tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

スタグフレーションを避けよう

2009年02月18日 17時08分41秒 | 労働
スタグフレーションを避けよう
 春闘真っ只中で、担当する方々は、労働側も経営側も、種々苦労されていらっしゃると思います。賢明な日本の労使のことですから、おそらく誤った判断はされないと思いますが、老婆心か杞憂か、などと思いながら、つい書いてしまいました。

 2009年度の日本経済の実質経済成長率はマイナスが予想されています。予想幅は、政府のゼロが最も楽観的で、日本銀行がマイナス2パーセント、その他多くのシンクタンクなどの予測はマイナス3パーセントまであるようです。

 2008年度の第3、第4四半期の落ち込みがきついので、2009年度のマイナス幅はマイナスの下駄を履くことになり、低いところからさらに落ちるという意味で、下げ幅は小さくても、実態は数字より悪いといったことも起こりえます。

 そうした中での賃金決定です。連合は、「ベア要求」と言う振りかぶった刀が何となく下ろせずにいるようですが、さいわい、日本の労使交渉は企業別です。企業の実態の良くわかった労使の交渉ということで、企業に過重な負担はかけないような結果になることを願いますが、日本経済と整合的な賃金決定ということになると、マイナス成長ですから、総額人件費(国民所得統計でいえば雇用者報酬)はマイナスにならなければなりません。

 そうならないとどうなるかですが、こういう時に発生するのが「スタグフレーション 」です。不況の中(経済が縮小する中)で経済の主要なコストである人件費が上昇しますと。賃金コストプッシュが発生しますから、それはインフレ圧力になります。しかし、不況ですから容易に価格は上げられません。

 結局、賃金コストプッシュの一部は価格上昇(インフレ)で吸収し、一部は利益の圧縮(減益)で吸収する、ということになります。これこそが「スタグフレーション(不況下の物価上昇)」です。
 この物価上昇をまた翌年の賃上げに反映しようということなると、スタグフレーションはますます深化することになります。

 第1次オイルショック後の教訓で、第2次オイルショックは立派に乗り切った日本の労使です。今回も立派に乗り切って欲しいと願うや切です。


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