tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

景気は「自家製デフレ」に後退の兆候

2023年12月02日 13時44分34秒 | 経済
今日の経済ニュースの中で2つほど気になるものがありました。
どちらも、日本経済の回復に懸念を持たせるもので、このブログが気にしている「このままで行ったら、また「自家製デフレ」に逆戻りという予測につながるものです。

1つはFRBのパウエル議長が「金融緩和の推測は時期尚早」と改めて発言している事、もう1つは内閣府から、今年の7-9月期の需給ギャップがマイナスになったと発表されたことです。

パウエル議長の発言については、パウエル議長のインフレ嫌いは知られていますが、現在の3.2%程度インフレをアメリカにとっては低過ぎる感じの「2%インフレ目標」に下げることは結構難しいでしょいう。それに固執すると金利が下がらない事になります。

アメリカの金利が下がらないと円安が続くという事で、それは日本にとっては具合が悪い事です。

理由は、(輸出企業やインバウンドには好条件ですが)円安で日本の賃金も物価も外国より大幅割安なので、経済国際化の中で、日本の物価は上がります。
これに対する日本政府の政策は、エネルギーなどの輸入企業には補助金、各家庭には給付金というバラマキ政策で、これは赤字国債を財源に支払われます。

与党も野党も補助金、給付金の額や範囲を競います。一方、国民は、赤字財政の中での補助金、給付金は長続きしないと読んでいますから、使わずになるべく貯金です。

来春闘が今春闘を多少上回る程度でしたら、物価上昇、実質賃金低下で、消費は伸びず「自家製デフレ」は継続し、今年と変わらない状態になる可能性が大です。

こうした状況は、アベノミクス以来続いていますが、コロナ明けで昨年少し変化しました。、しかし、今年の春闘の結果では、消費不振で今年に入って平均消費性向は下がり気味、四半期GDPの成長率は下がるばかりです。

こうした現状を確認する様に、内閣府の「7-9月期の需給ギャップはマイナスに」という発表なのです。
需給ギャップがマイナスというのは、供給力があるのに需要が足りない、という事で、内閣府の発表の解説では「物価高の影響で食料品を中心に「個人消費」が振るわず」とその主因を指摘しています。

「自家製デフレ」は「自家製インフレ」の反対です。
「自家製インフレ」では、賃金が上がり過ぎる「賃金コストインフレ」ですが「自家製デフレ」では、賃金が上がらないので消費者が買わない消費需要不足のデフレなのです。

賃金というのはご承知のように、企業にとってのコストで、企業はコストを上げたくないのですが、賃金は同時に需要、購買力の源泉でもあるわけです。賃金が上がらなければ需要が増えません。
賃金は、「コストと需要の二面性」を持っていますから上がり過ぎても困るし、上がらなくても困るのです。

賃金が上がらないので国民が物を買わない(買えない)日本に、「これはチャンス」と賃金の上がる国からインバウンドが押し寄せているというのが現状です。

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