tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

岸田新総理の忘れ物?

2021年10月09日 23時14分39秒 | 経済
岸田新総理の所信表明演説は迫力がありました。 
台本は勿論あったのでしょうが、ほとんど自分の言葉にして話していました。

この所の歴代総理のようにリーダーではありますが、英語にすれば Reader ではないかと思われるようなことはなく、確り Leader だと思わせるものだったという感じでした。

中身については、先日、10月5日に書きました「4つの課題」でも触れましたが、新自由主義の否定は大変結構なことですし(他にも否定てほしい事はいろいろありますが)、それに代えて『新しい資本主義』という事で、分配の問題への指摘は、些かわかりにくい所もありますが、成長だけを言わずに分配の重要性を指摘してのは大変結構だと感じました。

その分配の中身については今後の野党との論戦の中で次第に明らかになってくると思いますが、まともに議論していくと野党の主張と「格差社会化の否定」の中で、違いが明確にできるのかという問題が出てくるような気がして、興味津々です。

表題で「忘れ物?」と書いたのは、今後の政策の中ではっきりしてくると思いますが、アベノミクスの中で、全く理解されていなかった家計における「収入と支出の関係」につての指摘です。

具体的には、このブログで毎月追いかけている「平均消費性向」の問題です。
アベノミクスが機能しなかった大きな理由は「収入が増えても消費は減るという現象が続いていることが大きな要因と考えられます。

その状態が継続していれば,賃金への分配を増やしても、家計は貯蓄を増やすのに一生懸命で、消費は増えず、今迄と同じことの繰り返しです。これはグラフで示しましょう。コロナ以前ですが、一貫して低下です。

       平均消費性向の低下(2019→2020)

                   資料:総務省「家計調査」

最近の例では、前回のブログで指摘した、昨年5~7月、可処分所得が一律10万円の給付で増えた時の消費動向です。
公明党が、皆困っているのだから現金をばら撒けと言っ自民党が乗ったのですが、その結果可処分所得は増えましたが、結果をグラフで見れば、消費は増えず、ほとんどは貯蓄になっていることが解ります。可処分所得と消費支出の差は貯蓄です

         給付金は殆ど貯蓄に! (左目盛り:単位千円)

                  資料:上に同じ

日銀の資金循環表で見ても、日本の個人貯蓄は増えるばかりですが、この異常な貯蓄志向、消費節約の最大の原因は「老後不安」「将来不安」だという事は明らかでしょう。
安倍政権、アベノミクスは、年金問題や消費税問題なども含め、ゼロ金利。低成長で国民の将来への不安を強めてこんな社会の状態をつくりだしてしまっているのです。

その根っこには少子高齢化があるわけで、こうした根の深い問題を根本から変えていかなければならないのが今の日本でしょう。

それが家計の貯蓄志向、平均消費性向の低下という形で表れ、消費不振、経済の低成長につながって来ているのですから、この問題を置き忘れては、日本経済の再活性化は容易ではないはずです。

さて月末には総選挙、与党、野党はどう論戦をし、国民は、いかなる選択をするのでしょうか。
 

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