tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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消費税増税:消費税導入で消費が萎縮するか?

2013年08月16日 10時19分33秒 | 経済
消費税増税:消費税導入で消費が萎縮するか
 消費税増税論議の中で、今、一番懸念されているのは、賃金は上がらない、物価は上がる、その中で、消費税が増税になったら、家計は益々萎縮して、消費不振になり。経済成長が阻害される。橋本内閣の消費税増税が、いかに日本経済に深刻な影響を与えたか前例もあるではないかといった指摘ではないでしょうか。

 一見そうだそうだと言いたくなるような論じ方ですが、よく考えて見ると、いろいろ問題点もありそうです。

 まず、賃金は上がらないという問題ですが、賃金は経済成長の配分ですから、来年の春闘以降、労使が経済成長を認めれば、賃金も上がるでしょう。円安になったから賃金を上げろというのは誤った考え方(円安の無駄遣い)だと指摘してきました。

 円安で物価が上がっているというのは当然で、これは経済成長を取り戻すまでの一過性の現象です。円安は次第に成長率を押し上げるでしょう。雇用も、経済成長率も、税収もだんだん良くなっています。

 確かに、来年4月から消費者が9兆円負担するというのは楽ではありません。しかし、橋本内閣の1997年の消費増税と直接比べるのは誤りでしょう。
 あの時は、プラザ合意の結果の長期デフレの中の話です。ただでも消費が萎縮する状況でした(デフレ3悪)。

 しかも考えなければならないのは、消費税増税分は、国債発行の代替ですから、その分国債発行が減って国民は国債を引き受けなくてもよくなるのです。これは民間資金に余裕が出るということです。
 
 消費税増税は社会保障制度の健全化が主眼のはずです。消費税増税分が社会保障費に使われれば、国民の老後の心配は減少します。無理な貯金をして老後に備える必要も軽減されます。
 つまり、国民総支出(=GDP)は変わらずに、国の中のカネの流れが変るだけです。お金持ちの使った金にかかる消費税が、必要な年金、医療、介護や子育てに使われれば、日本経済のおカネの流れがより合理的なものになるという事でしょう。

 残る問題は、①政府がきちんと説明し、カネの使い方を間違えないか、②国民が政府に金をとられたように感じて、過剰に防衛的になり消費を節約するかどうかという問題です。
 日本経済が先行き明るいというのは、大きな好材料ですし、従来から家計支出は雇用情勢と最も相関が強いことは明らかですから、雇用改善傾向も重要な好材料です。

 政府は、このように国民生活にプラスであると確り説明し、国民も、自分たちが節約して貯蓄してきたお金が何をもたらしたかという従来の経験を十分に理解して、稼いだ分は確り使って、日本経済を元気にすることを考えるべきでしょう。

 政府がきちんと使ってさえくれれば、そして、政府が十分に解り易い説明をしてくれれば、消費税増税は、日本人同士のより良い相互扶助の積極策として、日本経済をより健全にしていくために役立つものとすることが出来るはずです。


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