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参院選に向けての経済論争:消費税増税は是か非か

2013年07月07日 14時00分06秒 | 経済
参院選に向けての経済論争:消費税増税は是か非か
 消費税増税の問題を論じる場合、何のために消費税増税をするかについてのコンセンサスは絶対に必要と思います。
 私の接する多くの人は、「日本政府の借金は大き過ぎる。GDPの2倍を超える政府の借金は、どう考えても不健全だ。このままでいけばいずれ国家財政は破綻するから、今のうちに消費税を引き上げ、財政赤字を減らす努力は必須だ。」という考えの持主です。

 かつて土光さんが、第二次臨時行政調査会を率い、ご自身はメザシを食べながら「子孫に借金を残すな」と言われた思い出は、ある程度以上の年代の方がたの心には強烈なインパクトを持っています。

 私自身もあの時期には「それでなければ日本らしくない」と考えていました。しかし、今の世界経済はあのころと些か様子を変えているように思うのです。
 土光臨調の答申が1883年だったでしょうか。その後日本は「プラザ合意(1985年)」を経験しました。そしてそれは日本経済を「失われた20年」に落とし込んだのです。

 何が違うのでしょか。当時は「為替レートは勝手には変動しない」と考えられていました。ところが今は違います。日本経済が健全になれば、円レートは際限なく上昇するという、国際投機資本跳梁の時代です。経済の環境条件は完全に変わったのです。

 繰り返し述べていますように、アベノミクスは今の所、国際投機資本の動きを封じたように見えます。しかし、前回も触れましたように、アメリカ、EU,中国などで何かが起こった時、また大幅円高の悪夢が来ないかという心配は消えません。
 何かあったら円を買っておけば安心という「「円は安全通貨」」と見られれば見みられるだけ円高の可能性は高まります。
 
 こうした環境条件の中で、消費税増税で、日本政府の財政基盤が安定性を増したということになった場合、国際投機資本はいかなる行動を取るでしょうか。
 他方、国内経済で見れば、消費税増税は消費活動の頭を押さえ、消費不振の不況効果をもたらす可能性は残ります。

 今日必要なのは内需拡大で、黒字をため込み続けるような日本経済からの脱出でしょう。誰がその役割を果すかです。端的に言えば、誰が金を使うかです。政府か消費者か企業か、どう分担するのか?

 消費税増税問題の核心は、「円高を招かない経済運営」という目標との関係を確り考えない限り不完全なものです。与野党の経済論争はその辺りまで届いてほしいものです。


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