tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

仕事と賃金

2009年10月26日 10時11分02秒 | 労働
仕事と賃金
 オバマ政権は、アメリカの公的資金注入企業の経営陣の給与を前年の5~9割カットにするべきだとしているというニュースがありました。

 日本なら、道義的に考えて、自主的に遠慮するといったところでしょうが、金の亡者に成り下がったように見えるアメリカのマネーゲームの主人公たちは、そんな所まで大統領のご厄介になるのでしょうか。
 ベンジャミン フランクリンの諺が生きていたであろう古き良きアメリカはどこへいったのでしょう。

 ところで、仕事と賃金の関係というのは、昔から多くの学説まで生んだ難しい問題のようです。賃金は企業の決めた枠(基金)の中で払うものといった賃金基金説(アダム・スミス)辺りから始まって、戦後の日本では、アメリカ流の職務給導入論、つい最近ですら、成果給 が良いの悪いのと随分論争がありました。

 日本人は、長年島国という環境で生活してきたせいか、海外から来るものをついつい珍重してしまって、いろいろ失敗をしていますが、この間は成果給の導入などという失敗もその中のひとつでしょう。
 日本には、日本人のメンタリティーに合った、合理的な賃金の基準があったのですが、舶来に惹かれる悪い癖が出たようです。

 心配なのは、アメリカなどのマネーゲームの主人公たちが、懐に入った「あぶく銭」の山分けをするような巨額報酬 を真似ることでしたが、さいわい(?)日本の投機筋は損ばかりさせられているので、そのような心配は杞憂だったようです。

 ただ、税制などは昔と違って累進度がずっと低くなり、高額所得者の手取りは増えるようになりました。これも格差社会の一因かもしれませんが、平和共存主義の日本人は本来、能力は十分認めながら、賃金は日本型の平等志向で来ており(能力は長期的に昇進などで処遇する)、それが社会の安定のベースでもあったようです。

 企業の国際化が進む今日、欧米型の「結果による賃金(Payment by result)」と日本型の「平等志向」をどう融合するのか使い分けるのか、日本企業の人事賃金担当者は、これから苦労しそうな気がします。


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