tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの経済政策は成功するか

2021年08月11日 21時13分56秒 | 国際経済
トランプ大統領が4年の在任中に、どこに行くのか解らないようなアメリカにしてしまった後を受けて、バイデン大統領の、アメリカ正常化に着手が始まりました。

先ずは、民主と共和の分断ですが、インフラ投資の規模に見られますように、8年で2兆ドルの計画を5年間1兆ドルに修正し共和党からの賛成も得るなど柔軟性を見せながら着実に動いているのではないでしょうか。

今、アメリカ経済は、国際的にも順調な回復とみられていますが、これからの最大の問題は中国との経済発展上の競争関係でしょう。

バイデンさんは、米中関係は「競争」との表現を選んでいますが、これは誠に適切な表現だと思います。「経済戦争」という言葉はよく使われますが、戦争というのは相手を潰すことを意味するものでしょう。

それに対して競争は、互いに競い合い、発展を促進する関係を意味します。
今、世界の経済は多角的に多様な相互関係を前提にして成り立ていることは明らかです。アメリカが中国に制裁を課せば、アメリカ企業(アメリカ経済)自体が返り血を浴びるのです。多くのアメリカ企業は中国で、製造・販売をしているからです。

バイデン大統領のアメリカは、アメリカ自体の経済力を強くすることで、中国との競争に勝とうと努力することになるのでしょう。
そのためには、老朽化したインフラの近代化投資が必須という視点から長期にわたるインフラ投資の促進を計画し、産業・生活基盤の整備に注力するのでしょう。

さらに、バイデン政策は、税制改革によるアメリカ経済の活力再生を図っているようです。多様な税制改革については、法人税率の引き上げ、所得税の最高税率の引き上げ、高額のキャピタルゲインについての課税の強化などの政策で2兆ドル超の税収増を打ち出しています。

もちろん、2021年度の4兆ドル台の予算から、2022年には6兆ドル台の予算の編成ということになりますと、増税は不可避ですが、増税の方向は従来のアメリカ型資本主義を修正し、格差社会化を防ぐ税制改革や社会保障費の大幅増額など、社会主義的資本主義の方向に舵取りを変えていくといった様子が見られます。

こうして見ていきますと、バイデン政権は、かつてのルーズベルトの「ニューディール政策」現代版をやろうとしているのかといった感じもしてきます。
ニューディールの大きな柱としては、テネシ-バレー開発などのインフラ開発による雇用創出、労働者の権利拡大(ワグナ-法)、労働条件改善などが知られています。

ニューディールが当時の世界不況からの脱出を目指したとすれば、今回のバイデン政策はマネーゲームの盛行と格差社会化急進展のアメリカ経済を、インフラ整備による実体経済活動の重視、税制改革、社会保障改善による格差社会化の行き過ぎの是正など、基本的には、社会正義を目指しているという共通性を感じるところです。

日本ほどひどくはありませんが、アメリカも財政赤字は(減少しつつも)続くようですが、長期的な経済成長による健全化を意図しているのでしょう。

アメリカ経済社会の安定発展を狙うバイデン政策の成功を願うとともに、日本も日本なりに、本気でニューディール政策を考えなければならないのにと、混乱し日本の現状を嘆くばかりです。

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