tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

今回の定額減税の発案者は誰ですか?

2024年05月31日 20時22分30秒 | 政治

何か突如として、定額減税で、6月に一人当たり所得税3万円、住民税1万円、計4万円という事です。趣旨はと言いますと、春闘の賃上げ率も高かった、この際、国民の実質所得を増やし、消費意欲を刺激して、消費不振で低迷する日本の経済成長を促進しようという事のようです。

趣旨は解らないでもありません。今年に入っても実質賃金の対前年比の低下は止まらず、24か月という長期連続となり、多くの家計では物価の上昇懸念と、将来所得についての不安がみられるようで、改めて消費の伸び悩みによる景気不振が言われているところです

この際減税で一気に家計に安心感を与えて消費を伸ばすことは政権党の使命だと考えての事でしょう。

という事で、手っ取り早く現時点で政権の座にある者が国民の喜ぶ減税をという気持ちは言われなくても解ります。

そして「減税しましたよ」と誰にも解るように給与明細に明記せよと指令する気持ちも良く解ります。

ですが、マスコミではどうにも評判がよくないようです、テレビの画面では「今年だけでしょう。今後の事を考えるとやっぱり貯金かな」なんて言うのもあったようですし、一斉に指摘しているには、減税の仕方についての問題で、その複雑さ、解りにくさ、手間が大変、6月に全部もらえるわけではない、などなどの問題のようです。

4人家族ですと所得税だけで12万円、住民税が4万円ということですが、6月に賃金とボーナスで合わせて16万円以上払っていないと後は翌月に繰り越されるという事になるようです。繰り越しの仕方も所得税と住民税では違うので、何時までに全額もらえるのかなかなか解らないのです。

だから今月はいくらと給与明細に書かなければいけないというのかもしれませんが、きちんと貰えたかどうかは、最後まで記録しておいてそれを合計しないと解らないのです。

貰う方でもそんな面倒な事やらないで、多分間違ってないと思うよと信頼するのでしょう。

貰う方でもそうですから、そのシステムや手続き間違いないように計画して実施するのはお役所の方も、給与を支払う企業の方も、これは大変でしょう。

すでにお役所の説明会があって、大勢の人が説明を聞きに来ているとのことですが、その手続きを難しい条文と、それを解り易い説明にするのも、大変な時間と労力でしょう。

しかも今回の定額減税は、今回だけのもので、この次に定額減税がいつあるか知りませんが、その時は、また違う人が違う方法でやるのでしょうから、覚えても今回しか役に立たないので、知識やノーハウの蓄積にもなりません。

定額減税の額まで税金を払っていない人には給付もあるようですが、給付に端数が出ると計算が面倒なので、1万円単位で切り上げだそうですから9999円得するケースもあるようです。

確かに余計な手間はコストの増大ですから省いた方がいいのですが・・・。

手間を掛けないという事になりますと、今度の定額減税などは、殆ど「余計な手間」の様なもので、一律給付を含めもっと簡単な方法がいくらでもあったはずです。

今回の減税規模は3.2兆円余とされているそうですが、日本経済のコストとの中で一番高いのは人件費です。

今回の定額減税に関して発生する官民の「延べ労働時間×1人当たり平均人件費」など考えられてもいないのでしょう。

誰かの命令で、突如膨大なコストが生れるのです。こういう事が起きる原因は、リーダーがコスト意識がないままに事を決める、「コスパ」の「コス」がなく「パ」、パフォーマンスしか考えないからでしょう。

何度も書いていますが、聖徳太子の17除の憲法の第17条は「夫れ、事は独りにて断ずべからず。必ず衆とともに論ずべし」と言っています。

定額減税のトータルコストは、(今の日本の場合は)結局は国債残高にプラスされて、国民の将来負担になるのです。


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