tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国産ワクチンへ、政府補助制度新設

2021年11月29日 22時21分47秒 | 政治
報道によりますと岸田政権は、国産ワクチンの開発、製造を支援するため新たな補助制度を設けることになったとのことです。

かつて、菅総理が、日本を世界トップレベルのワクチン開発拠点にするというメッセージを出していますが、その延長でしょうか、それとも岸田政権の新政策でしょうか。

いずれにしても、ワクチン後進国に堕した日本を、何とかしなければならないという気持に政府がなったとすれば、それは喜ぶべきことでしょう。

しかし、世界のトップレベルと口でいうのはやさしいですが、そのためには、まず世界のトップレベルの頭脳を集めなければなりません。

そういう人を育てるのには時間がかかるでしょう。世界から人材を集められれば結構ですが、魅力がないと人は来ませんし、それだけのレベルの設備も必要、研究開発の資金もまた巨大でしょう。研究開発のスピードは、投下資本量に比例するなどともいわれます。

政府は、今年度補正予算で2700億円を組むとのことですが、まず手始めとしてでしょうが、今後どの程度力を入れていくのかを見守る必要がありそうです。

というのも、コロナ問題という当面する問題がある事にもよりますが、政府の支出は、いわゆるバラマキ、現状対応の後追い支出が目につき、先行投資はどうも遅れ気味という気がするからです。

例えば、再び10万円の給付金が与党内での主要議論になるようで、ベタに払うか年齢制限か、所得制限をするかしないか、所得制限はいくらにするか、世帯収入か世帯主収入か、更には二回に分けて半分はクーポンにする方がいいとかの議論です。

結局18歳以下、世帯主収入で960万円未満、5万円は年度内にも、後の5万円はクーポンにして来年の参院選の前、合計金額1兆9473億円、という事になるようで、クーポンにすると配布の事務費が900億円増えて、1200億円になるといった経過が報道されています。

昨年の全国民に10万円のバラマキの効果の議論も多いですが、18歳以下にして、所得制限を付けたから良いでしょうといったことで済むのでしょうか。

半分をわざわざクーポンにして、そのために事務費が900億円増えるといった計算の根拠は我々に見当もつきませんが、ワクチン開発関係に予算がやっと2700億円付いたというのと比べると、庶民の常識では考えられないお金の使い方が感じられます。

どう考えても無駄な事務費より研究開発費にと考えてしまうのは、政治への無知という事なのでしょうか。ならば政治を理解するという事はどういう事なのでしょうか。

矢張り岸田政権の「新しい資本主義」には、庶民はより良い生活に向けての積極的な政策を期待しているのです。例えばバラマキな必要になるような貧困の撲滅の具体策の検討といった問題です。一方で、日本は世界トップクラスの個人貯蓄(1900兆円)を持っています。そうした矛盾について、真剣は議論をするような政治、その気概を実感できるような政策の報道が日々眼に触れるような政権であってほしいと思うところです。

もともと、今、貧困家庭がこんなに増えたのは、経済が成長しないからというのも大きな理由ですが、同時に、所得格差が大きく拡大した(1980年代、日本のジニ係数は北欧諸国と並んでいました)事がより大きな理由でしょう。

今必要な明日に向けての社会・経済政策としては、この拡大した所得格差をいかに縮小に向かわせるかが最大の課題の1つでしょう。
しかし現実は、所得格差を縮小するような本格的な政策ではなく後追いのバラマキの議論が政治の場の中心では、「新しい資本主義」の意味は失われるのではないでしょうか。

現状の後追いではなく、将来に向かっての、納得のいく解りやすい政策の提示が今こそ必要なのでしょう。

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