tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円高の影響は輸出入産業だけ?

2009年10月16日 20時46分16秒 | 経済
円高の影響は輸出入産業だけ?
 株式や経済に関連した番組や記事で、為替レートの予測がよくやられています。しかし本音で言って、為替レートの予測ほど難しいものはないでしょう。

 先ごろも担当大臣の一言で円高になって、大変でしたが、今の世の中では、為替レートの変化を大きくして、それでキャピタルゲインを得ようという人たちが、世界中で、四六時中手ぐすね引いているのですから、大変です。

 為替レートが実体経済に沿って動くようなまともの世界なら別として、国家戦略レベルから、巨大資本を持ったギャンブラーまでが、為替レートを動かして「何かしよう」と鵜の目鷹の目で狙っている世の中ですから、油断も隙もありません。

 ところで、このところの円高の動きの中で、「日本の輸出企業は1円の円高で、いくらいくらの減益になる」といった解説と、「日本の輸出産業も結構このところ円高抵抗力をつけてきているので、何とか太刀打ちできるのではないか」といった解説など、入り乱れて聞こえてきます。

 多分どちらも本当なのでしょう。もちろん「こういう条件の下で」という説明が必要なのですが、聞くほうのわれわれも、条件の説明などは忘れて、結果だけ覚えているのかもしれません。

 確かに、このところ日本が輸出するような製品は、まさに日本の独自技術で、非価格競争力が強いものが増えてきているように思います。ハイブリッドカーや水処理技術などなどで典型的に見られる様ですが、これは日本企業が、本当に真面目に努力して生み出した素晴らしい成果だと思います。

 それなら、日本は円高に強くなったんだと安心できるかというと、実はそうではないようです。
 日本の産業の中には、まだまだ政府の政策如何によって存亡が決まる部分や、のど元までのコストアップで、利益の出ない産業もたくさんあります。

 そして、円高というのは、輸出入をしている産業・企業だけが影響を受けるのもではなくて、いわゆる「マルドメ(まるきりドメスティック)」産業も、あらゆる形で、まさに水が浸透するように円高による「国際的なコストアップ」の影響を受けるのです。1パーセントの円高は、日本の凡ての企業にとって、国内コストの1パーセントの上昇を意味します。

 毎日まいにち、コストダウンに必死の日本企業です。為替レートに敏感であること、特に、不用意な円高の影響の恐ろしさを熟知すること(中国の人民元切上げ要求への対応を見てください)、そしてその上で、いっそうの技術革新、体力強化が必要な日本経済です。


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