tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

<月曜随想>自然と不自然:人間の感覚

2024年08月05日 15時31分15秒 | 文化社会

このブログでは「自然」ということばをよく使うと思っています。

特に意識して使うというわけではありませんが、物事をスムーズに描写したいと思うと自然に「自然」という言葉を使ってしまうようです。

そんなことで、なぜそういう事になるのか考えてみようと思った次第です。

生れは山梨県甲府市で、昔から山紫水明を謳う土地です。小学校6年の7月6日夜甲府市は空襲で焼け野原になりました。子供心にも、一夜の空襲で我が家も含め一面焼け野原になった光景は、自然とは真反対の不自然極まりない光景でした。

甲府盆地は四方を山に囲まれ東の笛吹川、西の釜無川、県南で合流して富士川と、何処も山紫水明の地です。

甲府盆地と言わず、日本はどこに行っても殆んどが山紫水明の地ですから、そうした中で日本人は緑と水と人間の生命につい繊細な感覚を身につけてきたのかもしれません。

日本は今でも国土の7割が森林という事で、フィンランドとともに稀有な森林比率を持つ国ですが、自然環境に強い影響を受ける人間にとって、自然との関わりを大事にする本能的な性向を持つ日本人の心の原点かもしれません。

ところで日本人はもちろん、30万年ほど前にアフリカで生まれ、その一部が10万年ほど前にアフリカを出て世界に広まった現生人類は、基本的に46億年の地球の進化の歴史の結果として,現在地球上に存在しているという事でしょう。

多分宇宙の塵から始まり鉱物の生成、水を得、無生物の世界に有機物が発生し植物が生まれ葉緑素の作る酸素で呼吸する原生動物が生まれ、それが進化して現生人類になったのでしょう。

その進化の過程では、多様な突然変異が起き、その大部分は失敗で、ごく一部が種の保存に成功して、出来上がってきているのが現在の生態系なのです。

現生人類はその進化、成功した突然変異の累積の結果として現時点での進化の頂点にいるのです。

エリッヒ・ヤンツは「自己組織化する宇宙」と言いましたが、宇宙が意識を持つかどうかは別として、地球の生態系の進化も、存続に成功した突然変異の結果と考えれば、その頂点にいる現生人類の体内の組織のあらゆる部分にそのメカニズムは組み込まれているはずです。

そしてそれこそが、人間そのもの、そして地球上の生態系の織りなしている「自然」なのでしょう。

つまり今生きている自然は、そのまま生態系の存続、種の保存のための在り方そのものなのでしょう。その頂点にある人間は高度の思考能力まで持つに至りました。

ならば、脳を含め人間の体の組織が「自然」だと受け取る感覚こそが、人間をここまで進化させた原因の集積で、それが、人間に「自然だ」と判断させるという事でではないでしょうか。

逆に、人間に「自然でない(不自然)」と感じさせるものは、人間の進化の過程にそぐわないもの(事)と判断されたという事になるのでしょう。

難しいことがあったら、素直な自然の感覚に従って「自然か不自然か」判断すれば、多分間違いは少なくなるのではないかと思うところです。


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