tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

平均消費性向に注目の必要が・・・

2015年04月10日 12時15分13秒 | 経済
平均消費性向に注目の必要が・・・
 御存じのように、消費性向というのは、一般的には所得のうち何パーセントを消費支出したかです。
 統計として使われる数字は総務省の「家計調査」で、「平均消費性向=可処分所得に占める消費支出の割合」です。可処分所得というのは、いわゆる「手取り」で、実収入(給料など所帯で稼いだ金額合計)から天引きされる社会保険料など(非消費支出)を差し引いたものです。

 要するに、手取り収入のうち、何パーセントを所費支出に使ったかという数字で、残った分は黒字率(平均消費性向+黒字率=100%)です。

 代表的な平均消費性向の数字は「家計調査」の「2人以上の勤労者所帯」で、1980年代から最近までの数字を見ますと、70~80パーセントの幅の中に納まっています。
 大まかな傾向は1980年代から2000年直前までは下がり、2000年代からは、リーマンショック、消費増税などでギクシャクはありますが、上がって来ています。

 理由となりそうなものを探せば、1997~8年までは「実質可処分所得」(可処分所得から消費者物価上昇率を引いたもの)が僅かでも増加傾向だったのですが、2000年以降は逆転して減少傾向になっていることでしょうか。
 収入が減っても支出はなかなか減らせないのが現実ということでしょう。

 同時に言えることは、収入が少しでも増加傾向のときの方が、収入が減少傾向の時より平均消費性向は高いということです。
 例えば、年々所得が増加中の1987年と減少中の2012年では実質可処分所得は425千円程度(上記所帯)でほぼ同じですが、平均消費性向は1987年は76.4%、2012年は73.9%で、2.5%ポイント低くなっています。
 先行き不安の時は、消費を抑えて貯蓄に回して将来に備える家計の知恵でしょう。

 政府は、賃上げを推奨し、それで消費が増えれば景気回復といっていますが、将来不安からそれが消費に繋がらず、貯蓄に回るようでは目的は達成されません。

 将来不安の解消には「収入の安定」が最も重要なことは明らかで、それは雇用の安定に支えられています。確かに雇用の増加は進んではいますが、非正規雇用の増加は続いているようです。安定した雇用、雇用も量から質に注目していく必要があるようです。
 その他、年金問題や格差の拡大、国際摩擦など内外の不安要素を克明に取り除いていくことが、消費の安定的な増加にも、ますます重要のような気がします。


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