tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

参院選に向けての経済論争:物価だけ上がっていく

2013年07月04日 10時37分19秒 | 経済
参院選に向けての経済論争:物価だけ上がっていく
 参院選に向けて、いろいろな論点が出され論争になっていますが、庶民感覚としても矢張り十分検討していかなければならない1つは、物価問題ではないでしょうか。

 アベノミクスで株は上がり、大企業の業績見通しは改善し、日本経済に対する国民の雰囲気も変わってきたのですが、それが庶民にまで均霑しないではないか、庶民は物価上昇で苦しむばかり、という意見があります。

 円安で輸入する原材料価格などが上がった場合、それを使用するメーカーは、ある程度我慢はしても、これまでのデフレ不況の中でぎりぎりの経営を迫られていたこともあり、値上げの動きが出て来ても当然でしょう。
 便乗値上げは別として、実は、こうした「<spanstyle="text-decoration: underline;">輸入インフレは」それを「ホームメイドインフレに転嫁しない限り、現実の影響は軽微です。これはよく理解しておくべきです。

 単純に計算するとこんなことになります。
 日本の輸入依存度が約10パーセント、円安が約20パーセント($1=¥80→¥100)ですから、円安が完全に価格転嫁された場合のインフレ率は2パーセントほどで、これは一過性です。つまり円安だけならその物価への影響はこれで終わりです。
 
 賃金は上がっていないのに、物価だけ上がっていくので庶民生活は苦しくなるばかり、といった言い方については、タメにする議論なら別として、円安のもたらす日本経済への大きなプラスの影響と秤にかけてみるべきでしょう。

 現実には、中小企業の中にも仕事が増えてきたとか海外からの旅行客が増えたといった形で、次第に円安メリットが現実になってきてもいますし、マクロ指標としては求人倍率、4半期経済成長率などに端的に現れています。
 これらは円安で日本経済が成長経済に転換する兆候で、国内生産の活性化による経済成長の実現が国民全体への均霑の出発点になります。

 経済のグローバル化の中で、円安メリットを生かすため、海外生産と国内生産のバランスを、どう判断しようかと迷いつつ考えているところもまだ多いと思います。
 ここでの判断材料の主要なもの2つあり、1つはまず再び円高に戻らない政策でしょう。そしてもう1つは新興国のインフレの進行状況です。 

 先ず、政府は、アメリカやヨーロッパ、中国などで何かあったら、また突如円高といった不測の事態への対策をどうとるかを明確にすべきでしょう。

 もう一つ、国内で仕事をするか、海外に脱出するかの基本的判断は、それぞれの生産性とコスト(ほとんどは賃金)のバランスです。<spanstyle="text-decoration: underline;">国内の優位性についての論議が必要です。

 日本が本当に重視しなければならないのは実体経済で、実体経済の変化にはある程度時間がかかります。必要なのは、その間、企業の合理的な選択を邪魔しない、出来れば促進する政策です。そうした、具体的で、かつ、よりレベルの高い判断材料を、国民や産業界に提供する論争がなされることを望みたいと思います。


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