tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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消費者物価、一見上昇鈍化、先行きは?

2023年03月24日 17時10分28秒 | 経済
今日、総務省統計局から2月分の消費者物価指数が発表になりました。
既に、輸入物価指数や企業物価指数は上昇の鈍化傾向(対前年上昇率の鈍化)が顕著ですが、消費者物価の動きにそれが反映するかどうかが注目点です。

こうした状況の中で発表された2月の消費者物価指数は、鈍化傾向が見えたようです。
原指数を見ますと下の図のように青い線の総合は1月の104.7から104.0へ、赤い線の生鮮食品を除く総合も104.3から103.6へ下がっています。

残念ながら緑の線の生鮮とエネルギーを除く総合は102.2から102.6へ相変わらずの上昇で、これについては後ほど触れますが、消費者物価にも上昇鈍化の兆しが見えてきたのでしょうか。

 消費者物価指数(原指数)の動き

                    総務省:「消費者物価指数」

もともと今回のインフレはエネルギーの国際価格高騰から始まったものですから、輸入物価、企業物価が下がれば消費者物価も下がってくるはずですから、青い線と赤い線はエネルギー料金(電力・ガス)が入っていますから国際価格が下がれば下がるのも当然です。

ただ、日本の場合は、色々な意味で政府の介入があって、価格形成が歪められます。今回の消費者物価の上昇率鈍化に政府の電力料金抑制策の影響がります。10大費目の中で水道・光熱だけが前月比マイナス(-1.14%)でこれが全体を引き下げています、

電力・ガス料金が入っていない緑の線は、残念ながらまだ上昇傾向です。いずれまた、政府が電力料金の値上げをするのでしょうから、この段階で消費者物価が安定の方向に向かったと言い切る訳にはいかないのかもしれません。

という事で最近の動きを、より見やすい対前年同月の比較を見てみますと、総合と生鮮を除く総合は、政府の電力料金政策のお陰で上昇率の鈍化は顕著です。

       消費者物価指数対前縁上昇率(%)

                       飼料:上に同じ

政府は4%というインフレ率は嫌いで、何とか3%台に下げようとしているように感じられます。
問題は緑の線、生鮮食品もエネルギーも除いた消費者物価ですが、そろそろ上昇率鈍化かという予測は当たらず、対前年同月で3.5%の上昇と、昨年夏以降も、輸入物価や企業物価の上昇鈍化をしり目に一直線に上昇を続けています。

これは一体何によるのでしょうか。消費者物価の中身に入ってみますと、生鮮を除く食料品9.4%の上昇(乳卵類、油脂・調味料は10%超、調理食品、飲料、菓子類、などは7%超など)です。
家庭用耐久財も11%の上昇(電気冷蔵庫26%)といった大幅上昇です。。

昨年春辺りから始まった消費物資の一斉値上げの動きは、日本の商品は安いという海外の評価、インバウンドの印象、価格転嫁困難への同情から、一部に見られる値上げ・賃げムードなどとともに、拡大の傾向もあるようです。

この緑色の線は、政府、日銀の2%インフレターゲットにほぼ見合うものですから、これが4%を超えるようなことになれば、アメリカ・ヨーロッパと同じ「インフレ抑制」の金融政策が必要になるのでしょう。

今迄安定していた消費者物価の動きについてもこれから警戒が必要になるのかもしれません。