実現するための「他山の石」として、「前車の轍を踏まず」と堅実な経済政策の王道を行くために生かしていくべきものではないでしょうか。